ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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『隠された記憶』

2006-03-24 19:48:36 | 新作映画
「お・お・お・おお~っ」
----ちょ、ちょっと。そんな興奮したら恥ずかしくニャい?
「でも、これスッスゴすぎる。
『ラストカットに全世界が震撼』なんて書かれていると、
そんな大げさなと思っても少しは気になるじゃない。
でも、これは本当に嘘いつわりなし。
『ホテル・ルワンダ』は別格として、
その衝撃度に限って言えば、
今年観た中ではこれ以上の作品はなかったね。
ミヒャエル・ハネケ、あんたはスゴい。
カンヌ3部門受賞も納得」

---まあ、落ちついて落ちついて(笑)。
いったいどんなお話ニャの?
「主人公はテレビ局の人気キャスター、ジョルジュ(ダニエル・オートゥイユ)。
美しい妻アン(ジュリエット・ビノシュ)と
息子ピエロと共に幸せな生活を送る彼の元に、
ある日、送り主不明のビデオテープが送られてくる。
そこに映し出されるのは、家族の日常。
ところが回を重ねるにつれて、ビデオには不気味な絵が一緒に添えられ、
その映像は彼のプライベートの奥へとエスカレ-トしていく。
不安が恐怖へと変わる中、
ジョルジュはある遠い日の記憶を呼び覚ます。
あっ、これ以上は言わない方がいいな」

----えっ、いいところでおしまいだ…。
でもどことなくデビッド・リンチの『ロスト・ハイウェイ』に似てない?
「う~ん。あんなシュールな映画じゃないけど、
でも不気味なところは同じだね。
日常に根ざしている分、こっちの方が怖いかも。
夫は呼び覚ました<過去>を隠したいあまり、
現在の妻の不安、恐怖を思いやることができなくなる。
しかし、この語り口の巧さはどうだろう。
映画は、スリラーの形を借りながら、
夫婦や家族の問題だけでなく、
先進国による社会的経済的迫害、
あるいは『クラッシュ』でも見られた
異人種への潜在的恐怖など
現代にも繋がる政治的な問題、
さらには子供の悪意、
それによって左右されるひとりの人生、
そして加害と被害意識の落差と、
さまざまなテーマをあぶり出してゆく」

---ニャるほど。しかもミステリー仕立てにもなっているしね。
で、その『ラストカット』はそんなにスゴいの?
「うん。でもこの『ラストカット』というのがクセもの。
途中、思わず声を上げる衝撃の瞬間があって、
これがその『ラストカット』かと思ったら、
映画はまだまだ続いてゆく。
そして静かながらも、まさに驚愕の『ラストカット』が現れる。
でもこのキャッチコピーを考えた人は巧い。
ある意味、途中の衝撃シーンだってそう言えないことはないわけだし。
しかし、このラストはどう解釈するべきなんだろう。
ここを詳説するとネタバレになるから書けないのが残念。
観た人と話したいという気持ちがこんなに湧いてきた映画も久しぶりだ」

----と言うことは、伏線も張られているってワケ?
「そうなんだよね。
そこを他の観た人と確認しあいたいんだ。
つまり、あのラストが生まれるのは、
その前にAという伏線があるからであり、
だからこういう解釈もできるのでは?ってことをね」

----ニャに言っているのか、まったく分からないや(笑)
「いまプレスを読んだら
この映画のプロデューサーがこう語っていた。
『この作品のラストシーンには多くの解答や解釈があります(中略)。
ミヒャエル・ハネケは、
観客が「さてどこに食事に行きましょうか?」となるのでなく、
議論しながら映画館を後にする光景を見たいのです』。
つまり、ぼくはまんまと彼の術中にハマったってコトだね」

       (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「どうニャってんの?」小首ニャ

ロスト・ハイウェイ PIBF-91023ロスト・ハイウェイ PIBF-91023
※このデヴィッド・リンチ作品でも、何者からか自分の家を写した映像が送られてきました。


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26 コメント

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Unknown (mig)
2006-03-27 14:50:07
こんにちは、えいさん



これ、すごく観たいんです~。

好きなジャンルなんですよー



えいさんの評価がよさそうで安心しました、

観てから続きを読ませてもらいます
はじめまして (miho)
2006-03-27 21:35:54
初めまして。

私も、見終わった後疑問ばかりが残り、他の方の感想を知りたく、こちらに来ました。



「観た人と話したいという気持ちがこんなに湧いてきた映画も久しぶりだ」



本当にその通りでした。

レビュー、参考になりました。ありがとうございました。
■ migさん (えい)
2006-03-27 23:54:57
こんばんは。



これはおススメです。

早く観ていただき、感想が伺いたいです。
■mihoさん (えい)
2006-03-27 23:57:08
こんばんは。



先ほど、mihoさんのブログ拝見いたしました。

私も、この映画についてはいろいろ確認したいことが多いです。

ただ、観られていない方にネタバレにならないようにするには

どうすればいいか?

あとで、またお伺いしますね。
TBが貼れない... (隣の評論家)
2006-04-29 19:21:03
えいさん、こんにちわ。

今度は私の方からTBが貼れないです。何度も試してしまったので、暫くしてたくさん貼れてたら削除しといてくださいませ。

で、この作品ですが。アタクシはラストを見逃してしまったようです。「是非とも、えいさんのご意見を!」とお尋ねしたいけど、ブログ上で書くとネタバレになるからダメですね...。でも、ラストに?と思っても、十分に『ハネケ節』を堪能できたアタクシでした。劇場には行けなくても、DVD化したら必ず再度見ようと思っています。何度見てもわからなくても、この作品は魅力タップリだと思いました。
鑑賞した方達の意見を、是非訊きたい作品ですね (たろ)
2006-04-29 20:28:40
こんばんは。

弊ブログへのトラックバック、ありがとうございました。

こちらからもコメントとトラックバックのお返しを失礼致します。



僕は注意をしていたつもりですが、この作品に重要と思われるエンディングの映像の細かな部分を見逃しました。

そして、自由な解釈が出来る仕上がりであり、観る人に集中力を要求する物語展開の仕上がりからも難解で後味の独特な印象を受ける映画であり、観た人の数と同じく感想があると思わせる仕上がりであると感じられました。



また遊びに来させて頂きます。

ではまた。



■隣の評論家さん (えい)
2006-04-29 20:33:44
こんばんは。



TBうまくいってましたよ。

さて、ラストカットですが、

以前、mihoさん宛に書いた

自分の見解がまだメールボックスに残っています。

こちらに手を加えたものを私信でお送りしようと思うのですが、

もし、隣の評論家さんさえ問題なければ、

du-rhum@mail.goo.ne.jp

までご連絡ください。

■たろさん (えい)
2006-04-29 20:37:43
こんばんは。



この映画、ある意味『猿の惑星』以来のラストの衝撃でした。

おっしゃるとおり、

いろんな解釈ができる映画だと思います。

観た人限定で意見を交わせる場所があるといいですね。



これからもよろしくお願いします。
再び失礼します (隣の評論家)
2006-04-29 20:54:46
えいさん、TB&コメントありがとうございます。

この作品のラスト。えいさんが記事にしていたのは知っていたので、鑑賞後に「えいさんに聞いてみたい」と実際に思っていたくらいです(笑)。

アドレスありがとうございます。ところがドッコイで。早速メールしてみたんですけど、エラーになっていたので。私は問題ないどころか、是非ともご意見をお聞かせ願いたいと思っているので。えいさんの見解を以下のアドレスまで、一つポチッと送って頂いてもよろしいでしょうか。

cinemania-china@nifty.com
見てきました。 (charlotte)
2006-05-02 02:03:51
こんばんは。

映画の日鑑賞で満員でした。

「衝撃のラストカット」・・・自分はその前のシーンが衝撃すぎたのもあったのでパッと見は気がつきませんでしたけど、自分なりの解釈がきちんと出来てないとその衝撃さは感じ得るのは難しいのでは?と思いました。それでなくとも、はっきり説明してないですもんね。苦手な人は苦手かしら??私は気に入りました!

…でも、はっきり言ってすご~く頭が痛いし、気分も悪くなりましたよ。疲れました。

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