ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『少女たちの羅針盤』

2011-05-05 19:50:25 | 新作映画

----これって、女子高の演劇部で起こった殺人事件の謎をめぐるお話だよね。
ちょっと、気にかけていたみたいだけど…。
「厳密に言うと演劇部じゃないけどね。
この演劇をしている女子高生4人は
学校の演劇部とは別に自分たちで劇団を持ち、
ストリートで公演している…。
と、そのことは後で触れるとして、
監督が長崎俊一
彼って学生映画を撮っていた頃から
そのハードボイルドというか道徳の乾いたタッチで名を馳せていたけど、
一般映画に進出してからは幅広い作品を…。
とは言え、 『西の魔女が死んだ』を撮るとはね…」

----でも、だからこそ逆に観たくなる…。
「そういうことだね。
この映画の話を聞いて、ぼくが思い出したのは
彼の初期の代表作『ロックよ、静かに流れよ 』
こちらは男闘呼組を起用し、男子高校生4人でロック。
これを撮る直前、長崎俊一はサンダンス・インスティチュートに招かれている。
あのあたりから、彼の映画のフィールドが広がっていったような気がする。
さまざまなジャンルの映画にチャレンジしていくんだ。
で、その中のひとつに
『死国』というホラーがあるんだけど、
今回の撮り方が、そのときより遥かに怖い(個人的にだけど…)。

さて物語は、新進女優の舞利亜が、
ネットシネマの撮影のため生まれ故郷に戻ってくるところから始まる。
周りには話していないはずなのに、
監督(前田健)はなぜか
自分が伝説の女子高生劇団“羅針盤”の一員だったことを知っていた。
羅針盤は4年前に瑠美(成海璃子)を中心に活動し、
話題を呼んだ劇団。
高校の演劇部の先輩や先生(戸田菜穂)と巧くいかない彼女は
仲間の梨里子(森田彩華)、かなめ(草刈麻有)そして違う高校に通う蘭(忽那汐里)を誘って新しい劇団を立ち上げる。
映画は、現在の舞利亜を襲う奇妙な出来事と、
4年前の回想とが交互に描かれる」

----うわあ。ちょっと構成がややこしそう。
「確かに。
この作品、まるで2本の映画を観ているかのよう。
高校時代のエピソードを
いかにも青春映画というノリで描きながら、
それを現在のパート=心霊現象すれすれのホラーで断ち切っていく。
あとで考えると、
この現在のパートは少しやりすぎというか、
ここまでオカルト色を出すと、
結末がすんなり入ってこないきらいがあるけど。
でも、切り離して観ると、
これはこれでなかなか楽しめるよ」

----で、かつて何が起こったの?
「あるひとりの少女が死んでいるんだね。
と、ここまで聞いて想像つくと思うけど、
その亡くなったのはこの4人のひとり。
そして、現在のパートでは
舞利亜が誰かということと共に、
その犯人探しへとつながっていくんだ。
つまり、一種のミステリー」

----でも、これって原作があるんでしょ。
確か水生大海という人…。
ということは、映画化に当たっては初めに結論ありきだね。
「うん。そういうこと。
問題は、どのように見せるか…。
この映画、
演劇に賭ける少女たちの夢、
友情と葛藤、そして嫉妬など、
青春にまつわるさまざまな感情を
それこそヴィヴィッドに描いている。
その中で起こる殺人。
果たしてそれは、
それらの感情のどの部分から起こっているのか?
後半、いや~な展開を予想させながら、
見事に覆すこの物語。
ぼくは、けっこうノレたね。
帰りこぬ時間への想いが
甘酸っぱさと切なさの中で描かれ、
でも、そこに拘泥させないために、
ミスリードも含めたミステリーという形を取る。
原作がそうだからと言ってしまえば身も蓋もないけど、
よくできた映画だと思うよ」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「少女たちの演技はどうなのニャ」小首ニャ

※成海璃子が自分をかなぐり捨てるかのような大熱演だ度

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
殺人に至るまでのプロセスはとてもよかったですけれどね (PGM21)
2011-05-15 23:11:17
何時もお世話になっております。

最近当Blogのアクセス解析で結末という言葉が多数占めているんですけれど、この作品って犯人がわかっている以上結末に至るまでの経緯とそれぞれの葛藤を描いている部分がとても評価できる作品だと思うんですよね。
最近感じるのは結論ばかり急ぐ人が多いですけれど、犯人が殺人という結論に至るまでのプロセスってとても重要な部分だと思うんですよね。要因は1つじゃないし、最初から最後で様々な伏線があるからこそこの映画の見所なのだと思います。
返信する
■PGM21さん (えい)
2011-05-17 22:37:06
こんばんは。

こちらこそ、いつもお世話になっています。
ご指摘の通り、
この映画、伏線がいろいろ張り巡らされていましたね。
でも、ぼくがもっと感心したのは、
これが、そのような殺人劇ということを忘れさせるほどの
青春映画としての完成度。
少女たちの関係が、精緻に描きこまれた
それぞれの心理と相まって
とてもスリリングで見ごたえありました。
返信する

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