クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

コメントはメーカー案内書より抜粋です。お問い合わせ:goodies2@pc.highway.ne.jp

09-04 No.9

2009年04月07日 13時48分35秒 | Weblog
★ダイレクト・トランスファー CD-R DSD録音 再発売シリーズ★
2006年秋に発売を開始した当シリーズもおかげさまで約180タイトルを発売
する事ができましたが、今回マスター制作にDSD録音を採用する事にいたし
ました。これまでより更に生々しい音質をお届けする事が出来るようになり
ましたのでご期待下さい。

今月は既発売分78CDR-1010から1019の10タイトルをDSD録音で再発売いたしま
す。商品番号は78CDR-3000番となり、下3桁は共通で使用いたします。従来の
78CDR-1000番台の商品は、当面は販売を継続いたします。
DSD録音による有料サンプラー(\300)も販売開始いたしましたので、ご注文
をお待ちしております。

■製作者からのメッセージ
DSD録音になったグッディーズ・ダイレクト・トランスファーCDR!
従来のCDを高音質化するさまざまな試みが盛んな中で、「グッディーズ・オリ
ジナル企画」のダイレクト・トランスファーCDRは、2009年2月発売新譜から
DSD録音を採用することになりました。DSD録音によって、これまでのSP復刻
からさらに飛躍し、SPレコードの直接再生と区別がつかないところに到達し
たと自負しています。DSD録音は従来の方式に較べて中音から低音にかけての
音の形が明瞭になり、高音は一皮剥けた感じです。LPとは比較にならない強
大な音響勢力を持つSPレコードをカスタムメイドの直熱真空管フォノイコラ
イザーを使用し、またノイズ除去と共に失われる音楽情報に最も気を配り一切
のノイズリダクションを使用していないのは従来通りです。(新 忠篤)

===================================

★ダイレクト・トランスファー CD-R DSD録音 再発売シリーズ★
2009年3月新譜 10タイトル
発売予定:2009年4月下旬 価格:各1枚 \1500(税込)
※セット販売ではありません。1枚づつお申し込みいただけます。

78CDR-3010
パガニーニ(ヴィルヘルミ編):
ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調 作品6(単一楽章)
グィラ・ブスターボ(ヴァイオリン)
フリッツ・ツァウン指揮
ベルリン市立管弦楽団
独 COLUMBIA LWX 354/5
(1942年ベルリン録音)
グィラ・ブスターボ(1919-2002)はアメリカのウィスコンシン州生まれのイタリ
ア系女流ヴィオリニスト。第2次世界大戦中ドイツで活躍した。ドイツ・コロン
ビアにシベリウスとパガニーニの協奏曲を録音していた。他に小品が数曲英コロ
ンビアにあった。彼女は晩年インスブルックの音楽院で後進の指導にあたってい
た。

78CDR-3011
ハイドン:ヴァイオリン協奏曲第1番ハ長調 Hob. VIIa-1
ミシェル・オークレール(ヴァイオリン)
ジャック・ティボー指揮
パリ音楽院管弦楽団
仏 DISQUE "GRAMOPHONE" W1579/80
(1943年10月7日パリ、アルベール・スタジオ録音)
パリ音楽院の名ヴァイオリン教授ジュール・ブーシュリ(1877-1962)について学
んだミシェル・オークレール(1924-2005)が1943年のロン=ティボー・コンクー
ルで優勝し、その記念として師の一人のジャック・ティボーの指揮で録音した記
念レコード。こぼれるような初々しい表情のヴァイオリンに父親のように暖かい
手をさしのべるティボーが微笑ましく感じる。

78CDR-3012
フランク:ヴァイオリン・ソナタイ長調
ジョアン・マッシア(ヴァイオリン)
ブランシュ・セルヴァ(ピアノ)
英 COLUMBIA DX239/242
(1930年6月3&6日パリ録音)
ブランシュ・セルヴァ(1884-1942)はパリ音楽院でピアノを学び1895年に11歳で
一等賞、1904年にJ.S.バッハのクアヴィーア曲集を全曲ピアノで演奏した。ヴァ
イオリンのジョアン・マッシアはカタロニア出身で1923年にセルヴァとデュオを
組み演奏活動を始めた。セルヴァは1930年11月のコンサート中に卒中に襲われス
テージ活動を離れた。

78CDR-3013
ヴュータン:ヴァイオリン協奏曲第5番イ短調 作品37(単一楽章)
アルフレッド・デュボワ(ヴァイオリン)
デジレ・ドゥフォー指揮
ブリュッセル王立音楽院管弦楽団
仏 COLUMBIA LFX14/6
(1929年9月27日ブリュッセル録音)
アルフレッド・デュボワ(1898-1949)はフランコ=ベルギー派の中核のヴァイオ
リニスト。ウジェーヌ・イザイ(1858-1931)を師に仰ぎ、アルテュール・グリュ
ミオー(1921-1985)を弟子に持った。作曲家のアンリ・ヴュータン(1820-1881)
はまたイザイの師にあたる。ハイフェッツの名演奏で知られるこの第5番の世界
初録音であった。フランコ=ベルギー正統派の演奏が聴ける貴重盤。

78CDR-3014
ベートーヴェン:
ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調作品24「春」
ヴァイオリン・ソナタ第4番イ短調作品23
ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調作品30-3
フリッツ・クライスラー(ヴァイオリン)
フランツ・ルップ(ピアノ)
英 HIS MASTER'S VOICE DB8054/60
(第4番&第5番=1935年4月,第8番=1936年2月ロンドン、アビー・ロード第3スタ
ジオ録音)
フリッツ・クライスラー(1875-1962)が1935年と1936年に録音したベートーヴェ
ン:ヴァイオリン・ソナタ全曲の第2巻とした発売されたSPレコード7枚組の
セット。60歳を越えたクライスラーの深い音楽的心境が聴く者の心を打つ。

78CDR-3015
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調 作品47「クロイツェル」
ジャック・ティボー(ヴァイオリン)
アルフレッド・コルトー(ピアノ)
英 HIS MASTER'S VOICE DB1328/31
(1929年5月27&28日パリ, プレイエル音楽堂サル・ショパン録音)
ジャック・ティボー(1880-1953)とアルフレッド・コルトー(1877-1962)が電気
録音初期に録音したベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタの唯一の録音。ベー
トーヴェンの「大公トリオ」と同様天馬空を行くごときの名演奏。

78CDR-3016
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
フリッツ・クライスラー(ヴァイオリン)
ジョン・バルビローリ指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
英 HIS MASTER'S VOICE DB8127/31
(1936年6月18&22日ロンドン, アビー・ロード第1スタジオ録音)
フリッツ・クライスラー(1875-1962)が1936年に再録音したもの。録音が優れ、
深みを増したクライスラーの心の襞を恐ろしいほど捉えている。ソロ・ヴァイ
オリンとオーケストラのバランスも最高。

78CDR-3017
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
ジネット・ヌヴー(ヴァイオリン)
ワルター・ジュスキンド指揮
フィルハーモニア管弦楽団
英 HIS MASTER'S VOICE DB9007/10
(1945年11月21日ロンドン, アビー・ロード第1スタジオ録音)
ジネット・ヌヴー(1919-1949)の極め付きの演奏で、彼女の初の協奏曲録音でも
あった。

78CDR-3018
ショーソン:詩曲作品25
ジョルジュ・エネスコ(ヴァイオリン)
サンフォード・シュルッセル(ピアノ)
日本コロムビア J7880/1
(1929年ニューヨーク録音)
ヴァイオリニスト、ピアニスト、指揮者、作曲家の全能音楽家だったエネスコ
(1881-1955)がアメリカ・コロンビアに録音した電気録音6枚の中の一曲である。
全霊精根を傾けてひたすら弾くこのアーティストのベストフォームで、ヴァイ
オリン・レコードの最高峰。

78CDR-3019
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調 BWV 1004
ジョコンダ・デ・ヴィトー(ヴァイオリン)
英 HIS MASTER'S VOICE DB21063, DB21300, DB6632/3
(1950年&1947年ロンドン, アビー・ロード第3スタジオ録音)
ジョコンダ・デ・ヴィトー(1907-1994)はイタリア最高の女流ヴァイオリニスト。
1944年ローマのサンタ・チェチーリア音楽院の終身教授に任命された。1947年
からEMIに録音を初めた。最初に「シャコンヌ」が、残りの4つの楽章は3年後の
1950年に録音された。燃える炎のようなバッハが聴ける。

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09-04 No.8

2009年04月07日 13時47分55秒 | Weblog
<ECM New Series>
4763225 \2180
「ハインツ・ホリガー:ロマンセンドレス」
1.クララ・シューマン:3つのロマンスOp.22(チェロとピアノのための)
2.ハインツ・ホリガー:ロマンセンドレス
3.同:暁の歌(R・シューマンのOp.133とF・ヘルダーリンに基づく)
クリストフ・リヒター(チェロ) デーネシュ・ヴァールヨン(ピアノ)
シュトゥットガルト放送声楽アンサンブル 
シュトゥットガルト放送交響楽団 
指揮&ピアノ:ハインツ・ホリガー他
録音:2007年7月17-18日 ジンデルフィンゲン シュタットハレ(3)
2008年2月2-3日 ルガーノ RTSIスタジオ(1&2)
スイス生まれのハインツ・ホリガーは、世界的オーボエ奏者としての活躍が
あまりにも有名ですが、指揮活動も積極的に行っており、作曲家としても、
師のヴェレシュやブーレーズの影響下で、優れた作品を数多く書いています。
ホリガーの自作自演集にあたる当盤には、そんな彼の作曲や指揮の才能が詰
まっています。ホリガーの作品に大きな影響を与えたフリードリヒ・ヘルダ
リンとローベルト・ヴァルザーはローベルト・シューマンとは精神的に兄弟
のような存在で、このアルバムにR.シューマン自身の作品は収録されていま
せんが、シューマンこそがこのアルバム・コンセプトの核となっています。
冒頭には、シューマンの妻クララが書いたデュオを収め、ホリガーによるロ
マンス、そして3曲目にはシューマンとヘルダーリンの曲に基づいてホリガー
が作曲した「暁の歌」を収録。ロマン派の作品と思索を刺激する現代作品を
並置して、2つの時代の作品に新たな光を当てる魅力的なアルバムです。

4763261 \2180
「アルフレート・ツィンマーリン:室内楽作品集
(2つの弦楽四重奏曲&エウリディーチェは歌う)」
1.弦楽四重奏曲第2番
2.エウリディーチェは歌う
3.弦楽四重奏曲第1番
カルミナ四重奏団(1) アンサンブル「Aequatuor」(2) アリア四重奏団(3)
録音:2006年8月28-29日 ラジオDRS(1&3) 2007年10月29-30日
アーラウ クルトゥール・コングレスハウス(2)
スイスの異才、アルフレート・ツィンマーリンは1955年の生まれ。チューリ
ヒ大学でフィッシャーとラーデに師事した後、ベナリーに音楽理論を、マテ
ツとレーマンに作曲を師事しています。チェロを使った即興などを得意とす
る彼の作風は、記譜作品でさえも即興的な手触りが感じられるのが特長。当
盤では、カルミナ四重奏団など気鋭の室内楽奏者たちが、編成からは想像し
にくい、微視的な音色や断片的な構成感を聴かせてくれます。
今年ECMニュー・シリーズは、スイスの作曲家に焦点をあて、リリースをして
いきますが、このアルバムと上記のホリガーは、そうしたアルバムのひとつ
です。




<CASSIOPEE>
969179 \2080
Vivaldi:
1.ピッコロ協奏曲 p.79
2.ピッコロ協奏曲 p.78
3.ピッコロ協奏曲 p.83
4.フルート協奏曲第5番
5.フルート協奏曲第6番
6.フルート協奏曲第4番
Maxence Larrieu(マクサンス・ラリュ-)

969184 \2080
アルビノーニ:
フルート協奏曲 op.7-6(6:55)
フルート協奏曲 ト長調(6:34)
フルート協奏曲 op.9-2(11:37)
フルート協奏曲 op.7-12(7:13)
Maxence Larrieu(マクサンス・ラリュ-)

969186 \2080
ヴィゼー:
組曲 ニ短調
2Deuxieme partie
組曲 ト短調
組曲 イ短調
組曲 ホ短調
Paolo Pilia(guitare)(パオロ・ピリア)

969185 \2080
1.J.Sバッハ:フルートソナタ BWV 1013(10:45)
2.C.Ph.E.Bach:無伴奏フルートソナタ(9:46)
3.ドビュッシー:シリンクス(2:08)
4.オネゲル:牝山羊の踊り(2:43)
5.テレマン:フルートの為の6つの幻想曲(18:4)
Maxence Larrieu(マクサンス・ラリュー)

969234 \2080
ベートーヴェン:
ピアノソナタ第1番(16:51)
ピアノソナタ第24番(16:51)
ピアノソナタ第5番(16:51)
ピアノソナタ第19番(7:19)
Zhou Shi Jing(piano)

969232 \2080
ベートーヴェン:
ピアノソナタ第1番
バガテル第1番-26番
Zhou Shi Jing(piano)

969228 \2080
ベートーヴェン:
ヴァイオリンソナタ No.5「春」
ヴァイオリンソナタ No.2
Liu Yu Xi(vn) Zhou Shi(piano)

969241 \2080
シューベルト:
ハンガリーのメロディ ロ短調 D.817(4:15)
アンダンテ D.29(3:19)
アダージョ D.178(6:02)
スケルツオ第1番 D.593(4:11)
スケルツオ第2番 D.593(4:26)
行進曲 D.606(4:21)
ディアベリ変奏曲 D.719(1:00)
アルバムの綴り D.844(0:46)
アレグレット(3:35)
8つのレントラー D.681(0:34)
2つのレントラー D.976(0:36)
1コティヨン D.976(0:36)
ギャロップ・エコセーズ D.735(1:33)
グラーツのギャロップ D.925(1:43)
Pietro Galli(piano)(ピエトロ・ガリ)

969180 \2080
モーツアルト:
フルート四重奏曲ニ長調KV.285
フルート四重奏曲ニ長調KV.298
3フルート四重奏曲ニ長調KV.285 b
フルート四重奏曲ニ長調KV.285 a
Maxence Larrieu(フルート)(マクサンス・ラリュー)

969237 \2080
シューベルト:
即興曲 op.90
即興曲 op.142
Zhou Shi Jing(piano)

969308 \2080
ツエルニー/ 40の練習曲集
Pietro Galli(piano)(ピエトロ・ガリ)

969265 \2080
ボロディン/ 2手3手のピアノ作品集
中央アジアの草原にて
夜想曲
スペイン・セレナーデ
小組曲
3手のパラフレーズ
Pietro Galli(piano)(ピエトロ・ガリ)、他

969299 \2080
スクリャービン/ マズルカ集
10のマズルカ op.3
9つのマズルカ op.25
2つのマズルカ op.40
Pietro Galli(piano)(ピエトロ・ガリ)

969181 \2080
テレマン/ 12のフルートの為の12の幻想曲
Maxence Larrieu(フルート)(マクサンス・ラリュー)

969205 \2080
J.S.バッハ/フランス組曲 第1集
フランス組曲第1番
フランス組曲第2番
フランス組曲第6番
Laurence Boulay(clavecin)ロランス・ブレー

969206 \2080
J.S.バッハ/ フランス組曲 第2集
フランス組曲第4番
フランス組曲第3番
フランス組曲第5番
Laurence Boulay(clavecin)ロランス・ブレー

969212 \2080
ベートーヴェン:
ピアノソナタ第8番
1ピアノソナタ第14番
ピアノソナタ第23番
Bernard Flavigny(piano)

969318 \2080
J.S.バッハ:
イギリス組曲第1番
イギリス組曲第2番
イギリス組曲第3番
Henriette Rembrandt(エンリエッテ・レンブラント)

969319 \2080
J.S.バッハ:
イギリス組曲第4番
イギリス組曲第5番
イギリス組曲第6番
Henriette Rembrandt(エンリエッテ・レンブラント)

969305 \2080
シューベルト:
16のワルツ集 D.734
79のダンス・エコセーズ
Pietro Galli(piano)(ピエトロ・ガリ)

969327 \2080
シューベルト:
軍隊行進曲第3番 op.51-3
英雄行進曲第6番 op.40-6
葬送大行進曲 ハ短調 op.55
英雄的大行進曲 イ短調 op.66
Pietro Galli(piano)(ピエトロ・ガリ)




<Serenade(CD-R)>
SEDR-5027 \2180
ベートーヴェン:
交響曲 第3番 変ホ長調、作品55“英雄”
ラヴェル:
スペイン狂詩曲
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
ローマ・イタリア放送交響楽団
トリノ・イタリア放送交響楽団
Recorded:19 January1952, Rome,3 March1952, Torino
Source:Cetra(Italy)FE6, Private Record(U.S.A.)BWS708
ローマ・イタリア放送響とのベートーヴェンの交響曲第5番(SEDR-5011)、同
第6番「田園」(SEDR-5009)を出して以来、同じくローマ・イタリアとの「英
雄」はいつ出るのかという問い合わせがちらほらとあった。そこで今回もこ
の演奏の初出LPであるアメリカ・オリンピック盤を素材としようとしたが、
大きな問題があることが発覚した。それは、第4楽章の冒頭部分のみ極端に
ピッチが高いのである。これは全集、バラ売りとも全く同じで、曲のすべて、
ないしはある楽章のみピッチに異変があれば対処の方法はあるが、途中から
変化したのでは修正はまず不可能である。そこで急きょイタリア・チェトラ
盤を調達したのだが、それが吉と出た。そのチェトラ盤の音質は予想以上に
明瞭であり、明らかにオリンピック盤を上回っていた。第2楽章の途中で面が
変わるのは仕方がないとしても、おそらく望みうる最上の音質ではないだろ
うか。制作をしながら、あらためて演奏の素晴らしさに感銘を受けた。また、
演奏とは無関係だが、このLPは終わりの拍手もずいぶんと長く収録されてい
る。「英雄」が時間的に長いので、余白は時間の都合でラヴェルを選択した。
これは場違いなほど湿度が高く、重厚なラヴェルだが、良し悪しはともかく、
指揮者の刻印がはっきりしたフランス物の演奏は案外ないものだ。その点で
も貴重なドキュメントと言える。なお、意外なことにこのラヴェルは現在CD
はひとつしか出ていない。その点でも喜ばれるのではないか。
(平林 直哉)

フルトヴェングラー演奏会再現シリーズV
フルトヴェングラー&BPO/1954年5月15日、ルガーノ
SEDR-5028-29 2枚組 \2700
Disc1
ベートーヴェン:
交響曲 第6番 ヘ長調 作品68、「田園」
Disc2
モーツァルト:
ピアノ協奏曲第20番ニ短調、K.466*
リヒャルト・シュトラウス:
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」 、作品28
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮、
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
イヴォンヌ・ルフェビュール(ピアノ)*
Recorded:15 May1954, Teatro Kurusai, Lugano
Source: Cetra(Italy)LO529(Beethoven), FE18(Mozart), FE41(R. Strauss)
このディスクは1954年5月15日、ルガーノで行われた演奏会の全プログラムを
収録したものである。この中で問題だったのは「田園」である。この演奏は
初出のLP以来、ずっとピッチが高いまま発売されており、それはCD時代になっ
ても全く変わっていない。元のテープがすでにそうした状態なのだろうが、
中には半音近くも高いCDもあり、これではとてもこの演奏の価値は伝わらな
い。従って、今回のディスク化にあたっては最も標準的と思われるピッチに
直して復刻してある。この「田園」はフルトヴェングラーの数ある録音の中
でも最もテンポの遅い、寂しい雰囲気に満たされたものだが、このピッチで
聴くとそれがいっそう心にしみてくる。この演奏を気にしていた人はこのディ
スクで聴き直して欲しい。
モーツァルトのピアノ協奏曲は言うまでもなくフルトヴェングラー唯一の録
音である。この日は本来フィッシャーが弾くはずだったらしいが、急病によっ
てこのルフェビュールが代役に選ばれたとのことである。この演奏はフラン
ス・フルトヴェングラー協会やイギリス・ユニコーン、さらにはこの日の全
公演集としてイタリア・チェトラからLO529として発売されたが(1979年)、
最も良い結果を得られたのは同じくチェトラのFE18のLP(1981年)であった。
R.シュトラウスは「田園」と同じくチェトラ LO529が初発売である。しか
し、音質は1984年に発売されたFE41の方が明瞭である。チェトラのヒストリ
カル・シリーズは最初LO番号で発売されたが、その後再発売されたFE番号は
盤質も良く、音の明瞭なものが多い。残念なのはこのFE番号で「田園」が出
ていないことである。
復刻にあたっては原音を忠実再現しているが、「田園」の第1楽章冒頭での音
質の変化、第4楽章途中での唐突な音量の変化、途切れた第5楽章最後の和音、
あるいは「ティル」の冒頭部分の音質の変化等、元のLPの不具合の中で修正
出来なかった個所があったことをお断りしたい。(平林 直哉)

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