マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

エノキ屋の大将

2007-09-05 21:29:03 | 
親爺さんの通夜へ。71歳、まだ若い。

親爺っさんはいつも人なつっこい顔で迎えてくれた。
子供がいるような飲み屋は気が削がれて嫌いだが、
ここは家族で営むその暖かい空気が流れていて、
殺伐系の立ち飲みとはそこが大きく異なる。
その中心にいたのが、親爺盛之介さんだった。


積年の痛飲がたたり、この数年入退院を繰り返していて、
だから酒を酌み交わすこともなかった。
土佐のいごっそうだ、かつては相当な酒豪だったらしい。
鯛のたたきのにんにくダレは親爺の十八番。
土佐流に、にんにくの葉を使う。
この味噌だけで三合は飲める。


隣り合う酒屋には老犬クマという大型犬がいて、
白内障のボロボロだったが、親爺っさんは可愛がった。
クマが亡くなった今年、追いかけるように親爺も逝った。

坊主がなかなかの名調子で、親爺っさんを悼むことばというより
宗教というものを見直して感謝して暮らすことを始めませんか…と
一席ぶったのがよかった。
取るものもとりあえず、駆けつけるのが通夜。
礼服なんか着てたら、死を待っていたようでおかしいとも。
忘れてたがそのとおりだ。
白ポロシャツに黒ネクタイだったが、気後れする必要はなかったんだ。

帰りにミナミの立ち飲みへ。立ち飲み屋の親爺は立ち飲みで送るのが礼儀みたいに思えて、自然足が向いた。
 
いつだったか、最後に「よう来てくんなさった…」と手を握って別れたのが最期になった。
長年酒屋で働いてきた年輪を感じさせる手。
肉厚でざらついた、温もりのある手の感触がまだ残っている。

    エノキ屋酒店  大国町 R26今宮高校前
    カナマターク   千日前上ル 金龍ラーメン入ル 


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