由良弥生さんの超訳「古事記」には、驚かされた。わかりやすく、現代文で書いておられるから、とにかく読み易い。神々のすること、なすこと、極めて人間的であり、素晴らしい。理想像ではない。
むしろ、猛々しく、生き生きとして、感情的であり、疑い深く、繰り返し。試し、しかも場合によれば、親子であろうと、愛した人であろうと、殺してしまおうとさえする。危険を察知しながらも、筋を通す人(神)もいる。そして、困難にあったにも関わらず、また、自分が加害者的な立場にたつこともある。
多くの、妃をむかえ、浮気というか、奔放な女好きの天皇も出てくる。決して、理想的人物とはいえない。争い、裏切り、策略、なんともドラマチックである。
モラルといっても、親子間のセックスはイカンとか、獣姦lはイカンとか、今ではそんなこと論外だろうということがでてくる。綺麗事を並べてはいない。
こういう表現は、隠し事がないような気がする。各地の地名のことや、昔から祀られている神さんも、登場してくる。残虐といえば、そうだし、すべてがリアルでないにしろ、支配者の物語としては、極めて正直である、という感じをもつ。
「古事記」は、大したものである。