ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『RENT レント』

2006-04-03 19:00:37 | 新作映画
----これって「オペラ座の怪人」や「美女と野獣」と並ぶ
ブロードウェイのロングラン・ミュージカルなんだって?
ミュージカルとしては異例のピュリッツァー賞も受賞したと聞いてるけど?
「うん。そうらしいね。
タイトルになっている『レント』と言うのは“家賃”のこと。
1830年頃のパリの下町を舞台にした
プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』をベースに、
1980年代末のニューヨーク、
イースト・ヴィレッジに置き換えて
そこに暮らす若者たちの姿を描いたようだ」

----その言い方からすると、あまり知らないニャ(笑)?
「うん。でも物語は簡単に説明できるよ。
ミュージシャン、ロジャー。
エキゾチックなダンサー、ミミ。
ロジャーのルームメイトでドキュメンタリー映像作家のマーク。
その元彼女でパフォーマンス・アーチスト、モーリーン。
他にも、モーリーンと結婚式を挙げる女性弁護士ジョアンヌ。
哲学教授トム・コリンズ、
彼と愛人関係となるストリート・ドラマー、エンジェル。
ボヘミアン的気質を持つ彼らは芸術家を志向。
安易に商業主義に走らない彼らは貧困に喘いでいる。
そんな彼らに元々は同じロフトの住人だった
ベニーが家賃の催促にやってくる。
まあ、この8人の話と思えばいいかな。
ホームレス立ち退き計画に抗議するパフォーマンス・ライブ、
エイズ患者のためのライフ・サポートなどを織り込みつつ、
彼らの傷だらけの愛と夢が語られる」

----ニューヨークの中の悲惨な暮らしをベースにした映画と言ったら
『真夜中のカーボーイ』が思い浮かぶよね。
「うん。ただ、あの映画との違いは、
彼ら仲間が強い絆で結ばれていることだろうね。
時代的に、エイズが出現していることが
別の意味での重い影を投げかけているけどね。
なにせ、この8人のうち半数がHIV+」

----うわあ、これまた高い確率だね、
「マンハッタンのアートスクールで
<名声>を掴もうとする若者たちのエネルギッシュな姿を描いた
『フェーム』が生まれたのが1980年。
あっという間に、その空気は変わってしまったわけだ。
ドラッグ、同性愛、友の死……だもの。
ほんとうに
80年代後半のアメリカってこんな感じだったのかな?
音楽そのものはパワフルなんだけどね」

----でも、あまりミュージカル向きじゃないという気もするね。
「一番不思議なのは、
このミュージカルがブロードウェイで人気を博していること。
ここに描かれている世界の若者たちは日々の食事にも窮している。
でも、そんな話を観ている人たちは、
映画に比べて高いミュージカルの観劇料を支払うことができる層だよね。
この関係がぼくにはよく分からない。
彼ら観客は、この話をどんな気持ちで観ているんだろう?」

----原作者はそれについて何か言っているの?
「脚本、作詞、作曲を手がけたジョナサン・ラーソンは
プレビュー公演の前日に35歳の若さで亡くなったとか。
最初はニューヨークのダウンタウンにある小劇場での公演だったらしい。
本人もここまで来ると思っていたかどうか…。
『18世紀のコスチュームプレイをやるのと何ら変わりないよ』。
これは来日公演でロジャー役を演じた某キャストの言葉。
観客もこの物語をひと昔前のできごととして、
ある程度、距離を置いて観ているのかな?」

         (byえいwithフォーン)


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15 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ニューヨーク (kazupon)
2006-04-30 09:46:48
えいさん、すみませんTB二つ送っちゃったようです。ごめんなさい。

自分も始めてこの有名ミュージカルの内容と曲に触れましたが、ここまでエイズが主軸にある物語だとは

知りませんでした。

観ていてちょっとテレビの「フレンズ」みたいな

感じだなぁと。男も女もゲイもレズもみんな友達!

みたいないい感じで。でも確かに登場人物の半数が

感染者ってのはスゴイコミュニティですよね。。。

返信する
コンチニハ。 (april_foop)
2006-04-30 09:55:53
『ブロークン・フラワーズ』ともどもTBさせていただきました。

HIVってなんか一昔前って気分がしちゃいますが、ちっとも改善されてないんですよね。

日本でも過去最多みたいなニュースが出てましたね。。

その辺を見直すきっかけにはなるかも?などと思ったり思わなかったりでした。

それでは、また覗きにきます。
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はじめまして。 (kaz-net_poteto)
2006-04-30 14:27:04
ミュージカルといえば、派手で楽しい作品と思い浮かんでしまう中で、重く、ある意味地味ともいえるこの作品が長い間愛され続けているのは、心に残るからなんでしょうか…。

私も観終わった後は、惜しいな~と思っていたのですが、時間が経つにつれてジワジワときています。

「エンジェル」は忘れられません。
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度々 (kaz-net_poteto)
2006-04-30 14:29:15
すいません、お礼を忘れてしまいました。

TBありがとうございました。
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■kazuponさん (えい)
2006-04-30 22:15:04
TBの件、ご連絡ありがとうございます。

TBって、なかなかうまくいかないことありますよね。

ぼくもよくやってしまいますので、あまり気になさらないでください。

なるほど『フレンズ』ですか。

ぼくはあのドラマはファースト・シーズンしか観ていませんが、

あれはまだ主人公たちに

経済的にも精神的にもゆとりがあったような…。

この映画は観ていて痛かったです。
返信する
■april_foopさん (えい)
2006-04-30 22:19:04
こんばんは。



HIVの問題は日本でも血液製剤の件もあり、

大きな問題となりましたが、

最近は発症を抑制できるようにもなったこともあってか、

あまりニュースとして見かけなくなりました。

でもやはり大きな問題であることは間違いないですよね。

そのことを考えるきっかけとなればと思います。
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■kaz-net_potetoさん (えい)
2006-04-30 22:23:49
こんばんは。



どうも性格的に、ヘビーな映画が苦手で、

正直言って、この映画もどちらかと言うとタイプではないです。

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を観たときのような

そんな気持ちに襲われました。
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えいさん、こんばんわ。 (隣の評論家)
2006-05-07 20:50:51
GWの締めは、本作となりました。

それにしても、この雨降りの中、東劇では想像を遥かに上回る行列ができていてビックリしました。なかなか好評なようですね。

本作とは全然関係ないのですが。帰りにチケット・ショップを覗いて前売り券を数枚購入したのですが。何か勢いがついて「隠された記憶」も買ってしまいました。という訳で、2度目に挑んでみたいと思います。多分、2回見ても考えがまとまらない予感がしているのですが、2回目の鑑賞後に記事を作成するパワーが残っていたら、また遊びに参りますね。
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■隣の評論家さん (えい)
2006-05-07 22:49:26
こんばんは。



東劇の行列ってなんだか嬉しいですね。

あの映画館は最寄りの駅が東銀座。

何かのついでではなく

ほんとうに映画目的の人がきたという感じでしょう。



『隠された記憶』、2度目の書き込みというのは

難しい作業だと思います。

楽しみにしています。
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おもしろかったです (PocketWarmer)
2006-05-08 22:25:57
ミュージカル嫌いのわたしにしてはめずらしく。本物の舞台をみてみたいとしみじみ思いました。
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