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A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

東京地下音楽の裏街道。『内田静男』について知っている11の事柄〜5/25(sat) 盤魔殿vol.24にゲスト出演

2019年05月23日 00時49分13秒 | 素晴らしき変態音楽


内田静男 Uchida Shizuo
80年代より、触媒夜、滲有無にて活動。現在、Hasegawa-Shizuoや、albedo gravitas、Galactic Abyss、UH、TERROR SHIT、Nord、疎水響、 L'Extase Métallique、などのユニット、そしてソロやさまざまなインプロヴァイザートのDUOやTRIO形式などで演奏。Bassを中心にした、インプロヴィゼーションを行う。



2019年5月25日(土)渋谷DJ BAR EdgeEndで開催される異端DJイベント『盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.24〜Début de l'été d'herbe jeune』にスペシャル・ライヴ・アクトとして出演する演奏家・内田静男。内田は90年代に「おんなこども」という即興グループでPSFの『Tokyo Flashback』シリーズや海外のコンピレーション作品に参加する一方で、灰野敬二のドローン・ユニット「滲有無」のメンバーとして活動し、21世紀に入ってからはパンクバンドあぶらだこの長谷川裕倫とのデュオ「長谷川静男」やアシッド・フォーク・ユニット「Le Son De L’os」、さらにソロや様々なセッションで音楽活動する。また「猫猫商会」名義でグラフィックデザイナーとしても活動している。その歩みは東京地下音楽の裏街道と言ってもいい。

この機会に筆者が体験した内田静男の11のライヴ/音源についての文章を纏めてみた。盤魔殿2年目の記念すべき日に渋谷EdgeEndに降臨しベースソロ演奏を披露する内田の不偏不党の音楽の片鱗を感じてもらえると思う。興味を持ったらぜひ盤魔殿に足を運び、あなた自身の目と耳と心で直に彼の唯一無二の魂を感じて欲しい。
【告知】5月25日(土)開催『盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.24』featuring 内田静男 (Special Live Act)

【内田静男体験記】
●2011.3.26(sat) 長谷川静男@新大久保 Earthdom
あぶらだこ/kito-mizukumi rouberの長谷川裕倫氏(エレクトリック篳篥)と内田静男氏(b)のデュオ・ユニット長谷川静男。ドローン/アンビエント風に静かに始まってゆっくりと高まっていく音響のスケール感にピンク・フロイドやタンジェリン・ドリームなどのプログレに通じる世界を感じた。後半の激しいせめぎ合いは昇天ものだった。
Sutcliffe Jugend/Painjerk/ENDON他@新大久保 Earthdom 2011.3.26(sat)


●2013.10.3 thu 解体飼育団@新宿URGA


長谷川洋(ASTRO)がエレクトロ、内田がベース、佐々木悟がアルトサックスのトリオ。ドローンノイズが撒き散らされる中で、アルトが突き刺すように咆哮する。次第にASTROのスペーシーな電子ノイズが空間を侵食し、サックスとベースを飲み込んでゆく。寄せては返す波のようにトリオの演奏が絡み合い、ひとつの有機生命体のように脈動する。堅固なノイズの壁を作り出し、最後に壁を破壊するストイックなASTROの演奏スタイルとは違い、バンドならではの鼓動が脈打つしなやかな演奏が心地よい。
解体飼育団とは、80年代初頭に長谷川と佐々木ともうひとりで結成されたバンドの名前で、長谷川はドラムを担当、彼にとって最初のバンドだったという。29年ぶりにそのバンド名を冠したユニットで始動、この日が記念すべき初ステージ。これから本格的に活動する予定だというから、要チェックである。
Aural Fit/二階のマウンテン/解体飼育団@新宿URGA 2013.10.3 thu


●2014.3.5(wed)解体飼育団@新大久保Earthdom


2013年新宿URGAで27年ぶりに復活した長谷川洋a.k.a.ASTRO&佐々木悟のプロジェクト「解体飼育団」が再降臨。ASTROのスペーシーなハーシュノイズは3分の1に過ぎず、佐々木の意外にクールなサックスと内田静男の物音ベースが三つ巴となり、単なるノイズでもフリージャズでもドローンでもない芳醇な異世界が目の前に広がる。展開らしい展開のない40分の演奏が吹き抜けた後には、欠落した記憶の空白がポッカリ穴を開けていた。
大凶風呂敷(白石民夫+カミッサ)/魔術の庭/解体飼育団@新大久保Earthdom 2014.3.5(wed)


●2014.8.23(sat)内田静男Solo@神宮前TOKI ART SPACE


LAFMSが本質的に訳が分からない活動体だったから、余計に受け手の想像力(妄想力)と好奇心を掻き立てた。WKTK(ワクテカ)な謎との出会いこそ、愛好家にとって最大のトキメキである。すべての謎が解けると思われているネット社会だからこそ、もっともっと羅府夢衆感が必要であろう。
羅府夢衆(LAFMS)展@神宮前TOKI ART SPACE 2014.8.23(sat)


●2015.4.23(thu)NORD(片山智+長谷川洋+内田静男+α)@高円寺ShowBoat


オリジナルメンバーの片山智とその次の世代の音楽家によるノール最新型。暗闇の中から立ちのぼる煙のような電子音が、明滅するフラッシュに同調して立ち籠める濃霧となる。空気を満たす濃厚な音の靄を吸い込んで、意識は朦朧となり異次元に漂う。言葉にすればアンビエントだろうが、四人の演奏家が放つ邪悪な「気」は、なしくずしの死に誘導する危険な香りがする。1stアルバムB面の「Utopie」を想起させるドラマティックなノイズ交響楽に酩酊した。
グンジョーガクレヨン/K.K. NULL/陰猟腐厭/NORD@高円寺ShowBoat 2015.4.23(thu)


●2017.2.11 (sat) NORD(片山智+長谷川洋+内田静男)@大久保ひかりのうま


2015年4月に高円寺ShowBoatで観て以来約22ヶ月ぶりにNORDを観る。前回同様オリジナル・メンバーの片山智と、ASTROこと長谷川洋と内田静男の3人組。正面のモジュラーシンセやカオスパッドを並べたテーブルに片山が座り、ベースの内田とエレクトロニクスの長谷川は背後の床に黒子のように鎮座する。片山が線香に火をつけ甘い香りが漂うと静かに楽器に息が吹き込まれる。アルバム『NORD』の1曲目「labyrinthe」を思わせるお経の声明で幕を開ける。アンビエント風のスペーシーなドローンが、照明ランプの明滅のリズムに引き裂かれ、シャワーとなって注ぐサウンドの滝になる。目の前の薄明の中で展開されるインダストリアル/サイケ/ノイズの饗宴は、35年間の進化の熟成を物語っている。温和な表情の後ろに漲る強靭な創造性が、音響の亀裂から放射状の光の帯となって弧を描いた。
NORD(ノール)/みみのこと@大久保ひかりのうま 2017.2.11 (sat)


●2017.3.20 (mon) UH(内田静男+橋本孝之)@大久保ひかりのうま


kito-mizukumi rouberで共演する内田と橋本のデュオユニットUH。CD『SIGNAL』以上に口唇ノイズ成分増量の橋本のハーモニカに舐め回されるようなエロティシズムを感じる一方で、禁欲的な内田のセミアコベースを使った物音音響が過激さを緩和するので、過度な妄想が暴走することは無い。アルトの螺旋がベースの肥沃な土壌に音楽の種を蒔いた。
工藤冬里/Reiko.A/UH(内田静男+橋本孝之)@大久保ひかりのうま 2017.3.20 (mon)


●2017.4.16(sun) NORD(片山智+長谷川洋+内田静男)@池ノ上 Bar GARIGARI


何も無いステージに大量の電子機器が運び込まれる。ぼんやり光を放つエフェクター群の前に座った片山智はマッドサイエンティストにしか見えない。後方左に内田静男、右に長谷川洋が黒子のように控える。お香に火をつけ、煙が店内に漂い始めると同時に、低い電子音が流れ出す。お経の呟き、嵐の前兆の風雨、水中の破裂音、遠くの咆哮、様々な音が浮かんでは消える。極めて映像的だが、視覚的に風景を幻視するのではなく、飽くまで聴覚刺激として脳内に現出するサウンドヴィジョンの物語である。映像の無い音だけの夢に引き摺り込まれる感覚は、真のサイケデリックと言えるかもしれない。
【魔窟に集いし地下音楽】NORD/JUNKO+橋本孝之/Sachiko/Sarry@池ノ上 Bar GARIGARI 2017.4.16(sun)


●2017.6.25 sun 長谷川静男(長谷川裕倫 +内田静男)@六本木SuperDeluxe


あぶらだこのVoでもある長谷川ヒロトモと、アコースティックベースを自在に操る内田静男のデュオ。ヒロトモはウクレレを弓で弾く軋みと弦を弾く打音で有機的なノイズ演奏。内田のベースは三つのペダルで変幻し、空間を塗り替えるマジックを発揮する。
Tokyo Flashback P.S.F. 発売記念 ~Psychedelic Speed Freaks~生悦住英夫氏追悼ライブ@六本木SuperDeluxe 2017.6.25 sun


●2017.12.2(sat) UH(内田静男+橋本孝之)@高円寺Fourth Floor


滲有無のメンバーでもあった内田静男と.esの橋本孝之のデュオ。橋本が吹くハーモニカが、内田のアコスティックベースの深い音に浸されてノイズと唾液の飛沫を浴びせる。アルトサックスは最新ソロアルバム『ASIA』の螺旋状ではなく、放物線を描いて大地を潤す如雨露の水となり低音畑の湿地に亀裂を入れた。
フローリアン・ヴァルター/橋本孝之/内田静男/川島誠/増渕顕史/SNH@高円寺Fourth Floor 2017.12.2(sat)


●Disc Review『橋本孝之+内田静男 / UH Takayuki Hashimoto + Shizuo Uchida』


内田の物量感のあるベースと橋本の官能的なサックスとハーモニカの軋轢が生み出す、鳴る音と響く音の穽陥に魂を誘い込まれ、残響がやむ瞬間を心待ちにしながら眠りに落ちる筆者の膝の上にはいつの間にか「音の無い音楽(la Musique sans son)」が座っていた。
#1513 『橋本孝之+内田静男 / UH Takayuki Hashimoto + Shizuo Uchida』 – JazzTokyo

ベーシスト
地下音楽の
屋台骨

●MC Review『NORD / Electric Meditation -Live materials 2015-2017』


Music Cassette : haang niap Records HNCS-007 haang niap records web site
内田静男が主宰する haang niap Recordsからリリースされた片山智を中心とするインダストリアル・ノイズ・ユニットNORDのライヴコレクション。筆者が目撃した2015年4月高円寺ShowBoatと2017年2月大久保ひかりのうまのライヴ音源に加え、2015年12月スタジオセッション音源と2017年5月落合Soupでのライヴ音源が収録されている。ノイズ音響と言うよりも、電気信号に変換された片山の思念が長谷川洋と内田静男によって変容・拡張され、スーパーウーハーを振動させて心身を揉み解すバーチャルマッサージ効果を持つ精神療法と呼ぶ方が相応しい。圧巻はB面すべてを使った落合Soupでのライヴ。30分を超える長尺だが、聴き手に強迫観念を与える密教的な魔窟サウンドは影を潜め、薄明に呟くような酩酊感が全編を貫く。地獄巡りから抜け出して涅槃の境地に達したのか、そのフリをして次の罠を仕掛けているのか、真意を悟らせない不測性こそ、生粋の異端主義者・片山智=NORDの真骨頂である。ここ暫く活動が沈静化しているようだが、また覚醒する時を楽しみにしていたい。
(2019年5月22日記)
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