A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【フィッシング】カルメン・マキ/キノコホテル/オーネット・コールマン/でんぱ組.inc

2015年06月14日 01時22分58秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


街の会話やSNSやテレビやラジオで「ツイッターのトレンド入りした」ことが話題にされる昨今、世の中のトレンドとは無縁の道を歩んできた当ブログにもその余波が及ぶことが時々ある。1年半前武道館の記事で亡くなったばかりの大瀧詠一のことを書いたところ「フィッシングまがい」という脳足りんのコメントが寄せられ呆れたが、今回は意図的なフィッシング記事である。釣られる魚がいるかどうか、数字が証明してくれることだろう。
注:記事は過去ブログからの抜粋です。

祝デビュー45周年。カルメン・マキの分裂症的女子道のススメ


デビュー45周年!
何にも縛られず、オーバーグラウンドとアンダーグラウンドを自在に行き来した歴史の中から、自らがベストチューンを選曲。
自身の半生を振り返るセルフライナーノーツ、未公開写真を含めた究極のベスト!
2014年最新リマスター CD3枚組 全43曲 監修:カルメン・マキ

●カルメン・マキ(旧本名:Maki Annette Lovelace、1951年5月18日 - )63歳
頭脳警察デビュー45周年の今年は全日本ロック女子の姐御カルメン・マキにとってもデビュー45周年である。寺山修司の天井桟敷に所属し、1969年に寺山作詞の「時には母のない子のように」でデビューし、一躍大ヒット、紅白出演を果たした時代の寵児。清楚且つ妖艶な美貌は、まさしくアングラ&カウンターカルチャーの女神様。

70年代突然ロックへと転向。ロケンロー、ブルース、ハードロック、メタル、プログレと70年代ロックの王道を突き進み、サディスティック・ミカ・バンドと並ぶ人気バンドとして活躍したカルメン・マキ&OZ。どちらも女子ヴォーカルだったから、ジャップロックのベースは女子が作ったと言っても過言ではないかもしれない。特にマキの伸びやかなシャウトは、イアン・ギランやロバート・プラントを真似ても貧相にしかならない男子を尻目に、ロック女子のパワーを世に知らしめた。

ニューウェイヴ勢にヘヴィメタで対抗し孤軍奮闘した80年代を経て、90年代以降はロック、バラード、アコースティック、ジャズ、インプロ、ポエトリー・リーディングとジャンルに束縛されない音楽活動を続け、極めて自由度の高いスタンスを貫く。2012年の最新作『FROM THE BOTTOM』では、70年代への想いや阿部薫への追想など、タイトル通りアンダーグラウンドの闇から沸き上がる深い感情を歌い上げた。ジャズ系の小さな会場を中心とした最近のライヴでは、フリー系のミュージシャンとの共演が多く、かつてのロックの女王とは異なる魅力を発揮している。

そんなマキのパブリックイメージは「アングラ・フォーク歌手」と「ロックの女王」に二分される。どちらか一方のイメージに偏ったこれまでの再発やベスト盤では、彼女のスキッツォイド(分裂症)&アンビバレント(両向性格)なスケール感を捉えることは不可能だった。しかし、マキ本人の選曲・監修による此の3枚組アンソロジーには、知識として理解しても経験・体験出来なかったマキの全軌跡がドキュメントされている。マキ自身によるセルフ・ライナーノーツには、選曲コンセプトと背景・理由が詳細に記されている。売らんが為に有名曲を寄せ集めた安易な「ベスト盤」ではなく、カルメン・マキという希有な魂の鼓動が息づく「新作」といえるに違いない。

寺山修司繋がりでもあり、昭和40年代後半アングラ女子の象徴として思い浮かぶのが、もうひとりのマキ、浅川マキ(1942年1月27日 - 2010年1月17日 満67歳没)である。カルメン・マキは自身のブログで、9歳年上のマキ界の女王との想い出を綴っている。

私が初めて「浅川マキ」を観たのは、私が「時には母のない子のように」で歌手デビューする直前の1969年の冬、今は失きあの伝説の「新宿アートシアターギルド(ATG)」の地下「蠍座」だった。あの時の衝撃を私は多分一生忘れないだろう。その少し前に出会った天井桟敷の芝居「青髭」や、その少し後に聴いたジァニスの「チープ・スリル」、ジミ・ヘンドリックスの「Are You Experience?」と同様に、それはその後の私の人生を変えるきっかけとなるものだったと言ってもいい。
だから怖れ多くも「かもめ」を歌うことには当然、随分と勇気が要った。浅川マキファンに申し訳ない、比べられるのではないか、などと悩み、自信もなかった。けれど、そんな私を後押ししてくれたのは意外にもマキさん本人だった。「あの歌を歌えるのはマキしかいないでしょ」大マキ姉さんにそう言われて、私は安堵したと同時に、ただ好きで歌いたかっただけのあの歌が私にとって、もっと大きな意味をもつようになった。(2007年7月31日)


デビューから亡くなるまで一貫して黒とタバコに拘った大マキ姉さん(浅川マキ)と、華やかなスポットライトから再び地下へと戻り、スピリチュアルな歌を唄うカルメン・マキ。両者のイメージがお互いに滲んでひとつの大河となっての流れ出す瞬間(とき)がいつか来るかもしれない。(2014年6月6日記)

キノコホテル@恵比寿リキッドルーム 2014.7.18(fri)~呪縛の胞子を浴びる快楽園


4thアルバム『マリアンヌの呪縛』発売記念ツアー最終日。物販グッズのジャケの大蛇が蜷局を巻く蛇(ヘヴィ)イラストがPOP。2月大雪のエレクトリック・プルーンズ以来今年二回目の実演会参戦だが、プルーンズ、マニ・ノイマイヤー、スージー・クアトロといった海外ベテラン勢との対バンが続いたせいか、筆者を含めオヤジ層が増加しているような気がする。男子率が圧倒的に高いのは毎度のことなので、マリアンヌが限定女子会ライヴをやりたがる気持ちがわかる。

何度も観ている割にマリアンヌに女子らしさを感じたことは多くないのだが、指でイカせるベース女子ジュリエッタ霧島が加入し、バンドの力量が大幅アップするのに反比例してマリアンヌが支配人(リーダー)の重圧から解放され、ガールズパワーを発揮し始めているように思える。それは決して弱さや脆さではなく、夢想力と現実性が渾然一体とした少女期から、サディズムとマゾヒズムの使い分けを心得た大人の女へと成長する、人間本来の生命力の発露としての飛躍である。昨年に続き深夜ヘヴィ(蛇)ロックパーティー出演も伊達ではない。

その証拠に、繰り返されるキーボードを放置してのマイクアピールや、各従業員との絡み、挑発的な肌露出が、21曲130分最新曲から逆に年代を辿っていくようなセトリと違和感無く融和し、エンターテインメントとして完成の域に近づいている。2007年の創業同時から7年に亘り独自の世界を醸造し続ける希有な女子バンのステージは、まさしく現代日本の文化の断面だと言えよう。蛇ロックでも対バンする同じくコスプレ系のアーバンギャルドと帯同して裏JAPAN EXPO海外興行を鬱(打つ)のは如何だろうか?(2014年7月20日記)

オーネット・コールマン18年ぶりのスタジオ録音新作『ニュー・ボキャブラリー』登場


全くと言っていいほど話題になっていないが、ジャズの巨匠オーネット・コールマンの18年ぶりのスタジオ録音アルバム『ニュー・ボキャブラリー(新たな語彙)』が突然ウェブ上でリリースされた。リリース元のSystem Dialing Recordingsのサイトで試聴できる。高齢のためもう演奏できないのではと思ったりもしたが、サワリを聴く限りではトレードマークの明朗な音色でしっかりしたプレイをしている。曲によってはエレクトロ処理されたバックトラックが、今までにないフューチャージャズ的な世界を創造し、新鮮な響きを伝える。CDがまったく売れないというアメリカ市場の動きを反映して、フィジカルリリースはアナログLPのみ、デジタル配信は幾つか違うフィーマットがある。「192/24 STUDIO MASTERS」というフォーマットは聴いたことがないが、どんなクオリティなのか気になる。

老いた枯れたとは言っても世界の自由音楽・前衛音楽・極端音楽の創始者の新作にはもっと注目されるべきであろう。筆者はデジタル配信では満足できないのでアナログLPをオーダーするのでまだアルバム全曲は未聴だが、海外の紹介記事を「勝手に翻訳」するので参考にしていただきたい。

完全に新しくて陽気なほど親密
オーネット・コールマン『ニュー・ヴォキャブラリー(新しい語彙)』は1996年以来のスタジオ録音。
by マーティン・ジョンソン(ウォール・ストリート・ジャーナル)

ジャズの巨匠オーネット・コールマンの新録音作品が衝撃的なほど全く事前予告なしにリリースされた。ニュー・アルバム『ニュー・ボキャブラリー』はリリース元レーベルSystem Dialing Recordingsのウェブサイトで2014年12月下旬に入手可能になった。この革新的サックス奏者兼作曲家が、トランペット奏者ジョーダン・マクリーン、ドラマーのアミール・ジヴ、キーボーディストのアダム・ホルツマンと共演している。

コールマンの新しい音楽が聴かれなくなって久しい。同世代のサックスの伝説ソニー・ロリンズの2011年のライヴ・アルバム『ロード・ショウズVol.2』(Doxy)にゲスト参加した。直近の公式録音作品は2006年のライヴ録音『サウンド・グラマー』(Sound Grammar)で、翌年のピュリッツァー賞音楽部門を受賞した。スタジオ録音作品は1996年の『サウンド・ミュージアム:スリー・ウィメン』(Harmolodic/Verve)以来18年ぶりとなる。

現在84歳のコールマンはジャズ史でもっとも重要な人物のひとり。50年代末に、最初はロサンゼルス、次にニューヨークの音楽シーンに登場し、ハーモニーの規則を緩めて、ミュージシャンが感じたままに演奏することを可能にした。そのアプローチはコールマンの傑作アルバムのタイトルから「フリー・ジャズ」と呼ばれた。60年代後半、弦楽四重奏曲を作曲した最初のジャズ・ミュージシャンの一人となる。70年代に『サイエンス・フィクション』(Columbia, 1971)などの古典的作品を生み、1976年にプライム・タイムの最初の作品をリリースした。プライム・タイムは複数のエレクトリック・ギターとベースをフィーチャーし、ジャズとファンクを自然に融合させた。

突然の登場ではあったが、『ニュー・ボキャブラリー』のリリースは時宜を得たものである。2014年はコールマンへのトリビュート企画が二つ開催された。10月にはバッド・プラスがシリーズ・コンサートで『サイエンス・フィクション』全曲を演奏した。6月にはブルックリンでコールマン本人も参加して『セレブレイト・オーネット』と題されたコンサートが開催された。

ニュー・アルバムは2009年にレコーディングされた。その前年にコールマン氏は『フェラ!』というミュージカルに出席し、終演後バックステージでマクリーンに会った。マクリーンはミュージカルのアシスタント・ミュージック・ディレクターであり、劇中音楽をアレンジし演奏したNYブルックリンで活動するアフロビート・バンド「アンティバラス(Antibalas)」のメンバーだった。二人は意気投合して、コールマンは40歳のマクリーンを自宅へ招待し一緒に演奏した。そのセッションに参加したのはマクリーンのエレクトリック・バンド「ドロイド(Droid)」のメンバーのジヴとホルツマンだった。43歳のジヴは20年以上セッション・ミュージシャンとして活動し、ショーン・レノン、ローリン・ヒル、メデスキー・マーティン&ウッドの作品に参加している。56歳のホルツマンは自らのバンドを率る一方で、マイルス・デイヴィス、チャカ・カーンなどと共演してきた。非公式のジャム演奏は次第に厳格なリハーサルとなり、アルバムに収録された12曲を完成させた。

『ニュー・ボキャブラリー』の収録時間は42分。コールマンの明るく歓喜に溢れたサックスと、マクリーンの電気エフェクトとホルツマンのピアノとの対比が印象的な2曲の小品「ベイビー・フード」「サウンド・ケミストリー」でスタートする。そこから徐々に強度を増した「アルファベット」「ブリーディング」「イフ・イット・テイクス・ア・ハッチャー」「H20」へと進む。ジヴのドラムがパワーをまし、コールマンとマクリーンがドライヴするリズムに乗せてグルーヴィなプレイを繰り広げる。アルバムは雰囲気を変えた黙想的な「ゴールド・イズ・ゴッズ・セックス」で幕を閉じる。

オーネット・コールマンのプロジェクトの多くは、全く新しい何かを提示するか、過去の作品に密接に関連したものを提示するかのいずれかである。プライム・タイムや『サウンド・ミュージュアム』バンドは革新的変貌だった。『サイエンス・フィクション』は先立つブルー・ノート作品の集大成だったし、『サウンド・グラマー』はコールマンの馴染深いセッティング=カルテットで長いキャリアからのレパートリーの再演だった。『ニュー・ボキャブラリー』は両方兼ね備えている。直接的な引用のメロディーはないが、コールマンのプレイは所々で彼の60年代初期、70年代初期、80年代後期の作品を想起させる。一方バッキングは彼の演奏をレコーディング作品だけで知るリスナーにとっては、全く目新しいものである。コールマンはそんなバンドメイトからエナジーを得ている。彼がこれから目指す新たな方向性を示唆している。水面下の発進にもかかわらず、『ニュー・ボキャブラリー』はオーネット・コールマンの輝かしいディスコグラフィーに新たな価値を付け加えるに違いない。(2015年1月16日記)


でんぱ組.inc@渋谷Club Quattro 2014.7.29(tue)& 30(wed)


(日本)武道館の神通力が如何に強いのかを証明するかのようにメディア露出&SNS投稿が増加中のでんぱ組が、いよいよ実質的に(日本)武道館後最初のリリース日を迎えた、シングル「ちゅるりちゅるりら」と(日本)武道館公演のDVD『ワールドワイド☆でんぱツアー2014 in 日本武道館~夢で終わらんよっ! ~』がリアル&バーチャル店頭を賑わせる中、全国ツアーがスタート。フラゲ日&リリース日に渋谷クラブクアトロで公演。(日本)武道館の十分の一のキャパなので、当然両日とも完全ソールドアウト。手荷物持込禁止という措置は初めての体験だったが、邪魔モノなしで、とても快適に観戦出来た。

ガチのヲタと新規ファンの混在する場内は、例えばBiSの解散ツアーのような切羽詰まった狂乱ではなく、オラがアイドルを応援するほのぼの愛が主導するピースフルな空気の熱気が溢れ出していた。でんぱ組自身がとりわけ楽しみにしていたツアーであり、外の通りを宣伝トラックが走るお祭り感に感染したハイテンションでトレンディーなキレのいいパフォーマンスを堪能。いくらメディア露出が増えようとも、ライヴこそが最もリアルな現場だと再認識した。将来的にリアル現場がどこまで規模を拡大するかは未知数だが、「いま、この国に”でんぱ組.inc”というグループがいるのはおもしろい」(成瀬瑛美/81 JAPAN summer)ことは確か。このおもしろさがいつまでも続くことを願ってやまない。

個人的にはメンバーそれぞれのキャラクターがより個性的に輝きを増していく状況が興味深く、推しメンのえいたそ☆成瀬瑛美の暴走ぶりは勿論、筆者の妄想力をこれほど刺激してくれる存在感は、アイドル云々関係なく面白い。これまでは「前衛とポップの融合」が音楽を聴く際の大きな関心事だったが、今では別に交じり合わなくても、想像力=妄想力を拡大させてくれる音楽こそ、求めるべきものだと思う。前衛でも地下音楽でもロケンローでもアイドルでもJ-POPでもジャズでも、その気持ちは変わらない。(2014年8月1日記)

仲直り
リボンをつけて
夜露四苦!


祝!6/19Mステ出演!




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