A Challenge To Fate

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【特報】オーネット・コールマン18年ぶりのスタジオ録音新作『ニュー・ボキャブラリー』登場!

2015年01月16日 00時15分15秒 | 素晴らしき変態音楽


全くと言っていいほど話題になっていないが、ジャズの巨匠オーネット・コールマンの18年ぶりのスタジオ録音アルバム『ニュー・ボキャブラリー(新たな語彙)』が突然ウェブ上でリリースされた。リリース元のSystem Dialing Recordingsのサイトで試聴できる。高齢のためもう演奏できないのではと思ったりもしたが、サワリを聴く限りではトレードマークの明朗な音色でしっかりしたプレイをしている。曲によってはエレクトロ処理されたバックトラックが、今までにないフューチャージャズ的な世界を創造し、新鮮な響きを伝える。CDがまったく売れないというアメリカ市場の動きを反映して、フィジカルリリースはアナログLPのみ、デジタル配信は幾つか違うフィーマットがある。「192/24 STUDIO MASTERS」というフォーマットは聴いたことがないが、どんなクオリティなのか気になる。
System Dialing Recordings公式サイト

老いた枯れたとは言っても世界の自由音楽・前衛音楽・極端音楽の創始者の新作にはもっと注目されるべきであろう。筆者はデジタル配信では満足できないのでアナログLPをオーダーするのでまだアルバム全曲は未聴だが、海外の紹介記事を「勝手に翻訳」するので参考にしていただきたい。



New Vocabulary

A new collaboration by
Ornette Coleman – Alto Saxophone
Jordan McLean – Trumpet & Electronics
Amir Ziv – Drums
Adam Holzman – Piano *

Mixed by Marc Urselli, Abe Seiferth (1, 10), and Amir Ziv (11)
Mastered by Dietrich Schoenemann

Additional engineering by Jonathan Jetter

Artwork by Michelle Bothe
Produced by Jordan McLean & Amir Ziv

Special thanks to:
Bill T. Jones, Reggie Workman, Maggie Gyllenhaal, Joel Segel, Jac Holzman, Martin Mueller, Peter Sarsgaard, Kenwood Dennard, Bill Kirchner, Jonathan Jetter, Easy Partners, Shelly Joy, David Read, Laurel Angrist, Angelina Mike, Justin Stern, Peter Strunsky, and Gadi Shorr.

完全に新しくて陽気なほど親密
オーネット・コールマン『ニュー・ヴォキャブラリー(新しい語彙)』は1996年以来のスタジオ録音。

by マーティン・ジョンソン(ウォール・ストリート・ジャーナル)

ジャズの巨匠オーネット・コールマンの新録音作品が衝撃的なほど全く事前予告なしにリリースされた。ニュー・アルバム『ニュー・ボキャブラリー』はリリース元レーベルSystem Dialing Recordingsのウェブサイトで2014年12月下旬に入手可能になった。この革新的サックス奏者兼作曲家が、トランペット奏者ジョーダン・マクリーン、ドラマーのアミール・ジヴ、キーボーディストのアダム・ホルツマンと共演している。

コールマンの新しい音楽が聴かれなくなって久しい。同世代のサックスの伝説ソニー・ロリンズの2011年のライヴ・アルバム『ロード・ショウズVol.2』(Doxy)にゲスト参加した。直近の公式録音作品は2006年のライヴ録音『サウンド・グラマー』(Sound Grammar)で、翌年のピュリッツァー賞音楽部門を受賞した。スタジオ録音作品は1996年の『サウンド・ミュージアム:スリー・ウィメン』(Harmolodic/Verve)以来18年ぶりとなる。



▼Sonny Rollins & Ornette Coleman - Sonnymoon For Two


現在84歳のコールマンはジャズ史でもっとも重要な人物のひとり。50年代末に、最初はロサンゼルス、次にニューヨークの音楽シーンに登場し、ハーモニーの規則を緩めて、ミュージシャンが感じたままに演奏することを可能にした。そのアプローチはコールマンの傑作アルバムのタイトルから「フリー・ジャズ」と呼ばれた。60年代後半、弦楽四重奏曲を作曲した最初のジャズ・ミュージシャンの一人となる。70年代に『サイエンス・フィクション』(Columbia, 1971)などの古典的作品を生み、1976年にプライム・タイムの最初の作品をリリースした。プライム・タイムは複数のエレクトリック・ギターとベースをフィーチャーし、ジャズとファンクを自然に融合させた。



突然の登場ではあったが、『ニュー・ボキャブラリー』のリリースは時宜を得たものである。2014年はコールマンへのトリビュート企画が二つ開催された。10月にはバッド・プラスがシリーズ・コンサートで『サイエンス・フィクション』全曲を演奏した。6月にはブルックリンでコールマン本人も参加して『セレブレイト・オーネット』と題されたコンサートが開催された。



▼The Bad Plus- Science Fiction

▼Celebrate Ornette


ニュー・アルバムは2009年にレコーディングされた。その前年にコールマン氏は『フェラ!』というミュージカルに出席し、終演後バックステージでマクリーンに会った。マクリーンはミュージカルのアシスタント・ミュージック・ディレクターであり、劇中音楽をアレンジし演奏したNYブルックリンで活動するアフロビート・バンド「アンティバラス(Antibalas)」のメンバーだった。二人は意気投合して、コールマンは40歳のマクリーンを自宅へ招待し一緒に演奏した。そのセッションに参加したのはマクリーンのエレクトリック・バンド「ドロイド(Droid)」のメンバーのジヴとホルツマンだった。43歳のジヴは20年以上セッション・ミュージシャンとして活動し、ショーン・レノン、ローリン・ヒル、メデスキー・マーティン&ウッドの作品に参加している。56歳のホルツマンは自らのバンドを率る一方で、マイルス・デイヴィス、チャカ・カーンなどと共演してきた。非公式のジャム演奏は次第に厳格なリハーサルとなり、アルバムに収録された12曲を完成させた。



▼Droid


『ニュー・ボキャブラリー』の収録時間は42分。コールマンの明るく歓喜に溢れたサックスと、マクリーンの電気エフェクトとホルツマンのピアノとの対比が印象的な2曲の小品「ベイビー・フード」「サウンド・ケミストリー」でスタートする。そこから徐々に強度を増した「アルファベット」「ブリーディング」「イフ・イット・テイクス・ア・ハッチャー」「H20」へと進む。ジヴのドラムがパワーをまし、コールマンとマクリーンがドライヴするリズムに乗せてグルーヴィなプレイを繰り広げる。アルバムは雰囲気を変えた黙想的な「ゴールド・イズ・ゴッズ・セックス」で幕を閉じる。

オーネット・コールマンのプロジェクトの多くは、全く新しい何かを提示するか、過去の作品に密接に関連したものを提示するかのいずれかである。プライム・タイムや『サウンド・ミュージュアム』バンドは革新的変貌だった。『サイエンス・フィクション』は先立つブルー・ノート作品の集大成だったし、『サウンド・グラマー』はコールマンの馴染深いセッティング=カルテットで長いキャリアからのレパートリーの再演だった。『ニュー・ボキャブラリー』は両方兼ね備えている。直接的な引用のメロディーはないが、コールマンのプレイは所々で彼の60年代初期、70年代初期、80年代後期の作品を想起させる。一方バッキングは彼の演奏をレコーディング作品だけで知るリスナーにとっては、全く目新しいものである。コールマンはそんなバンドメイトからエナジーを得ている。彼がこれから目指す新たな方向性を示唆している。水面下の発進にもかかわらず、『ニュー・ボキャブラリー』はオーネット・コールマンの輝かしいディスコグラフィーに新たな価値を付け加えるに違いない。

老いて尚
血気盛んな
オーネット翁



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