A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

近藤等則+ペーター・ブロッツマン+中原昌也@恵比寿LIVE GATE 2015.4.21(tue)

2015年04月23日 01時31分43秒 | 素晴らしき変態音楽


「響命」シリーズ第四弾 at LIVE GATE TOKYO~Blow your Mind~
【出演者】近藤等則 ( electric trumpet )/ Peter Brotzmann ( sax )/ 中原昌也 ( synthe & effects )



ペーター・ブロッツマン来日ツアー2015では、豊住芳三郎、坂田明、佐藤允彦、近藤等則など日本ジャズ界のベテランや、灰野敬二、ジム・オルーク、八木美知依、本田珠也などジャズに限定されない即興音楽家との共演が繰り広げられる。どの組み合わせ・どの公演を観ても圧倒的なインスピレーション&パワーの交歓に心を打たれることは間違いない。そんなスケジュールの中で、一際目を惹いた(浮いてる)ラインナップがこの日。Hair Stylistics a.k.a.中原昌也とブロッツマンとは想定外の顔合わせだが、どちらも中毒愛好家の筆者にはオレ得過ぎる。



実は当初は行く予定はなかったが、日曜日の217歳トリオが素晴らしすぎて熱に浮かれた状態で、当日ネットで前売りチケットを申込み、恵比寿LIVE GATEへ初見参。広さも音響もいいライヴハウスだが不幸にも今月末で閉店するという。最初で最後の会場で体験する異種交歓に不思議な気分。30席余りの椅子は満席。コアな年配ジャズ&即興ファンが中心のピットインに比べて、いまどきヤングな雰囲気で女性客の姿が目立つ。


ペーター・ブロッツマン+豊住芳三郎+佐藤允彦@新宿Pit Inn 2015.4.19(sun)

ブロッツマンと近藤は30年以上の長い付き合いで、お互い手の内を知り尽くしている筈だが、中原の電子音が加わった途端に、様相がガラッと変化する。客席で聴く限りでは、左右のPAとステージ上のアンプから、中原のソリッドな電子ノイズと、近藤の浮遊するエレクトリック・トランペットが飛び交うエレクトロの嵐の中で、ブロッツマンが独り屹立する勇猛な風景を幻視したが、ステージ上ではもっと混然一体のアトモスフェアが生またのではなかろうか。それは対峙とか共感とか友愛とか交歓という言葉では表現しえない『未知の創造の場』の現出ではなかったか。



「まずはじめに、音楽をどのように聴かせるか、楽器をどのように鳴らすべきか、他のミュージシャンとどのように共働すべきか、自分のヴィジョンを持つことが必要だ。大切なのは唯ひとつ、自分がするべきことをすること。敢て極端な右や左を目指す必要は無い。ただ自分自身の音楽のアイデアに従いながら、徐々に近づくようにすればいい。私にとって音楽とは常に、境界に近づくことに他ならない。時には境界を少しだけ広げることができる。逆に言えば、境界は近づくたびに常に離れて行くともいえる。それはとても時間がかかるプロセスであり、私は一生かけて追い求めているのだ。」ーーペーター・ブロッツマン/ハンガリーTVドキュメント『Free The Jazz』より

その言葉通り、この夜の三人はそれぞれに自分のやるべきことをやりながら、右と左・上と下・前と後ろの境界へと近づき、少しずつ拡張し、観客の心を巻き込みながら、未知の創造を追い求めたといえるだろう。別の組み合わせとの違いをブロッツマン本人が何処まで意識したかは知り得ないが、少なくとも筆者を含む一部の観客にとっては、これまでにない経験であり学習であり冒険であったことは間違いない。この組み合わせを立案・企画・実現した近藤等則の慧眼に敬意を表したい。

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