折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

札所めぐりの『ご利益』?!

2008-06-14 | 日常生活
『今日の予定なんだけど、札所めぐり兼ハイキングと言うことにしようや』
『それは楽しみだね、ハイキングなんていつしたのか記憶にないよ』

秩父へと向かう車中での会話である。

4月16日から始めた秩父札所めぐりの旅は、その後4月30日、5月14日と続き、24番札所まで順調に参拝を済ませることができたが、その後は拙宅の修繕工事やたまたま予定していた日に雨が降ったりで、4回目の実施が延び延びになっていた。

梅雨の「晴れ間」を利用して、ほぼ1ヶ月ぶりの札所めぐりである。

その日は、久しぶりに雲一つない快晴で、秩父地方は29度と夏日であったが湿度が低く風もあって、絶好の日和となった。

午前10時過ぎに最初の目的地である25番札所「久昌寺」に到着。
早速、参拝をする。

その日は、札所めぐりを契機に一念発起し、書き始めた『般若心経』の写経を持参し、本堂に置いてある箱に納めた。

続いて27番札所「大渕寺」へ。
ここでも写経を納め、参拝を済ませていよいよ本日のお目当ての「山歩き」へ。

「大渕寺」から尾根づたいの道が26番札所「円融寺(岩井堂)」へと通じている。
記憶を辿っても思い出せないほど久しぶりのハイキングということで、子供に帰ったような浮き立つ気分である。

リュックを背負い、相棒が用意してくれた杖を片手に雨上がりですべりやすくなっている道に足をとられないよう1歩、1歩踏みしめて歩く。


ハイキングコースに咲いている野草の説明をしてくれる相棒


山道は野草の宝庫である。
山歩きが趣味で野草にはやたらと詳しい相棒が楽しそうに野草の説明をしてくれる。
その説明を聞きながら、なるほど野草のことがわかると山歩きの楽しみは倍になるのだなと納得した。

歩くに従って岩や石が多くなってきた。
そして、そんな岩や石の間を縫うようにして、あちらこちらに根を張り巡らしている木々をしばしば目にするようになった。

『この木の根の張り方見た!すごいね、この生命力!こういうのを見ると自然の営みのすごさを実感するよね』

『ブログでも書いたんだけど、最近、木や花などの生命力に妙に惹かれるんだよね、ちょっと前までは全くと言っていいほど関心がなかったんだけどね。そんなことを考えるようになるなんて、やはり年なのかね』

『でも、それって何も悲観的に考えることではないと思うよ。そういうことにも思いが行くような年になった、気がつかなかったことに気がつくようになったと考えれば、逆にいいことではないのかい』

そんな心に染みるようなやりとりをぽつぽつりと交わしながら、歩く。


尾根からは秩父の峰々と秩父盆地の美しい景色が見渡せる


真っ青に晴れ渡った空。
清澄な山の空気。
尾根を渡る心地よい風。
時折、鳴き交わす鳥たちの声。
尾根から眺める秩父の峰々と秩父盆地の美しい景色。
そして、ぽつりぽつりと交わすともがきとの『清談』。

ゆったりとした時間の流れの中に身をゆだね、心が和む『愉悦』の一時である。

これも札所めぐりの『ご利益』、『功徳』と言えるのだろう。

こうした山歩きを楽しみながらおよそ1時間、26番札所「岩井堂」に着く。


山の中腹の懸崖の上に立つ、26番札所「岩井堂」


山の中腹の懸崖の上に立つ舞台造りの観音堂を目にすると、思わず『おっ!』と声を上げてしまいそうになる威厳のあるたたたずまいである。

そして、その場所から少し離れた場所で二人で食べた昼食のおにぎりが山歩きでおなかが空いていたせいもあって何ともおいしかった。


今回巡った札所はわずか3箇所に過ぎなかったが、思い出に残る札所めぐりとなった。