昨日テレビで、「おくりびと」を観た。以前に映画館でみているから、二度目である。やはり、いい映画である。毎度のことながら、一度目には、気付かないことが、いろいろ出て来た。
自然と涙が出て来る。話の筋がしっかりしている。生きることの本質に触れる映画である。それも、肩の力をいれずに。悲しみと、怒りと許しと、感動、思い直しに要する様式、時間。本質を見る目。
納棺師という職業は、関西ではあまり聞かないし、今では一般的とはいえないのかもしれないが、丁寧な手続きをとるということで、あり得る世界だなと思う。
故人との、ゆっくりとした中での最後の別れ、実際に裏づけされたドラマ。生と死、命をもらって生きるしかない命、否応なくか、やむにやまれずか、踏み外してはいけない一線を踏み切ってしまう人間の性、そのことによる後遺症、ところが、許せないと思えるほどのことが、石ころ一つで、ひっくり返ってしまう。
立ち止まって、考える時間の重要さ、誰にも来る死について、真正面からとらえるしかない実情をとらえること。様式の中に、存在するユーモア、役割、意味が語られる。
よく考えられた構成、音楽、そうか、賞をとる作品というのは、やはり良いのだなと思う。それにしても、二度見ないと、本当のよさが解らないコチトラに比べて、審査員というのは、すごい眼力があるのだな、と思う。恐らくは、一度しか観ないであろうし、沢山の作品につきあうのだから、何度もみる余裕はないはずである。
生きることと、食べることの密接な関係、生きることの本質にふれる認識、宗教についての、クリスマスにおける3人の宴は、世界に誇れる日本の宗教観を示して面白い。
キリスト、イスラム、ヒンズー、なんでも対応すると言う社長の台詞の痛快さ。面白さ。これぞ日本の良さである。
また忘れてしまったのだが、うまいうまいと食べながら、社長の言う台詞がある。「どうしようもなく」だったか、「しょうがないことに」だったか、面白いなあと思いながら、思い出せない。これが、眼力の限界。