この電車はどこを走っているのだろう。ちなみに、東急東横線の車両だ。ならば当然、横浜から渋谷にかけてであろう。違う。青森県の三沢駅から十和田市駅までだ。ここの観光鉄道に払い下げられたのである。数年前まで床が木の古臭い列車だったそうだが、老朽化で、東急からお古を導入したらしい。土地の人に尋ねると、昔の車両が懐かしいようなことを言った。私も別の意味で同感。なにも青森まできて、毎日揺られている満員の通勤電車に乗っても仕方ない。それにしてもすいているな!沿線の学生が通学に乗る以外は、乗客は極めて少ないよし。
行って見た印象では、東京スカイツリーは思ったより縦に細長いということだった。細いから弱いということではないが、長周期地震動が入って強風が吹き荒れたら、ポキンと折れてしまうのではないかと心配になる。そこで、このスカイツリーの耐震性能を評定した先生に、大丈夫かと尋ねてみた。先生は「設計上は大丈夫ですよ」と答えた。さらに「溶接も下のほうは立派にやっている」と現場を視察したらしく太鼓判を押した。しかし、高いほうの溶接は大丈夫なのか、その点になると、先生の受け答えの歯切れが悪い。つまり、先生は「初め、あれはすべて工場溶接だと思っていた」という。高い品質確保が可能な工場溶接に比べ、条件の過酷な現場溶接に欠陥率が高いのは業界の常識である。それが600㍍の目が回る高所での現場溶接となれば、まともな溶接たり得るか疑いが出てくる。鳶(とび)の溶接工もいまどきの人間である。命を危険にさらして完璧な溶接を仕上げるよりは、大体、溶接したことにしておく可能性がある。それを検査員が超音波探傷器で溶接欠陥がないか検査することになるが、これも命がけとなる。命がけを2つ並べてもけっして大丈夫の保証にはならないであろう。したがって、設計では大丈夫でも想定外の負荷条件が重なれば、もしかして施工不良箇所があったとして、そこでポキンと折れるかもしれない、と私はつい考えてしまう。もちろん、こんなのは杞憂であろう。