盤上に 対話弾みし 兄弟碁
数年前から体調の関係で遠くへの外出がままならなくなってしまった次兄。
2月に行われた亡母の3回忌にもこれなかった。
「いつかは顔を見に行かないとね」とみんなで話し合っていたところに、タイミングよく義姉から「お父さん(次兄)が囲碁が打ちたいと言っているので、遊びに来てくれない」という電話がかかってきた。
「渡りに船」で、早速長兄と末弟と連れだって横浜に住む次兄を訪ねた。
兄弟4人とその連れ合いが、久しぶりに顔を合わせたので、しばし話が盛り上がる。
一段落したところで、次兄が渇望していた囲碁を打つことに。
最初にお相手をした弟は、張り切りすぎて自滅。
二番手として小生が挑戦した。
序盤が得意な小生が布石でリードし、中盤で模様に踏み込んできた次兄の白石を「両絡み」で攻め立てて、大石を仕留めて快勝した。
もともと寡黙な次兄、対局中もほとんど言葉を発しないのだが、盤上に置かれた石が次兄の気持ちを雄弁に伝えていて、小生もそれを受け止め、丁々発止と局面が進行していく。
交互に打つ石が、あたかも兄弟で対話しているようで、かけがえのないひと時となった。
囲碁は次兄の唯一の楽しみ。
これからも、折を見て碁を打ちに行き、兄貴との思い出を重ねたいと思った次第である。