A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

アンチさとり世代宣言~壊れかけのテープレコーダーズ「踊り場から、ずっと/羽があれば」

2013年03月29日 03時00分21秒 | 素晴らしき変態音楽


壊れかけのテープレコーダーズを初めて観たのは2010年1月UFO CLUBでの道下慎介×中原昌也やオワリカラなどの対バンだった。道下中原デュオ目当てで行ったその時の彼らの印象は「唯一名前を知っていたバンド。g,b,ds,keyの4人組。紅一点のkeyのヴォーカルが良かったがそれだけ。」という身も蓋もないものだった。その後いろんなイベントで彼らを観て「オルガンとファズギターの絡みと男女ヴォーカルの歌の掛け合いがいいが最大の魅力はその普通さ」という多少好意的な見方に変わった。有象無象が跳梁跋扈する地下音楽シーンでは明快なポップさ全開の彼らのサウンドは良くも悪くも浮いているように聴こえた。オワリカラ、ファンシーナムナム、シベールの日曜日、鳥を見たといった同世代のバンドはともかく灰野敬二、割礼、蝉といった地下音楽界の強者と対バンすると壊れかけの光が一際眩しく輝き、暗黒の地下住人の世界から乖離していくように思えた。

コモリとゆさは様々なライヴ会場で遭遇する。ライヴフライヤーを配布する目的もあるだろうが根っからのライヴ中毒に違いない。ジャックス、ジミヘン、ドアーズ、フィル・スペクターなどを引き合いに評されるサウンドは自称する通り「ドリーミーサイケポップ」と呼ぶのが相応しい。しかしコアなサイケマニアが賞賛する精神的涅槃状態や轟音暗黒ギターとは異なる突き抜けたポップさと耳馴染みの良さが最大の特徴であろう。また「基本どんなオファーでも迎え撃つ精神」で日本全国年間100本にも及ぶライヴをこなす驚異的なフットワークの軽さは地下音楽界に他に追随するものはいない。

彼らの最新シングルのタイトルに思わずうなってしまった。「踊り場から、ずっと」英語タイトルは「All Along The Dance Floor」。お分かりの通りボブ・ディランの「見張塔からずっと」(All Along the Watchtower)からの引用である。ジミヘンのカヴァーも有名な曲なのでサイケ好きなコモリらしいセンスだが特筆すべきは「踊り場」を「Dance Floor」と訳していることだ。階段の途中(=青春ドラマの高校生カップルの語らいの場所)をクラブのダンスフロアに掛けているのが如何にも現在20代の彼ららしい。高校時代青春を横臥した学校の階段と放課後通うクラブ。その二つの場所で培ったロックへの想いを歌った原点回帰宣言と言えるのではなかろうか。年齢的には最近流行の「さとり世代」に属する彼らだが決して草食系でも淡泊でもない。好きなものをとことん追い求める情熱がそのまま音楽に溢れている。かと言って従来のロックミュージシャン然とした傲慢で不遜な態度でなく真摯に自らの行先を見据える生真面目さはオールドスクールとは一線を画す。世代論を振りかざすのは気が進まないが壊れかけのテープレコーダーズは「アンチさとり世代」の象徴と言えるのではなかろうか。



壊れかけ
テレコを聴いた
幼い日

壊れかけのテープレコーダーズ
結成6周年記念 東高円寺2DAYS企画「Document & Monument」

5/24 fri 東高円寺 二万電圧
w/Maher Shalal Hash Baz OA:サカシマ

5/25 sat 東高円寺 U.F.O CLUB
w/ 原マスミ OA:アンダーボーイズ
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ハーフコインの花園 第5回~S... | トップ | コロボックルズ@SHIBUYA LUSH... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

素晴らしき変態音楽」カテゴリの最新記事