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科学と文芸を融合した仮説作品「風雅のブリキ缶」姉妹篇。街で撮った写真と俳句の取り合わせ。やさしい作品サンプルも追加。

2013年新春の北京と天津Ⅱ 中国の日本報道と習近平氏

2013年01月04日 18時06分05秒 | Journal
 安倍晋三内閣が成立した直後に北京に入ったので、中国のテレビ報道は時間枠を長くとった特集を含め「危機突破内閣」の中身を分析する番組が多かった。その報道ぶりは、日本のメディア報道をベースにしながら、ある意味、日本よりも客観的・分析的・総合的との印象を受けた。感慨もある。日本人が慰安婦問題のような「不都合な歴史」を余り深く考えたくないのは、一つのエリート民族意識の現れで、その薄っぺらな選民思想を一度破廉恥に洗濯して、もっと無垢な感情のあふれでる大和魂を取り戻さないと、この国は国際社会にあっても本当の活力が出ないような気がする。

        

 面白いのは、中国は日本の政治状況や命運がアメリカの傘の下にあることをよく認識していることだ。日米でホットラインがあるというのも日本の首相からアメリカ大統領に厳しい意見が言える対等なものならばともかく、主従関係が明らかでは自慢できたものではない。そのアメリカの庇護頼みをよしとしない日本の政治家の強がりや、経済の閉塞感に不満がある国民の右傾化についても、解説つきの報道があった。特に、反中国の右派言論の代表格として、巫女さんふうに日本の取るべき道をいつもご託宣のように話す櫻井よしこさんについて詳しい紹介があるなど、なかなか分析が細かい。また、少子高齢化で厳しくなる社会保障についても触れていた。これは中国の近未来の問題だから関心も高いのであろう。

       

 大晦日にニュース番組や新聞で大々的に取り上げられたのは、習近平氏が河北省の寒村を訪れたニュース。新京報には「黄土変成金」と見出しにあるから、寒村の黄土を金に変える経済政策を行うということであろう。ところで、テレビの映像を見ていると、一瞬、貧しい農民の家でおばさんに手をかたく握られていつまでも離してもらえず、そっと自分から手を離した習氏の様子が映し出されていた。このときの習氏の困ったような顔を見て、そう悪い印象はなかった。自分はできる人間だと横柄な態度をとりつづけて逆に人気を得ている日本の政治家よりは、人柄という点で、上質なものを感じた。

           

 ◆追記――中国広東省で発行されている週刊紙「南方週末」の記事が当局の指示で書き換えられた問題で、このブログで取り上げている「新京報」にも波紋が広がっている。この新聞は、北京で創刊の2003年当時、市内のあちこちにスローガン「負責報導一切」(報道のすべてに責任を持つ)と広告を掲げたことで知られる。今回は、南方週末の記者が抗議行動を起こしたことを批判した共産党機関紙・人民日報系の7日付「環球時報」の社説を転載するようにとの党宣伝部の命令され、ぎりぎりまで抵抗、社長と編集局長は転載となれば辞任する意向まで表明する騒ぎに。結局、9日付の紙面に転載されたよし。社長と編集局長が辞任したかどうかは今もって定かでない。
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