A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

サンヘドリン/INCAPACITANTS/HAIR STYLISTICS+AGATA他@新大久保Earthdom 2016.2.28(sun)

2016年03月02日 01時38分33秒 | 灰野敬二さんのこと


MURATA a.k.a J-MRT presents
SCUM BIRTHDAY2016~EARTHDOM 10th Anniversary~
【Live】
INCAPACITANTS
サンヘドリン(灰野敬二+ナスノミツル+吉田達也)
HAIR STYLISTICS+AGATA(from MELT-BANANA)
GROUP
BOGULTA
POWER
BONANZAS+伊東篤宏
久土'n 茶谷
嫁入りランド
KURUUCREW+IROHA(VJ)
【LOUNGE DJ】
BLACK SHEEP
河村 康輔
37A
【FOOD】
南風食堂
ちくび珈琲

KURUUCREWのギタリスト村田学は閏日の2月29日生まれなので、誕生日は4年に一回しかない。彼の生誕イベント『スカムバースデーパー』がスカム・ハードコアの聖地アースダムで開催された。6年ぶりのSCUM BIRTHDAYとのことだが、その更に3年前、2007年3月3日に同じアースダムで開催されたSCUM BIRTHDAY2007に灰野敬二率いるサンヘドリンが出演し、筆者も観ている。KURUUCREW(狂うクルー)を観たのもその時が初めてだと思う。その後2010~2012年頃にHair
Stylisticsと対バンすることが多く、中原昌也と村田のデュオもあった。しかし、ここ数年は観る機会がなく、村田に会うのも5年ぶりになるだろうか。
サンヘドリン/kuruucrew M presents『SCUM BIRTHDAY 2007』@新大久保Earthdom 2007.3.3
kuruucrew/MOST/ooioo他@新代田Fever 2010.12.18(sat)
村田学+中原昌也、田端満他@落合 soup 2011.1.8(sat)

ここ数年ノイズ/ジャンク/スカム系のイベントに行くことが減ったこともあり、出演者が10組を超えるこのイベントは久々にアングラ色の濃いコアな現場となった。しかもインフルから復帰したばかりのヲタにとっては、病み上がりの闇鍋イベントは刺激が強過ぎる。昼間は某アイドルのインストアイベントで肩ならしをして、夕方早めに国際タウン新大久保のスカムハウスへ向かった。思いの外多くの若者で賑わうアースダムは、しかし長年のアングラノイズハードコアジャンクの血と汗が染み付いた黴臭さが沈殿する空気の濃い穴蔵だった。会場内は禁煙だが、バーカウンターは喫煙可で、息も出来ない。肉体的にこういう過酷な現場に馴染めなくなってきたのかもしれない。

●HAIR STYLISTICS+AGATA(from MELT-BANANA)




ヘアスタとメルバナナのガチ共演はありそうでなかった。AGATAのギターは、エフェクトにより歪められ、メルトバナナのタイトなリズムを外されて、完全にノイズ発生器と化した。セッティングの遅れた中原昌也が、演奏中に配線をいろいろ差し替えながら、ギターと対峙する電子音響を産み出して行く。成長するデュオノイズを目の当たりにして興味深かった。でも中原君、時間は守った方がいいよ。

●POWER

ハードコアパンクのミュージシャンによるアヴァンギャルド・ポップ・バンドといった雰囲気。変態的なフレーズを連続するギターに調子はずれなメロディー、そしてタイトなビート。曲によってポップグループやZAZEN BOYSを思わせる。悪くないがもう少しキャッチーな曲があれば申し分ない。

●サンヘドリン(灰野敬二+ナスノミツル+吉田達也)


9年前も出演したアヴァンギャルドロックトリオ。サンヘドリンとしてのライヴ自体2年ぶり。凄腕揃いの3人なので、単なる轟音スカムには成り得ない、奥行きのある力技プレイが交錯する狂おしいトライアングルを描いた。長時間のライヴでは楽器を含めバラエティに富んだ世界を創り出すが、30分一本勝負のステージは、一つの流れをキープしたまま、別次元へワープする狂乱の宴を現出した。

サンヘドリン(灰野敬二+ナスノミツル+吉田達也) - LIVE @ SCUM BIRTHDAY2016~EARTHDOM 10th Anniversary~[2016/5/12追加] 



●BONANZAS+伊東篤宏


ボナンザスは狂うクルーとの親交の深いアブストラクトヒップホップバンド。オプトロンの伊東篤宏との共演も不思議ではない激烈なベースミュージックを叩き出す。特に黒い頭巾を被ったボーカリストのラップは、例えばKillerBongと同じ邪悪さを撒き散らす凶暴な影のようであった。リズム感もメロディー感も20世紀的な部分は殆ど無く、21世紀の精神異常者特有の異物感に満ちていた。だからと言って「コレが未来!」とは断言できないのが、20世紀の終わりで成長が止まった音楽ヲタのサモシさ。

●INCAPACITANTS




そういった意味では、この日の出演者の中でも最も前世紀的で最も肉感的で最も人間的なユニットがインキャパシタンツであった。二人の中年男性が細々した電気製品を並べたり振り回したりして音階のない雑音を発生させる。リズムの欠如が逆に人間本来の生命のリズムを浮き出しにし、想い想いに身体を揺するうちに、感極まって痙攣しながら腕を掲げ目の前に迫ってくる。混沌と混乱が産み出す秩序に心が和むのは筆者だけではあるまい。30年以上の間同じことをやり続けているが、終わりがいつ来るのか想像することも出来ない。

混沌のあまり、スカムの権化狂うクルーを観ることが適わず、空気の棲んだ屋外へ逃れた筆者の行く手を阻むものは存在しなかった。

スカ息子
バース泥炭
潤う都市

【NEWS】2015年7月12日スウェーデン、ヨーテボリのリセベリ公園に於ける灰野敬二とジャンプ・フォー・ジョイ(ヘンリー・カウ、ファウストのメンバーによる新バンド)のライヴ音源が公開中。

Keiji Haino och Jump for Joy och avantgarde på Liseberg(灰野敬二とジャンプ・フォー・ジョイが前衛的なリセベリに出現)

Keiji Haino


Keiji Haino: röst, gitarr, elektronik

Jump For Joy


Geraldine Swayne: keyboards, röst – Yumi Hara: keyboards, röst – Geoff Leigh: sax, flöjt, röst, elektronik – Jean-Hervé Peron: elbas, röst, elektronik, cementblandare, m.m. – Chris Cutler: trummor – Zappi Diermaier: trummor, percussion




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