ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『12人の怒れる男』(ニキータ・ミハルコフ版)

2008-08-06 22:34:16 | 新作映画
----あらら、これって
シドニー・ルメット監督の
あの有名な映画のリバイバル?
「いや、それがそうじゃないんだ。
なんとロシアの名匠ニキータ・ミハルコフ監督による新作」

----へぇ~っ
じゃあ話はまったく違うの?
「叔父殺害の容疑をかけられた少年。
彼は果たして有罪か無罪かを12人の陪審員たちが審議。
最初は有罪確実と思われた少年だが、
いくつかの腑に落ちない点に気づいた陪審員の異議申し立てから、
無罪の可能性が浮上。
審議は二転三転していく-------
その流れはほぼ同じだね」

----ふうん。そういえば日本でも近々
裁判員制度が始まるよね。
そういう中でリメイクするなら分かるけど、
なぜ、いまロシアでこれが作られたの?
「この映画では容疑者の少年がチェチェン出身。
そして12人の陪審員を
さまざまな階層・職業の人とすることで、
いまのロシアの抱えている多くの問題を浮き彫りに-----、
そういうことなんじゃないかな」

----そういえば日本では中原俊監督が『12人の優しい日本人』を作り、
その中で議論下手な日本人の特性を浮き彫りにしていたよね。
「うん。
この物語は、
基本となる設定を変えずとも、
映画を制作するその時代、その国の体制・風潮によって
さまざまなアプローチを可能にする------。
いわば、普遍性のある内容。
今回の映画化はそのことを改めて教えてくれたね」

----ニャるほど。
そういえば、これって密室の中でのお話だったよね。
オリジナルでは途中、カメラが部屋から外に出なかった記憶があるけど…。
「うん。でも、
今回は容疑者の少年が見た夢や回想が、
繰り返し繰り返し織り込まれる。
とはいえ、中心となるのは
審議が行なわれる学校の体育館。
映画は、
その中で、それぞれの陪審員が
自分の身の上に過去に起こった出来事を独白する形で進んでいく。
その独白一つひとつを映像化しただけで
いくつもの映画が生まれそうなほどに、
それらはすべて衝撃的。
実によく練られた脚本だと思ったね」

----へぇ~っ。
じゃあ、観客にとっては超オトクというわけだ。
「う~ん。
ただ惜しむらくは
それらのエピソードが全てモノローグになっていること。
なかには“10分間ワンショット”というものまである。
それはそれで一つの手法だとは思うものの、
ちょっときつかったかな。
なにせ映画そのものも全体で160分もあるしね」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「審議はきちんと尽くさなくちゃならないのニャ」ちょっと怒るニャ

「※ラストは驚きだ度

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2 コメント

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本当 (miyu)
2009-07-29 21:53:40
色んなアレンジやアプローチであっても
オリジナルの面白さが損なわれないって
凄いですよね~。ちょっと見応えありすぎでしたけど、
これも面白かったですね。
返信する
■miyuさん (えい)
2009-07-29 23:50:22
いまのロシアの状況を、
この有名な設定の中に放り込んでみるという
その発想がオモシロかったです。
映像的にもなかなか凝っていましたね。
返信する

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