ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ビッグ・リバー』

2006-03-23 18:33:11 | 新作映画
----これってベルリンで話題になっていた映画だよね。
確か主演のオダギリジョーが、全編英語で喋るとか?
「うん。それってどういう意味かと思ったら、観て納得。
彼が扮しているのは日本人のバックパッカー、哲平。
彼は世界中を旅しているんだ」

----そうか、外国が舞台なんだ。
「そう。彼がアリゾナ砂漠で知り合ったパキスタン人のアリ、
そして若いアメリカ女性サラと、ひょんなことから行動を共に。
その中でそれぞれが抱えているものが浮かび上がってくるという仕組み。
つまり、これは典型的なロードムービーだ」

----でも、あまりドラマチックな映画という感じがしないけど?
「そこが現代の映画なんだろうね。
それでもこのアリだけは消息の途絶えた妻を探しにきたという
物語性のある設定になっている」

----でもそれ、どこかで聞いたような気もするけど…。
「ヴィム・ヴェンダースのあの映画(『パリ、テキサス』)だね。
ロケ地はジャームッシュ映画にも出てきた
カウタウンが使われている。
アリゾナでの撮影はジャームッシュの助監督でもあり、
この映画でのチーフ助監督のコニー・ホイが活躍。
ジャームッシュはオダギリジョーが最も好きな監督なんだって。
『デッドマン』でも使われたというその場所を
感慨深げにカメラに収めていたらしいよ」

---あれっ、今日はそれだけ?
「う~ん。映画としてはそんなに目新しくもないしなあ。
ただ、旅をするうちにそれぞれの関係性が変容するという
ロードムービーの形式の中に、
異なる人種を投げ込んだ試みはオモシロかったと思う。
あと、ラストのモニュメント・バレーの空撮を始めキャメラもよかった。
とりわけ、夜のハイウェイ。
アリに置き去りにされた哲平を探しまわるサラ。
ここは真っ暗闇の空気感がよく出ていたと思う。
それとラストだね。
これは明かせないけど、長く心に残る名シーンだね」

----そう言えば今日もオダギリジョーの映画じゃなかった?
「西川美和監督の『ゆれる』だね。
舞台挨拶もあるからか、スゴい人気で満員札止め。
泣く泣く断念したけど、こちらも気になるなあ」


         (byえいwithフォーン)


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