-----この映画、これまでにも何度か映画化されてるんだって?
「そうらしいね。実際にドイツで起こった事件が基になっている。
内容はまったく違うけど、性が絡んだ殺人事件ということで言えば、
日本の“阿部定事件”に相当するかも知れない」
-----ニャるほど。センセーショナルというわけだ。
「うん。主人公はパウル・クランツとギュンター・シュラーというふたりの青年。
彼らは、歓喜に満ちた偉大な瞬間、大いなる愛、人生の頂点、
そしてそれが「一度に終わる瞬間」を求めていた」
-----“一度に終わる瞬間”?
「ギュンターいわく『真の幸せはおそらく一生に一度しかない。
後は一生、その瞬間の思い出に罰せられて生きていくんだ。
それなら僕らは一番美しい瞬間にこの世を去るべきだと思わないか?』」
------それは、分かんない気もしなくニャいけど、危険な考えだニャあ。
「で、この考えにとらわれた彼らは、
愛をもはや感じなくなった瞬間に、彼らの愛を奪った者を道連れに、
自分たちの命を終わらせる約束を交わすんだ。
映画はこの危うい思考を背景としながら、
その上で、ふたりの女性と3人の男の愛が複雑に奏でられてゆく。
誰が誰を好きということを話すと、
ややこしくなるだけなのでそれは割愛するけど、
兄と妹がひとりの男を争ったりというホモセクシュアルな愛もあって、
官能の中にも背徳的な匂いが立ちこめる」
------でも映像は美しそうだけど?
「そうだね。ノスタルジーをかき立てられる暖かい色調。
でも舞台は湖畔の別荘、その一夜が中心。
“緑の妖精”と呼ばれるアブサンに陶酔して
その場の雰囲気はかなり猥雑だ。
で、事件はその“祭りのあと”に起こる。
ギュンターが見習いシェフのハンスを射殺し、自殺。
現場を目撃した友人パウルが共犯の疑いをかけられるわけだ」
------1927年と言うと、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間だ。
「そう。『鋼の錬金術師』が1923年。時代的に近いね。
23年から24年にかけて天文学的インフレが発生し、多くの国民が失業。
やがてナチスが台頭。この映画ははその暗雲が全ドイツを覆う前夜って感じかな」
-----俳優は注目株ばかりだね。
「今年、立て続けにその出演作が日本に来ているダニエル・ブリュールがパウル役。
パウルの気持ちを知りながらはぐらかすヒルデに
『ビタースウィート』のアンナ・マリア・ミューエ。
自分のちょっとした仕種、表情が男たちに感情のさざ波を起こすことを
楽しんでるかのようなコケティッシュさを巧く引き出している。
ギュンター役のアウグスト・ディールと
ハンス役のトゥーレ・リントハートもそれぞれにファンがつきそう。
ただ、ふたりのショッキングなシーンもあるので注意」
----なに、そのシーンって?
「う~ん、昔で言えばコミック『June (ジュネ)』だね。
間違っても『薔薇族』じゃない」
----分からないニャあ。
(byえいwithフォーン)
※若さとは、ワインを飲まずに酔ってる度人気blogランキングもよろしく
☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
「そうらしいね。実際にドイツで起こった事件が基になっている。
内容はまったく違うけど、性が絡んだ殺人事件ということで言えば、
日本の“阿部定事件”に相当するかも知れない」
-----ニャるほど。センセーショナルというわけだ。
「うん。主人公はパウル・クランツとギュンター・シュラーというふたりの青年。
彼らは、歓喜に満ちた偉大な瞬間、大いなる愛、人生の頂点、
そしてそれが「一度に終わる瞬間」を求めていた」
-----“一度に終わる瞬間”?
「ギュンターいわく『真の幸せはおそらく一生に一度しかない。
後は一生、その瞬間の思い出に罰せられて生きていくんだ。
それなら僕らは一番美しい瞬間にこの世を去るべきだと思わないか?』」
------それは、分かんない気もしなくニャいけど、危険な考えだニャあ。
「で、この考えにとらわれた彼らは、
愛をもはや感じなくなった瞬間に、彼らの愛を奪った者を道連れに、
自分たちの命を終わらせる約束を交わすんだ。
映画はこの危うい思考を背景としながら、
その上で、ふたりの女性と3人の男の愛が複雑に奏でられてゆく。
誰が誰を好きということを話すと、
ややこしくなるだけなのでそれは割愛するけど、
兄と妹がひとりの男を争ったりというホモセクシュアルな愛もあって、
官能の中にも背徳的な匂いが立ちこめる」
------でも映像は美しそうだけど?
「そうだね。ノスタルジーをかき立てられる暖かい色調。
でも舞台は湖畔の別荘、その一夜が中心。
“緑の妖精”と呼ばれるアブサンに陶酔して
その場の雰囲気はかなり猥雑だ。
で、事件はその“祭りのあと”に起こる。
ギュンターが見習いシェフのハンスを射殺し、自殺。
現場を目撃した友人パウルが共犯の疑いをかけられるわけだ」
------1927年と言うと、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間だ。
「そう。『鋼の錬金術師』が1923年。時代的に近いね。
23年から24年にかけて天文学的インフレが発生し、多くの国民が失業。
やがてナチスが台頭。この映画ははその暗雲が全ドイツを覆う前夜って感じかな」
-----俳優は注目株ばかりだね。
「今年、立て続けにその出演作が日本に来ているダニエル・ブリュールがパウル役。
パウルの気持ちを知りながらはぐらかすヒルデに
『ビタースウィート』のアンナ・マリア・ミューエ。
自分のちょっとした仕種、表情が男たちに感情のさざ波を起こすことを
楽しんでるかのようなコケティッシュさを巧く引き出している。
ギュンター役のアウグスト・ディールと
ハンス役のトゥーレ・リントハートもそれぞれにファンがつきそう。
ただ、ふたりのショッキングなシーンもあるので注意」
----なに、そのシーンって?
「う~ん、昔で言えばコミック『June (ジュネ)』だね。
間違っても『薔薇族』じゃない」
----分からないニャあ。
(byえいwithフォーン)
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私のBLOGでの、「トーマ」絡みの話題に反応してくださってありがとうございます。
ご質問に関連して、監督の発言記事探しましたー。
私は、ギュンターのやるせない切なさって、ホロリとしてしまいました。美化するわけではなく、あれだけ多くの友人といてもなお満たされないという、(たぶんハンス以外みえてない...)孤独感。
せつないお話でした。淡々と綺麗に撮ってあって。私は好きです。
労働者階級でも、優秀だったから不相応にエリート校に入れてしまったパウルが、別荘で、ギュンターの蔵書を真剣にいいなーという態度だったのも身につまされ、あれは好感度UPでした。(私も、学生時代は友人宅の立派な書斎にときめいたりしていたので。・・・大人になってもですけど。)
『トーマの心臓』、ほんとうに監督ご存知でしたね。
驚きでした。
でもそう言われてみると確かに雰囲気が似ています。
わざわざ、調べていただきありがとうございました。
書斎のたくさんの本……、
「白鳥の歌なんか聞こえない」という庄司薫の小説の中で、
膨大な本を所蔵する老人が
もうすぐその命を終えようとし、
若い主人公がそのことに衝撃を受けると言う
印象的場面があります。
それだけの記憶や知識があっと言う間に消えてゆく。
いやあ、当時は考えさせられたものでした。
ホントに、注目株の若い俳優さんばかりですね。美しくて痛い作品でした。
ヒルデみたいな女性、たま~にいますよね。
毒がいっぱいと分かっていながらも、
その魅力にあらがえないのが男の悲しいところです。(笑)