A Challenge To Fate

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【ロックのライヴ盤はLP2枚組で決まり!】キャロル/クールス/パンタ&HAL/ザ・スターリン

2022年07月14日 02時18分12秒 | ロッケンロール万歳!


最初に自分で買ったLPはジョン・デンバーの『ジョン・デンバー・ライブ(An Evening with John Denver)』だった。日本盤LP2枚組、1976年4月4日金沢・山畜片町店にて4000円にて購入。中学2年生になったばかりの筆者のこづかいは1か月1000円。おそらく貯めておいたお年玉をはたいて買ったのだろう。今ではハードオフのジャンクレコード・コーナーでよく見る安レコの代表格だが、当時聴いたときの感動は今でも心の中に刻まれている。A・B・C・Dの四面あるので、朝起きると今日はどの面を聴こうかと楽しみにして登校していた。学校が終わって家に帰り、居間の家具調ステレオのスイッチを入れてアームがレコードの端にゆっくり動いて針が盤面に降りるのを見ている時のドキドキ感は、他に比べるもののない至福の時間だった。流れ出すジョン・デンバーの明るい歌声は、遥かなるロッキー山脈やグランドキャニオンの青空へと連れて行ってくれた。ライナーノーツには湯川れい子さんが実際に観たステージの模様を詳細に綴っていて、ライヴの最初から最後まで一緒に観ている気分に浸ることができた。もちろん実際のライヴは2時間近くあるからLP2枚には入りきらないが、自分の部屋でライヴを疑似体験するには、LP1枚40分強じゃ物足りない。実際にその後ビーチ・ボーイズ『コンサート(Concert)』『ライヴ・イン・ロンドン(Live In London)』、ジョニー・ウィンター『ジョニー・ウィンター・アンド・ライヴ』『狂乱のライヴ(Captured Live!)』など、1枚もののライヴ・アルバムを買ったが、ジョン・デンバーのような濃厚なライヴ体験は出来なかった。

中学3年の時に東京へ引っ越してロック好きの友達に出会い、当時人気のハードロックのライヴ盤を聴かせてくれた。キッス『地獄の狂獣/キッス・アライヴ』、ディープ・パープル『ライブ・イン・ジャパン』、レッド・ツェッペリン『永遠の歌/レッド・ツェッペリン・ライヴ!』、すべて2枚組だった。LPの半分近くを占めるドラム・ソロは苦手だったが、やはりレコード2枚に亘ってたっぷり聴けるライヴ演奏は格別だった。筆者も廉価盤で再発されたグランド・ファンク・レイルロードの『グランド・ファンク・ライヴ・アルバム』2枚組を買った記憶があるが、すぐにパンクロックに衝撃を受けハードロックがダサく感じられるようになり、あまり聴かないうちに手放してしまった。

しかしCD時代に入ると1枚のCDの収録時間が長くなり、2枚組LPが1枚のCDに入ってしまうようになる。当時は「得した」と喜んでいたが、実際70分ノンストップで聴くことはなく、途中まで聴いて続きは明日、という感じで、LP時代の「今日は何面を聴こうか」と迷う楽しみがなくなってしまったのも事実。CDボックスでフルコンサート完全収録というのも何となく安易で食指が動かない。やはりロックのライヴ盤はLP2枚組に限る!と改めて実感している次第である。

そんなわけで最近聴いている日本のロックのLP2枚組ライヴ・アルバムを紹介しよう。

●キャロル『燃えつきる=キャロル・ラスト・ライブ!1975.4.13』


雨の日比谷野音で開催された解散コンサートのライヴ盤。70年代日本のロックの最高峰ははっぴいえんどでも裸のラリーズでもなく、ロックンロールの初期衝動をバンド・メンバー4人だけで発散し続けたキャロルなのではないだろうか。スタジオ盤もカッコいいが、灰になるまでロックンロールし続けるライヴ演奏を4面連続プレイすれば、心と身体を解放して、自由な世界へ羽ばたける気がする。


●クールス『ハロー・グッドバイ!』


キャロルの解散コンサートで親衛隊を務めたモーターサイクルチームのメンバーで結成されたクールス。1977年解散(舘ひろし脱退)コンサートのライヴ盤。アメリカのロックロールショーバンド、シャ・ナ・ナをモデルにした複数ヴォーカルによる賑やかなバンドサウンドは、『アメリカン・グラフィティ』の世界を彷彿させるロカビリー魂に溢れている。舘ひろし脱退後もバンドは続き、バラエティ豊かなロックンロール・ミュージックを追求している。


●パンタ&HAL『LIVE! TKOナイトライト』


頭脳警察解散後1975年にソロ・デビューしたパンタが77年に結成したロックバンド、PANTA&HALの1980年7月16日日本青年館でのライヴ盤。メッセージ性だけでなく音楽も重視するという構想のもとで結成されただけあり、フュージョンやワールドミュージックの要素を取り入れたサウンドは、頭脳警察のシンプルな曲想とはずいぶん異なるが、パンタの自己主張溢れる歌声はやはり魅力的。ライヴならではのアドリブや躍動感が80年代日本のロックの幕開けを告げる。


●ザ・スターリン『フォー・ネヴァー』


1985年2月21日調布・大映スタジオでの解散コンサートのライヴ盤。日本のパンクロックの草分けとして数々のセンセーションを巻き起こしたスターリンの集大成と言える長時間ライヴを収録。四つの面をアザラシ面、魚面、サル面、ブタ面と分けてあるのがレコードならではのこだわり。封入ポスターも嬉しい。映像もリリースされているが、音だけで聴くほうが遠藤ミチロウの歌の核心にある叫びを感じられるような気がする。

ロックなら
レコード2枚で
出してくれ



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