(原題:El artista y la modelo)
----『ふたりのアトリエ』って、
確かモノクロ映画だよね。
かなり前から興味を持っていたようだけど、
それって少し珍しくニャい?
こういうアート系の映画では、
あまりなかったような気が…。
「うん。理由は簡単。
クラウディア・カルディナーレが出ていたから。
彼女は『刑事』『ブーベの恋人』『鞄を持った女』など、
なぜかモノクロ映画がよく似合う。
敗戦後、まだその傷も癒えぬ鬱々としたイタリアの空気の中、
カルディナーレは、
自らのはちきれんばかりのその健康な肉体を持てあましていたよう。
まだ子どもだったぼくにも、
それがエロスとして映ったんだね」
----でも、彼女ももういい年だよ。
「分ってないなあ。
それでも観たくなるのがファン心理というもの。
さて、それはさておき、
この映画はフランスの彫刻家アリスティド・マイヨールの人生をモチーフに、
代表作の一つ『地中海』が生まれるまでを描いたもの。
ここではマーク・クロスという名前で登場する。
演じているのは名優ジャン・ロシュフォール」
----ジャン・ロシュフォール、ジャン・ロシュフォール。
あっ『髪結いの亭主』の人だ。
「さすが、知識だけはある(笑)。
さて物語は、1943年夏、占領下のとある村に始まる。
生きる希望を亡くしていた名高い老彫刻家マーク・クロス(ジャン・ロシュフォール)は、
スペインの収容所から逃げてきたひとりの美しい娘メルセ(アイーダ・フォルチ)との出会いによって、
再び創作意欲を取り戻す。
静かで美しい自然の中や、日差しが差し込む山小屋のアトリエで過ごす
ふたりだけの濃密な時間。
だが、そこに戦いで腕を負傷したひとりの若者ピエールが現れる…」
----あらら。辛いニャあ。
でもある意味、それってよくある話だよね。
若いふたりは燃え上がり、
ひとり取り残される老人の哀しみ…。
「ぼくも、てっきりそうなると思っていたんだけど、
監督フェルナンド・トルエバの関心は、
あまりそちらの方には向いていなかったね。
ここで彼が描こうとしているのは、
もっと純な核となる問いかけ。
美とは、芸術とは何か…?
山に裸の女がいると騒ぎたてる少年たちに、
「芸術家と医者は裸を見ることが許されている」と諭すクロスの妻マリー
(クラウディア・カルディナーレ)、
<ある一瞬>を捉えたレンブラントの素描、
あるいは<神が存在する証明>としての女性の存在など、
その会話やエピソードだけでも
観る側の知識は膨らんでいく」
----ニャるほど。
そっちの方面に興味がある人には
たまらないだろうニャあ。
でも、ドラマとしてはあまりオモシロくなさそう。
その若者も決定的な波紋は引き起こしそうにないし…。
「いや、そうでもないよ。
ピエールがやって来たその日、
そこにドイツ軍人のヴェルナー(ゲッツ・オットー)が現れる。
たとえ『イングロリアス・バスターズ』を観ていなくても、
これはかなりヤバい状況だということは誰にでもわかる。
さて、クロスはこの危機をどうやって切り抜けるか…?
また、一方では
クロスがメルセに特別な感情を抱いてしまい
彫刻に集中できなくなるというドラマも生まれる。
白磁のようなメルセの柔肌を、おそるおそる撫ぜる皺だらけのクロスの手…。
このシーンも強烈、瞼に焼きつく」
----へぇ~っ。だんだん観たくなってきた。
でも、クロスはいい年ニャんでしょ。
この関係って、いつまでも続くはずニャいよね。
「そうなんだよね。
果たして彼らはどういう結末を迎えるのか?
映画は、<画>としてははっきり明示してはいないけど、
このラストはかなりくるものが…」
----う~ん。どういうラストだろう?
監督のフェルナンド・トルエバって確か
アカデミー外国語映画賞を受賞した『ベルエポック』の人だよね。
あれは、ちょっとコミカルだったけど…。
「そうだね。
今回、彼よりも共同脚本の名前の方に注目した方がいいかも。
なんとルイス・ブニュエルの映画などで知られる
ジャン=クロード・カリエールがクレジット。
その名前にピンとくる人ならすぐに納得してもらえると思うけど、
これは、ありきたりの映画に終わるはずもない。
かなり、残酷な、いや観る者を突き放したようなラスト。
もちろん、人によってはそれさえも<幸福>と捉えるかもだけど…」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「モノクロ映像が美しいのニャ」
※アイリスによるフェイドイン&フェイドアウトが2回出てくる度
こちらのお花屋さんもよろしく。
こちらは噂のtwitter。
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----『ふたりのアトリエ』って、
確かモノクロ映画だよね。
かなり前から興味を持っていたようだけど、
それって少し珍しくニャい?
こういうアート系の映画では、
あまりなかったような気が…。
「うん。理由は簡単。
クラウディア・カルディナーレが出ていたから。
彼女は『刑事』『ブーベの恋人』『鞄を持った女』など、
なぜかモノクロ映画がよく似合う。
敗戦後、まだその傷も癒えぬ鬱々としたイタリアの空気の中、
カルディナーレは、
自らのはちきれんばかりのその健康な肉体を持てあましていたよう。
まだ子どもだったぼくにも、
それがエロスとして映ったんだね」
----でも、彼女ももういい年だよ。
「分ってないなあ。
それでも観たくなるのがファン心理というもの。
さて、それはさておき、
この映画はフランスの彫刻家アリスティド・マイヨールの人生をモチーフに、
代表作の一つ『地中海』が生まれるまでを描いたもの。
ここではマーク・クロスという名前で登場する。
演じているのは名優ジャン・ロシュフォール」
----ジャン・ロシュフォール、ジャン・ロシュフォール。
あっ『髪結いの亭主』の人だ。
「さすが、知識だけはある(笑)。
さて物語は、1943年夏、占領下のとある村に始まる。
生きる希望を亡くしていた名高い老彫刻家マーク・クロス(ジャン・ロシュフォール)は、
スペインの収容所から逃げてきたひとりの美しい娘メルセ(アイーダ・フォルチ)との出会いによって、
再び創作意欲を取り戻す。
静かで美しい自然の中や、日差しが差し込む山小屋のアトリエで過ごす
ふたりだけの濃密な時間。
だが、そこに戦いで腕を負傷したひとりの若者ピエールが現れる…」
----あらら。辛いニャあ。
でもある意味、それってよくある話だよね。
若いふたりは燃え上がり、
ひとり取り残される老人の哀しみ…。
「ぼくも、てっきりそうなると思っていたんだけど、
監督フェルナンド・トルエバの関心は、
あまりそちらの方には向いていなかったね。
ここで彼が描こうとしているのは、
もっと純な核となる問いかけ。
美とは、芸術とは何か…?
山に裸の女がいると騒ぎたてる少年たちに、
「芸術家と医者は裸を見ることが許されている」と諭すクロスの妻マリー
(クラウディア・カルディナーレ)、
<ある一瞬>を捉えたレンブラントの素描、
あるいは<神が存在する証明>としての女性の存在など、
その会話やエピソードだけでも
観る側の知識は膨らんでいく」
----ニャるほど。
そっちの方面に興味がある人には
たまらないだろうニャあ。
でも、ドラマとしてはあまりオモシロくなさそう。
その若者も決定的な波紋は引き起こしそうにないし…。
「いや、そうでもないよ。
ピエールがやって来たその日、
そこにドイツ軍人のヴェルナー(ゲッツ・オットー)が現れる。
たとえ『イングロリアス・バスターズ』を観ていなくても、
これはかなりヤバい状況だということは誰にでもわかる。
さて、クロスはこの危機をどうやって切り抜けるか…?
また、一方では
クロスがメルセに特別な感情を抱いてしまい
彫刻に集中できなくなるというドラマも生まれる。
白磁のようなメルセの柔肌を、おそるおそる撫ぜる皺だらけのクロスの手…。
このシーンも強烈、瞼に焼きつく」
----へぇ~っ。だんだん観たくなってきた。
でも、クロスはいい年ニャんでしょ。
この関係って、いつまでも続くはずニャいよね。
「そうなんだよね。
果たして彼らはどういう結末を迎えるのか?
映画は、<画>としてははっきり明示してはいないけど、
このラストはかなりくるものが…」
----う~ん。どういうラストだろう?
監督のフェルナンド・トルエバって確か
アカデミー外国語映画賞を受賞した『ベルエポック』の人だよね。
あれは、ちょっとコミカルだったけど…。
「そうだね。
今回、彼よりも共同脚本の名前の方に注目した方がいいかも。
なんとルイス・ブニュエルの映画などで知られる
ジャン=クロード・カリエールがクレジット。
その名前にピンとくる人ならすぐに納得してもらえると思うけど、
これは、ありきたりの映画に終わるはずもない。
かなり、残酷な、いや観る者を突き放したようなラスト。
もちろん、人によってはそれさえも<幸福>と捉えるかもだけど…」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「モノクロ映像が美しいのニャ」
※アイリスによるフェイドイン&フェイドアウトが2回出てくる度
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でも書いているうちにこの作品の素晴らしさが甦って来るんですよね。
監督の主訴がストーリーの重ね方によく出ていて、映像の美しさともマッチした、素晴らしい作品でした。
よかったですね。この映画。
先ほどrose_chocolatさんのところにお邪魔して、
あ~、そういえば、
彫刻は絵画と違ってモノクロ世界だ…なんて
ハッとしました。
個人的にはカルディナーレがスクリーンで見られたことが嬉しかったです。