----これって『ウォーターボーイズ』で
ブレイクした矢口史靖監督の新作だよね。
『スウィングガールズ』以来、
4年ぶりの長編だって?
どうしてそんなに撮らなかったの?
「どうやらこの映画の準備に丸2年費やしていたらしいよ。
その間、国内外の航空関係者100人以上に取材を敢行したらしい」
----飛行機の映画というと、
パニック映画か
あるいはテレビの『スチュワーデス物語』みたいなのを
連想しちゃうけど…。
「普通はそうだよね。
でもこの映画は、
航空に携わる、
もっと多くの人たちにスポットを当てているんだ。
その中にはもちろん
『狂っちゃいないぜ』に出てきたような管制官も含まれる。
一言で言えば
“空のプロフェッショナル”たちの群像ドラマというわけだ」
----ふうん。群像ドラマか…。
そうなるとストーリーの説明はややこしそうだね。
「いや、意外にそうでもないよ。
物語は、副操縦士・鈴木和博(田辺誠一)と
原田機長(時任三郎)が操縦するホノルル行き1980便を中心に展開。
鈴木和博は、これがOJTの最終フライト。
また原田機長は、機長昇格訓練教官……」
----ちょ、ちょっと待って。
ニャに、そのOJTというのは?
「あっ、そうか。
まずはそこから説明しなくては……。
OJTというのはOn the job training、
つまり実際の作業を通して行う訓練の略。
実はこの映画、
こういう専門用語がバンバン飛び交う」
----あらら。たとえば?
「CA(キャビンアテンダント)たちが
鈴木の肩章の3本線に気づき『なんだコーパイか』。
このコーパイとはコー・パイロット、副操縦士のこと。
コーパイは、
さっき話に出たOJTにパスして、晴れて4本線の機長となれるんだ。
また『アイ・ハブ』『ユー・ハブ』という会話が
何度も出てくるけど、
操縦を担当するパイロットが
『アイ・ハブ・コントロール』。
これはその略。
『ユー・ハブ』はもう分かるよね。
あとは、これが物語の重要なポイントとなるんだけど、
バードストライクでピトー管がやられてしまうんだ」
----?????ニャンのこと?
「ピトー管というのは
航空機の空気の流れの速さを計測するための測定器。
この映画では、
これがバードストライク、飛行機と鳥との衝突で起こるんだ。
それにより飛行が不安定となり、
1980便は羽田に引き返す」
----えっ、じゃあパニック映画になるの?
「う~ん。
ちょっと違うかなあ。
この映画では乗客がパニックに陥らないように
キャビンアテンダントが冷静沈着に対応。
また、それに向けてのグランドスタッフや管制官の動きも描かれる」
----ニャンだ。結局はANAの宣伝映画じゃニャい。
「いや、それがそうでもないんだ。
たとえば飛行機に乗ることを怖がる乗客を
グランドスタッフが感動的に説得。
でもそのすぐ後に、対応がまずかった部下に対して
『ビジネスクラスの飛行機代がいくらになると思っているんだ』と叱る。
また一方では、管制官が意外とのんびりしているように描かれていて、
飛行場見学の子供たちに『ヒマそう』と言われてしまう。
あるいは整備士が先輩から怒られたり、
華やかな仕事と思われているキャビン・アテンダントが
大急ぎで立ち食いしたり……」
----へぇ~っ。そのシナリオででよく撮影を許可したよね。
「そうなんだよね。
しかも格納庫で実際のB747-400を使って撮影。
機内もこれまでの通例を破ってモックアップ(実物を模した実物大模型)ではなく
実機を使っての撮影。
そのため、なんとジャンボ機の先頭から最後部までが
ワンフレームに収まるという贅沢な画まで撮れている。
ただ、同時録音のためエアコンも入れられず、
ライトで熱された機内は灼熱地獄だったらしいけどね」
----それはスゴいや。
でもANAはどうしてそこまで協力したの?
「おそらく監督の“飛行機愛”が伝わったんだろうね。
ただ、この映画、
これまでの矢口史靖作品のような弾けるコメディを想像すると
少ししっぺ返しを喰らうかも。
さっきも言ったようにこれは群像ドラマ。
それもトラブルを起こした飛行機を無事着陸させるという
共通目的に向ってのね。
和製ロバート・アルトマンというと、少し褒めすぎかな」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「機長と副機長は同じもの食べてはいけないのニャ」
※ある意味、伊丹十三の流れを汲むマニュアル映画でもある度
人気blogランキングもよろしく
☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
ブレイクした矢口史靖監督の新作だよね。
『スウィングガールズ』以来、
4年ぶりの長編だって?
どうしてそんなに撮らなかったの?
「どうやらこの映画の準備に丸2年費やしていたらしいよ。
その間、国内外の航空関係者100人以上に取材を敢行したらしい」
----飛行機の映画というと、
パニック映画か
あるいはテレビの『スチュワーデス物語』みたいなのを
連想しちゃうけど…。
「普通はそうだよね。
でもこの映画は、
航空に携わる、
もっと多くの人たちにスポットを当てているんだ。
その中にはもちろん
『狂っちゃいないぜ』に出てきたような管制官も含まれる。
一言で言えば
“空のプロフェッショナル”たちの群像ドラマというわけだ」
----ふうん。群像ドラマか…。
そうなるとストーリーの説明はややこしそうだね。
「いや、意外にそうでもないよ。
物語は、副操縦士・鈴木和博(田辺誠一)と
原田機長(時任三郎)が操縦するホノルル行き1980便を中心に展開。
鈴木和博は、これがOJTの最終フライト。
また原田機長は、機長昇格訓練教官……」
----ちょ、ちょっと待って。
ニャに、そのOJTというのは?
「あっ、そうか。
まずはそこから説明しなくては……。
OJTというのはOn the job training、
つまり実際の作業を通して行う訓練の略。
実はこの映画、
こういう専門用語がバンバン飛び交う」
----あらら。たとえば?
「CA(キャビンアテンダント)たちが
鈴木の肩章の3本線に気づき『なんだコーパイか』。
このコーパイとはコー・パイロット、副操縦士のこと。
コーパイは、
さっき話に出たOJTにパスして、晴れて4本線の機長となれるんだ。
また『アイ・ハブ』『ユー・ハブ』という会話が
何度も出てくるけど、
操縦を担当するパイロットが
『アイ・ハブ・コントロール』。
これはその略。
『ユー・ハブ』はもう分かるよね。
あとは、これが物語の重要なポイントとなるんだけど、
バードストライクでピトー管がやられてしまうんだ」
----?????ニャンのこと?
「ピトー管というのは
航空機の空気の流れの速さを計測するための測定器。
この映画では、
これがバードストライク、飛行機と鳥との衝突で起こるんだ。
それにより飛行が不安定となり、
1980便は羽田に引き返す」
----えっ、じゃあパニック映画になるの?
「う~ん。
ちょっと違うかなあ。
この映画では乗客がパニックに陥らないように
キャビンアテンダントが冷静沈着に対応。
また、それに向けてのグランドスタッフや管制官の動きも描かれる」
----ニャンだ。結局はANAの宣伝映画じゃニャい。
「いや、それがそうでもないんだ。
たとえば飛行機に乗ることを怖がる乗客を
グランドスタッフが感動的に説得。
でもそのすぐ後に、対応がまずかった部下に対して
『ビジネスクラスの飛行機代がいくらになると思っているんだ』と叱る。
また一方では、管制官が意外とのんびりしているように描かれていて、
飛行場見学の子供たちに『ヒマそう』と言われてしまう。
あるいは整備士が先輩から怒られたり、
華やかな仕事と思われているキャビン・アテンダントが
大急ぎで立ち食いしたり……」
----へぇ~っ。そのシナリオででよく撮影を許可したよね。
「そうなんだよね。
しかも格納庫で実際のB747-400を使って撮影。
機内もこれまでの通例を破ってモックアップ(実物を模した実物大模型)ではなく
実機を使っての撮影。
そのため、なんとジャンボ機の先頭から最後部までが
ワンフレームに収まるという贅沢な画まで撮れている。
ただ、同時録音のためエアコンも入れられず、
ライトで熱された機内は灼熱地獄だったらしいけどね」
----それはスゴいや。
でもANAはどうしてそこまで協力したの?
「おそらく監督の“飛行機愛”が伝わったんだろうね。
ただ、この映画、
これまでの矢口史靖作品のような弾けるコメディを想像すると
少ししっぺ返しを喰らうかも。
さっきも言ったようにこれは群像ドラマ。
それもトラブルを起こした飛行機を無事着陸させるという
共通目的に向ってのね。
和製ロバート・アルトマンというと、少し褒めすぎかな」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「機長と副機長は同じもの食べてはいけないのニャ」
※ある意味、伊丹十三の流れを汲むマニュアル映画でもある度
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とてもわかりやすい説明、ありがとうございました。
ありがとうございます。
そう言っていただけて、
ほんとうに嬉しいです。
映画のオモシロさを
より分かりやすくお伝えできるよう、
これからも頑張ります。
またきてくださいね。
綾瀬版『スチュワーデス物語』のような根性モノだったらスルーする作品ですが、裏方及び裏にスポットを当てた作品は大好きです。
現実の厳しさをコミカルに描きつつ、情報満載な作品を作り上げた監督には脱帽です。
危機を乗り越えた後の拍手って好きです(^^)
ぼくも観る前は『スチュワーデス物語』と
どう違うんだろうと思っていたのですが、
なるほど、このようなアプローチがあったとは…。
コメディを期待しちゃうと、
いまいちですが、
航空会社のバックステージを
とても興味深く見せていただいたって感じ。
楽しかったです。