A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ニヒリスト・スパズム・バンド/JAZZ非常階段/あヴぁんだんど@新宿Pitt Inn 2016.3.20(sun)

2016年03月22日 01時45分04秒 | 素晴らしき変態音楽


JAZZ非常階段~ニヒリスト・スパズム・バンド来日公演 2DAYS
3月20日 開場19:30 開演20:00 前売¥4,000+税 当日¥4,500+税

【MEMBERS】ニヒリスト・スパズム・バンド(from カナダ)、非常階段、坂田 明、あヴぁんだんど、テンテンコ

18年ぶりの来日となるカナダ・フリージャズの巨匠「ニヒリスト・スパズム・バンド」。結成50周年を記念しての唯一の海外公演となる新宿ピットインでは「JAZZ非常階段」がサポート。坂田明など豪華ゲストにも注目!



1979年にJOJO広重が耳にした1枚のレコードをきっかけに、カナダの片田舎の変態バンドが日本で紹介され、18年ぶり3度目の日本公演を敢行してしまうのだから「縁は異なもの」に他ならない。ホームメイドの楽器で51年間ノイズを奏でるニヒリスト・ズパズム・バンドは結成37年目の非常階段の心の支えであり目標でもあるという。最年少でも74歳という高齢なので今回が日本ラストツアーと言われている。



かたや平均年齢19歳、最年少は17歳の4人組あヴぁんだんどは非常階段との合体ユニット「あヴぁ階段」でアメリカツアーが決定し、次世代アイドルとして活躍が期待される中、突然メンバーの脱退が発表され、期せずして日本での現メンバーでのラスト公演となった。

半世紀の差異のあるふたつの世代それぞれの「ラスト(最後)」が交錯する奇跡の夜の舞台が、ノイズでもアイドルでもなく「ジャズの殿堂」ピットインというまさにあり得ない状況に立ち会うこととなった。

●ニヒリスト・スパズム・バンド


年齢から考えると驚くほど元気な足取りで登場したメンバーは、自家製の改造楽器で思い思いに音を発する。演説調のヴォーカルは、ビート詩人の朗読か学生運動のアジ演説を思わせる。そのスタイルは、ビート詩人が結成したファッグスや、ダダイストのユーモア集団ボンゾ・ドッグ・バンドを思わせる。

WHAT ABOUT ME? THE RISE OF THE NIHILIST SPASM BAND trailer


●あヴぁ階段


「見捨てられたアイドル」あヴぁんだんどは3月半ばアイドル合同イベントで観た。ネクロ魔、ブクガ、じゅじゅといったオルタナアイドルが出演したにも関わらず、客層の異なるガチ恋系正統派アイドルに挟まれた出演順で、ノリの悪い客を前に奮闘する姿が印象的だった。それに比べれば今回はヴぁヲタが半数を占める現場。JOJOと美川の激ノイズの向こうを張って躍動感たっぷりに歌い踊る姿が歓声に包まれる。2曲だけだが、ラストステージの惜別の涙が共有される卒業ライヴだった。

Avan-kaidan [あヴぁ階段] live


●MikaTen


T.美川とテンテンコによるノイズユニット。2013年BiS階段が結成されたばかりの頃、BiSメンの中で娘にするとしたら誰を選ぶかという問いにT.美川が「テンテンコさん」と答えたのは有名な話だが、本当に子弟コンビを結成するとは晴れて養子縁組成立だろうか。テンテンコが買ったばかりのシンセサイザーTeenage Engineering OP-1でパルスビートを奏でる上に、美川の切れ味鋭いノイズが飛び交う。美川がこれほど軽やかなプレイを観せるのは初めてかも知れない。お互い新境地を見いだしたようだ。

テンテンコ (Tentenko) - 木の下 (Konoshita)


●JAZZ非常階段(坂田明+JUNKO+JOJO広重+T.美川+岡野太)+テンテンコ


金曜日のUFO CLUBから三日連続ライヴ出演の坂田明の達者ぶりも驚異的。孫娘世代のテンテンコが重低音を奏で、怒濤のジャズ非を底辺から支えていたのが興味深い。「禁断の×」コラボを連発する非常階段の演奏が、これまでになくポップに聴こえるのは、時代がノイズに近づいた徴といえるかもしれない、少なくともあヴぁヲタにとってマル非の演奏は気持ちがアガるアゲチューンと捉えられているようだ。

テンノイズの時間(テンテンコ + 非常階段)@渋谷HMV RECORD SHOP


●坂田明+岡野太
坂田と岡野のガチ恋デュオは、JAZZ非ライヴ最大の見所といって間違いない。マル非の「ニヒル担当」岡野のストイックなドラミングが、絶叫サックス奏者坂田が吹く「スピリチュアル・ユニティ」の炎上フレーズに油を注ぎ、ジャズもノイズもアイドルも関係なく、凄まじいまでの交歓模様を観るものの目と耳に焼き付ける。此の10数分の為に生きていると錯覚するほど刹那的な充足感に満たされた。

JAZZ非常階段(SAKATA+OKANO)@磔磔


●ニヒリスト・スパズム・バンド+あヴぁんだんど+JOJO広重+T.美川

©Shinjuku Pit Inn

第2部は全員交歓コラボレーション。70歳超えNSBと19歳あヴぁの非音楽的共演は、甘える孫に祖父が翻弄されるようなほのぼのとしたムードに包まれて、悪戯が過ぎて泣き出す子もいるものの、両者が共有した幸福感は、ダブルラストライヴのハイライトにして大団円だった。

●坂田明+テンテンコ+大西あや+JOJO広重+T.美川

©Shinjuku Pit Inn

もうひとつの交歓コラボは、10代の頃にバンド赤痢で活動し、現在カナダ在住でNSBのメンバーでもある大西あやをドラムに、坂田とテンコの祖父孫コンビをフィーチャー。とんでもなく悪ガキだった大西の変貌ぶりに感慨を語る広重も、当時は相当悪だったはず。時代の流れと人の姿は常に追いかけっこのように入れ替わる。そう考えれば50歳の歳の差は2回転してゼロに近づくのかもしれない。プリミティブな演奏が、音楽の原点回帰を促した。

卒業を
見送る気持ち
伝わった

卒業する星なゆたの挨拶は推しじゃなくてもエモ過ぎる。「あヴぁ階段は永遠です」という広重の言葉に救われた。

あヴぁんだんど「Feedback Friday」MV Full
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