クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

コメントはメーカー案内書より抜粋です。お問い合わせ:goodies2@pc.highway.ne.jp

11-05 No.10-1

2011年05月18日 16時14分17秒 | Weblog
<NIFC>
NIFCCD 604-605 2枚組 ¥4600
ルーカス・ゲニューシャス -
第16回ショパン国際ピアノ・コンクール・ライヴ ――
ショパン:
練習曲第2番イ短調Op.10-2/12の練習曲Op.25
ポロネーズ第5番嬰ヘ短調Op.44/舟歌嬰ヘ長調Op.60
ワルツ第5番変イ長調Op.42/幻想ポロネーズ変イ長調Op.61
ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調Op.35《葬送》
ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.11*
ルーカス・ゲニューシャス(ピアノ/スタインウェイ)、
アントニ・ヴィト(指揮)*、ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団*
NIFCのブルー・シリーズ、第16回ショパン国際ピアノ・コンクール・ライヴ・
レコーディング第3弾は、インゴルフ・ヴンダーと第2位を分け合い、ポロネー
ズ賞を獲得したルーカス・ゲニューシャス(1990-)!
モスクワの音楽一家に生まれたゲニューシャスは、ロシアの名教師ヴェラ・
ゴルノスタエヴァの孫であり秘蔵っ子。このショパン・コンクールのライヴで
も完全に自分の世界を創り上げており、その個性と成熟度は、名手揃いの入賞
者の中でも群を抜いている。
まるでコンサートのようなコンクール・ライヴ。未来が楽しみなピアニストが
また1人登場です!
録音:2010年10月3日-23日、ワルシャワ・フィルハーモニー・コンサート・
ホール(ポーランド)/使用ピアノ:スタインウェイ

NIFCCD 606-607 2枚組 ¥4600
ダニール・トリフォノフ -
第16回ショパン国際ピアノ・コンクール・ライヴ ――
ショパン:
練習曲第8番ヘ長調Op.10-8/練習曲第18番嬰ト短調Op.25-6
夜想曲第17番ロ長調Op.62-1/スケルツォ第4番ホ長調Op.54
ワルツ第1番変ホ長調Op.18/舟歌嬰ヘ長調Op.60/3つのマズルカOp.56
スケルツォ第3番嬰ハ短調Op.39/アンダンテ・スピアナート変ホ長調Op.22
マズルカ風ロンド ヘ長調Op.5/幻想ポロネーズ変イ長調Op.61
タランテラ変イ長調Op.43/ピアノ・ソナタ第3番ロ短調Op.58
ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.11*
ダニール・トリフォノフ(ピアノ/ファツィオーリ)、
アントニ・ヴィト(指揮)*、ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団*
ポーランド国立ショパン協会(ショパン研究所)の自主レーベル"NIFC" のブル
ー・シリーズ第4弾は、第16回ショパン国際コンクールの第3位&マズルカ賞受
賞者、ダニール・トリフォノフ(1991-)!
輝かしい音色で疾走する「練習曲第8番」が衝撃的なトリフォノフは、今大会
から公式ピアノに加わったイタリアの銘器"ファツィオーリ"使用の最上位入賞
者。ファツィオーリを特色を完全に把握したトリフォノフのショパンは、間
違いなくショパン・コンクールに刻まれた新たな1ページである。
録音:2010年10月3日-23日、ワルシャワ・フィルハーモニー・コンサート・
ホール(ポーランド)/使用ピアノ:ファツィオーリ




<audite>
AU 97538 ¥2250
「ホルンとピアノのためのフランス音楽」
・サン=サーンス:ロマンス ヘ長調Op.36(1874)
・ジャン=ミシェル・ダマーズ(b.1928):ホルンとピアノのためのソナタ
・サン=サーンス:ロマンス ホ長調Op.67(1885)
・ジャン=ミシェル・デュファイエ(b.1932):ホルンとピアノためのALPHA
・プーランク:エレジー
・デュカス:ヴィラネル
グリエルモ・ペッラリン(Hrn ; パクスマン・モデル20M)
フェデリーコ・ロヴァート(P ; スタインウェイ・モデルD)
録音:2009年7月10-13日イタリア、トレント、
フィエーラ・ディ・プリミエーロ(セッション・デジタル)
ローマの聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団首席ホルン奏者ペッラリンが、
目の覚めるテクニックで聴かせるホルン作品集。このジャンル屈指の名曲&
難曲「デュカスのヴィラネル」をはじめ、ナチュラル・ホルンからヴァルヴ
式ホルンにかけての発展過程で、独自の発展を遂げたフランスのホルン作品
を取り上げています。
なかでも、アルバム独自のカラーを打ち出しているのが、20世紀前半に生ま
れたダマーズとデュファイエの作品。初録音となるダマーズのホルン・ソナ
タは、ワーグナーの「ジークフリート牧歌」の第1主題の引用とおぼしきテー
マが第1楽章で何度も現われたり、主題と変奏の形式によるアンダンテでは、
リズムのせいか、ややジャズ風の香りを漂わせたりするのが特徴的。
デュファイエのALPHAは1973年にパリ音楽院のホルン最終試験用に書かれた
課題曲。2オクターヴ以上に及ぶ半音階パッセージ、タンギングつきのロン
グ・トーン、さらに超低音域を吹かせたりするいっぽうで、最後のレントの
セクションでは、ただピアノはさまざまな和音を鳴らすだけなのに、ホルン
には自由な表現を要求したりと、まさしく実力をこれでもかと試してくるか
なりの難曲で、こちらもまた、ジャズのエッセンスを取り入れた内容が聞か
れます。




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11-05 No.10-2

2011年05月18日 16時13分45秒 | Weblog

<harmonia mundi>
「ルソン・パティキュリエ」(個人レッスン)シリーズ第2弾の御案内

HMD 9909040(DVD-Video) ¥2450
ニキタ・マガロフ(ピアノ)-プライベート・レッスン
【監督:ミシェル・フォラン】
(1)ショパン:バラード第2番(生徒:パトリシア・パニー)
(2)ムソルグスキー:展覧会の絵(生徒:フィリップ・カッサール)
(3)シューベルト:
ピアノ・ソナタ第17番「マリアの苦しみにのせて」D.632
(生徒:フィリップ・カッサール)
(4)シューベルト:即興曲第2番 変ホ長調 D899(生徒:坂上博子)
(5)シューマン:夢のもつれ(幻想小曲集より)(生徒:フィリップ・カッサール)
(6)ストラヴィンスキー:タンゴ(マガロフ自身の演奏)
(7)ショパン:舟歌(マガロフ自身の演奏)
放送:1989年
これは貴重!洗練の巨匠、ニキタ・マガロフのレッスン。マガロフは演奏者
としても優れた功績を残していることは言うまでもありませんが、教師とし
てもアルゲリッチをはじめ、ルイサダにも影響を与えるなど優れた弟子を育
てています。レッスン風景を見ていると、マガロフの高貴な人格と音楽性が
滲みでており、まさに「音楽家」の姿がここにあると感じます。ショパンの
権威として名高いマガロフ、ショパン作品のレッスンでは、テンポ設定、左
手の扱いの重要さを説きます。ちょっとしたお手本を示しながら話すのです
が、そのお手本演奏がとにかく巧い!引き込まれてしまいます。「君のテン
ポは速すぎるよ」「エスプレッシーヴォに」「君のフォルテは強すぎるよ」
という指示の語り口もなにもかも、実にエレガントで洒脱。マガロフが高貴
なる家柄の出であることも多いに納得です。レッスン場所は雰囲気溢れる
ジュネーブ湖畔のマガロフの自宅。レッスンに訪れる生徒をまず奥様(シゲ
ティの娘)があたたかく迎え入れる姿も印象的です。室内には畏友リパッティ
の写真などが飾られています。楽譜に書かれていること、テキストを尊重す
ることの大切さなどを語ったドキュメンタリーをはさみながら、マガロフの
高貴なる人格溢れるレッスンが続きます。マガロフの演奏姿からは気品が滲
みでています。マガロフに魅了されてしまいます。

HMD 9909036(DVD-Video) ¥2450
ケネス・ギルバート(オルガン、チェンバロ)-プライベート・レッスン
【監督:ミシェル・フォラン】
(1)J.S.バッハ:イタリア協奏曲より第1楽章
(2)J.S.バッハ:パルティータ 第4番 ニ長調 BWV 828より序曲
(ギルバート自身による演奏)
(3)F.クープラン:空想にふける女(La Visionnaire)(ボーモン)
(4)F.クープラン:さまよう亡霊たち(Les Ombres errantes)(ボーモン)
(5)F.クープラン:パッサカイユ(ギルバート自身による演奏)
(6)フローベルガー:ファンタジー(ボーモン/オルガン)
放送:1990年
ギルバートは音楽の勉強を始めた時からチェンバロ一筋。少年の時に聴いた
チェンバロの音色に魅せられて、音楽の世界に入るきっかけとなったのは
チェンバロでした。そんなギルバートが、生徒役として登場している愛弟子
のボーモンの演奏を聴く際の真剣さがまず印象的。生徒はオリヴィエ・ボー
モン。当時すでに演奏者として活躍している名手ということもあってか、ボ
ーモンの素晴しい演奏をまずたっぷりと観ることができる造りになっていま
す。その後でのギルバートの非常に真摯なアドヴァイスも印象的。イタリア
協奏曲では第1楽章冒頭の和音の鳴らし方についてもボーモンと対話をしな
がらアドヴァイスをします。ギルバートはF.クープランの楽譜の校訂もして
いる、フランス・バロックの権威。クープラン作品のレッスンでは様々な貴
重なコメントが飛び出します。空想にふける女(La Visionnaire)はフランス
風序曲でありながら、フランス風序曲の形式に則っていないこと(つまり、
グラーヴェではない)ことの意味について思慮深い発言をしています。また、
さまよう亡霊たちではクープラン作品でのアーティキュレーションの付け方
について、細やかに話します。実際にお手本でほんの少しだけ演奏していま
すが、その演奏が素晴らしくてハッとさせられます。フローベルガー作品で
はオルガンに楽器をかえてのレッスン。音色の選択やフレーズの進め方など
について多いに語っています。ギルバートの、音楽に対する真摯で献身的な
態度が滲みでています。

HMD 9909038(DVD-Video) ¥2450
ジェラール・プーレ(ヴァイオリン)-プライベート・レッスン
【監督:キャスリーン・ジン】
(1)イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタop.27-2 イ短調
(生徒:ティエリー・フシン)
(2)ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ
(生徒:ティエリー・フシン、ジョン・マグヌッソン(ピアノ)
/特別出演(譜めくり):ノエル・リー)
(3)モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第2番K.211
(生徒:ルノー・カプソン/ジャン=マリ・コッテ(ピアノ))
(4)シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(生徒:マリー・シュブレ)
(5)ブラームス:ピアノ三重奏曲第2番op.87 ハ長調より第2楽章
(ヴァイオリン/プーレ、チェロ/グザヴィエ・フィリップス、
ピアノ/ノエル・リー)
放送:1989年
プーレの熱血レッスン。イザイのソナタを顔色ひとつ変えずに超絶技巧の重
音を寸分の狂いもなく鮮やかに弾く姿から始まります。ドビュッシーのレッ
スンでは、自身の父がドビュッシー自身のピアノ伴奏でこのソナタを初演し
た人物ということもあり、ヴァイオリンにもピアノにも音色のひとつひとつ
の出し方に熱い指示が飛びます。モーツァルトのレッスンでは若きカプソン
が登場。プーレは「君の音色は素晴らしいし、語り口もとてもうまい」とカ
プソンを絶賛しますが、「ひとつ君が忘れていることがある。聴衆は必ずし
も奏者の傍にいないってことだ。遠くの人に聴かせるように演奏しなければ
ならない」と演奏者としての心持を説きます。ヴィブラートやレガートのか
け方についての熱のこもった指導、脱力してレガートで奏することの重要さ
を説くあたりに、プーレの音色の魅力の秘密があるのかもしれません。対談
風の場面では、プーレが、シェリングやカール・フレッシュに受けた影響や
演奏することと指導することの両論の活動の大切さなどについても語ってお
り、大変興味深い内容です。

HMD 9909037(DVD-Video) ¥2450
マレク・ヤノフスキ(指揮、指導者)-プライベート・レッスン
【監督:ミシェル・フォラン】
(1)モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」より第1楽章
(生徒:オリヴィエ・デジュール)
(2)ベルリオーズ:レクイエム(指揮はヤノフスキ自身/練習風景)
(3)ベートーヴェン:エグモント序曲op.84(生徒:オリヴィエ・デジュール)
(4)ベートーヴェン:エグモント序曲op.84(ヤノフスキ指揮による演奏)
オーケストラ:ラジオ・フランス管弦楽団((1)(3)(4))
ケルン・ギュルツェニヒ管、
ラジオ・フランス・デュッセルドルフ合唱団((2))
放送:1989年
巨匠マレク・ヤノフフスキ(b.1939)のレッスン。考えてみれば指揮のレッス
ン風景を目にする機会は少ないのではないでしょうか。ここでのレッスンの
流れは、楽譜とピアノを前に生徒とテンポや間の取り方、強弱などについて
生徒とディスカッションしたあと、実際にオーケストラを指揮しながらレッ
スンをつけていきます。オーケストラは当時自身が音楽監督を務めていたラ
ジオ・フランス管が担当しているというなんともいえない豪華さ。エグモン
ト序曲では弱拍の取り方についてきめ細かな指摘と指示。生徒と先生がたが
い違いに振りますが、オーケストラの鳴り方や音の方向性がまったく違って
響いてくるのにびっくりします。指揮のレッスン風景のほか、ヤノフスキが
オーケストラと指揮者との間の人間関係の大切さなど、指揮者としての心得
などについて語っている場面も収録。あらゆるものに対する感覚を磨くこと
の大切さ、語るよりもジェスチャーで示せ、説明は最小限にせよ、説明をす
るとするならば明確なイメージを呼び起こすような言葉を選ぶことの大切さ
などを説いています。指揮者の神秘を少しだけ垣間見ることのできる1枚。

HMD 9909039(DVD-Video) ¥2450
ユーリ・バシュメト(ヴィオラ)-プライベート・レッスン
【監督:ジャック・デュシャン】
(1)序章(ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ ホ長調 op.22/指揮・バシュメト)
(2)シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ
(生徒:アンドレイ・グリドチュク(Vla)、ミハイル・ムンティアン(ピアノ))
(3)J.S.バッハ:
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタBWV 1001ト短調よりアダージョ
(生徒:クレール・ボビィ(Vla))
(4)ブラームス:クラリネット・ソナタop.120 ヘ短調(ヴィオヴァ版)
(生徒:ダニロ・ロッシ)
(5)ブリテン:ラクリメより第5楽章(バシュメト自身による演奏)
(6)シューベルト/マーラー編:
死と乙女(バシュメト指揮/モスクワ=モンペリエ管弦楽団のソリストたち)
(7)ブラームス:三重奏曲第5番op.114 イ短調
(ボリス・バラズ(Vc)、クセニア・バシュメト(Pf))
放送:1991年
ジプシー風のお涙ちょうだい風の節回しはシューベルトには厳禁であること、
つねに距離感を保つことの大切さを説きます。バッハでは、音と時間との関
係の大切さ、音楽が線となって進んでいくこと、拍の取り方、さらにハーモ
ニーを大きくとらえることの大切さについても語ります。真摯に音楽に向き
合う姿が印象的なバシュメトによる、音楽に溢れたレッスン。

HMD 9909041(DVD-Video) ¥2450
第1部-声-
(1)ロッシーニ:セビリアの理髪師より「今の歌声は」
(生徒:フロランス・ボンナフー)
(2)モーツァルト:フィガロの結婚より「もう飛ぶまいぞ」
(生徒:ルノー・ドゥルー)
(3)モーツァルト:フィガロの結婚よりスザンナのアリア
(生徒:キャロリン・フェヴル)
(4)リエージュ音楽院でのレッスン風景(発声練習)
(5)R.シュトラウス:万霊節(生徒:マリー・ポール・フェイ)
(6)フォーレ:ゆりかご(生徒:ルノー・ドゥルー)
第2部-オペラのキャラクター
(7)ヴェルディ:ドン・カルロについて(フェリペ2世)
(生徒:ジャン=ルイ・スマニャ)
(8)ドビュッシー:ペレアスとメリザンドについて
(ゴローとメリザンドについて)
(生徒:エレーヌ・ペッラギン&ヴァンサン・ル・テクシエ)
(9)R.シュトラウス:サロメ(ヨカナーンについて)
(ジョゼ・ヴァン・ダム自身による演奏)
放送:1990年
日本でもファンの多いベルギーの名バリトン、男爵ジョゼ・ヴァン・ダムに
よるレッスン。声のこと、オペラの登場人物についてのヴァン・ダム自身に
よる分析など様々な話を交えながら、オペラ・アリア、ドイツ歌曲、フラン
ス歌曲の名曲に細かなレッスンをつけていきます。実際に演奏をする人に
とっては最高の指南DVDとなることでしょう。DVDの最後にはリヨン歌劇場で
フランス語によるサロメ上演の一部が収録、ヨカナーン・パートの自身の練
習風景も収録されています。ジョゼ・ヴァン・ダムがどのように曲を創りあ
げていくかを垣間見ることができ、非常に興味深い1枚です。



<WAHOO>
WAH 001(DVD-Video) ¥3500
字幕:仏英独西
グレトリー:「嫉妬深い恋人」
マガリ・レジェ(S レオノール) クレア・デボノ(S イザベル)
マリリン・ファロット(S ジャサント) 
フレデリク・アントゥン(T フロリヴァル)
ブラッド・クーパー(T ドン・アロンズ) 
ヴァンサン・ビリエ(Bs-Br ロペス)
ジェレミー・ロレ(指)ル・セルクル・ドゥ・ラルモニ
演出:ピエール=エマニュエル・ルソー
美術:ティボー・ウェルクラン
衣装:ピエール=エマニュエル・ルソー,クロディーヌ・クロラン ほか
収録:2009年11月,ヴェルサイユ宮殿歌劇場
たいへん興味深いDVDの発売です。フランス革命期の前後に大人気を博したフ
ランスの作曲家、アンドレ・エルネスト・モデスト・グレトリー(1741-1813)
の中でも、とりわけ人気の高かった喜劇「嫉妬深い恋人」の映像です。この
オペラは1778年11月20日、ヴェルサイユ宮殿内の歌劇場で初演され、大きな
人気を博しました。物語も音楽もよくできており、気楽に見てもとても楽し
いオペラです。
一方、モーツァルティアンには別の楽しみ方があります。「嫉妬深い恋人」
の台本には、衣装部屋に閉じ込められた「愛人」、夜の庭での「密会」など、
ボーマルシェ、ダ・ポンテの「フィガロの結婚」と酷似した場面があり、そ
うした箇所の音楽では、モーツァルトはグレトリーの音楽を参考にしている
のではないかと言われているのです。たとえば、第1幕、衣装部屋に隠れて
いた人物が女性と分かった後、三拍子のからかうような音楽が用いられてい
るのは「フィガロの結婚」でも同様。また第3幕の夜の庭でのアンサンブル
も、「フィガロの結婚」第4幕とどことなく似ている気がします。
この映像の大きな特徴が、初演場所であるヴェルサイユ宮殿歌劇場での上演
であること。ヴェルサイユ宮殿に歌劇場があるというのはわりと有名ですが、
そこで実際にオペラが上演されることはなかなかありません。この歌劇場は
1770年に作られ、後のルイ16世とマリー・アントワネットの結婚祝賀公演で
こけら落としされた由緒ある劇場です。ピエール=エマニュエル・ルソーは
その点を尊重し、品の良い書割と伝統的衣装を用いており、初演時の雰囲気
を醸し出しています。その上で、幕切れを完全なハッピーエンドにせず、少
し苦味を残すところが見事です。
レオノールのマガリ・レジェは、フランスのソプラノ。古楽系ソプラノとし
て活躍する一方、近年はリヨン歌劇場でも活躍しています。クレア・デボノ
は、マルタ島出身のソプラノ。バロック音楽からモーツァルトなどで人気を
博しています。フロリヴァルのフレデリク・アントゥンは、フランス系カナ
ダ人のテノール。モーツァルト・テノールとして人気急上昇です。ドン・ア
ロンズのブラッド・クーパーは、オーストラリア、シドニー出身のテノール
主に英語圏で活躍しています。
この「嫉妬深い恋人」には、もう一つ有名なエピソードがあります。第2幕
でフロリヴァルが歌うセレナード「なにもかもが眠る間」は、単独で歌われ
ることも少なくない名曲として知られています(ロベルト・アラーニャもア
リア集で歌っています)。この曲にはマンドリンが用いられていますが、マ
ンドリン弾きの間では、この曲で初めてマンドリンのトレモロ奏法が用いら
れた、というのが通説になっています。話には知っていても曲は知らないと
いうマンドリン・ファンも多いでしょう、ぜひ実際に耳にしてみてください。



<Paradizo>
PA 0009(CD+DVD-ROM) ¥2280
MONO
J.S.バッハ:
(1)パルティータ第1番変ロ長調 BWV825
(2)3つの小前奏曲 BWV936-938
(3)イタリア協奏曲 BWV971
(4)イギリス組曲イ短調 BWV807
(5)トッカータ ニ長調 BWV912
(6)半音階的幻想曲とフーガ BWV903
ヴァンダ・ランドフスカ(Cem)
+ DVD-ROM:ランドフスカに関する150点以上の貴重な写真(初出多数)。
[録音:1935-36年]
19世紀の初めに絶滅した楽器チェンバロを20世紀に復興させた立役者の中心
人物ランドフスカ。彼女が第2次世界大戦前にヨーロッパで録音した、名盤の
誉れ高いバッハがオリジナル音源から新リマスタリングで復活しました。そ
の責任者を奇才チェンバロ奏者スキップ・センペが担っているのも注目です。
バロックの一人者とはいえ、ピアノの流派ではショパンの曾孫弟子にあたり、
非常にロマンティックな音楽性の持ち主だったことが明瞭で、濃厚なバッハ
となっています。しかし音楽作りの大きさ、魔術のような説得力の深さなど
真似の出来ない凄さで、ただただ圧倒されます。
さらに嬉しいのが、未発表品を数多く含む150点以上の写真を収めたDVD-ROM。
彼女がパリ近郊で1925年に開校し、第2次世界大戦中ナチスにより押収された
古楽音楽学校の設計図や写真が貴重。ランドフスカが心血を注いだ古楽復興
運動の様子が生々しく伝わってきて心打たれます。このDVD-ROMだけでも超
お宝、ぜひとも持っていたいアルバムと申せましょう。





<ACCENTUS MUSIC>
ACC 30230CD 2枚組 ¥2900
CD1:
ウェーベルン:
管弦楽のためのパッサカリアOp.1、管弦楽のための変奏曲Op.30
ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」
CD2:
マーラー:交響曲第6番イ短調「悲劇的」
ルツェルン祝祭アカデミー管弦楽団 ピエール・ブーレーズ(指揮)
録音:2010年8、9月(ライヴ)
ドイツの映像系レーベルACCENTUS MUSICから、2010年ルツェルン音楽祭での
ピエール・ブーレーズ指揮、ルツェルン祝祭アカデミー管弦楽団の演奏によ
るCD2枚組が発売されます。ルツェルン祝祭アカデミー管は世界中から集まっ
た優秀な若手音楽家が、ブーレーズの指導を受けて音楽祭に出演しています。
後進の育成に情熱を注いでいるブーレーズ渾身のオケです。
ディスク1に収録されているのは、現代音楽の巨匠ブーレーズならではウェー
ベルンの管弦楽曲。1908年作曲の最初の作品番号「パッサカリア」はウェー
ベルン独特の音列技法と音色感覚を見事表現し、ブーレーズの鮮やかな指揮
ぶりが劇的な効果を生んでいます。また「管弦楽のための変奏曲」は難解な
ウェーベルンの作品を、すっきりと造形を捉えた精緻な演奏はさすがブーレ
ーズ。また鮮烈な解釈でスリリングな演奏を披露するストラヴィンスキーの
「うぐいすの歌」。
ディスク2に収録されているのはマーラー「悲劇的」。客観的で知性的なア
プローチで端正に構成を浮かび上がらせます。徹底した分析により本質を突
く演奏。そして各楽器のバランスが素晴らしく、透明感を引き出し美感溢れ
た秀演です。

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