ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『KARAOKE-人生紙一重-』

2005-03-09 19:43:45 | 新作映画
「あんまり『がんばって!』と言われると、
かえって落ち込むってことあるよね」

-----おっ、いきなりだにゃ。
なんなの今日の映画は?
「いまや世界でその名を轟かせる『カラオケ』。
この映画は、その発明者・井上大佑氏の半生を描いた…
そう思っていたんだけど…」

-----違うの?
「なんかヘンなんだ。冒頭とラストに星野仙一氏のナレーションで、
この不況下、いかに“お父さん”たちが頑張ってるかが語られ、
彼らへのエールが贈られる。
映画自体も、井上氏自身よりも、
むしろ彼のお父さんとその仲間たちの生きざまに
共感が込められている」

-----よく分からにゃいな?
「井上氏(押尾学)のお父さん(宇崎竜童)の友だちというのが、
リストラを任され、部下の就職斡旋に駆けずり回った上、
自らも辞表を提出して自殺した社員(ベンガル)や、
家庭を顧みなかったことから妻と息子に見捨てられ、
ホームレスとなった元エリート(高田純次)と、大変な人生を歩んでいる。
その一因として『バブルが崩壊して…』みたいなことが語られるけど、
ときは「8ジューク」が井上氏によって生み出された30年以上前。
時代的にも全然あわない。
ま、こういう時代考証の『嘘』はいいにしても、
いちばん描きたいのは何なのか?
作者たちの興味は『カラオケ』を作った井上氏よりも、
いまの時代を頑張ってる“お父さん”たちにあったとしか見えない。
そのため、こんなちぐはぐな映画になったんじゃないかな」

-----それじゃ、散漫な印象が否めないね。
「そうなんだ。井上氏のミュージシャンとしての修行時代を始め、
身分違いの恋(相手は吉岡美穂)、鬱病に陥った友人、
さらには愛犬との別れ…と、いろいろ盛り込んでるけど、
どれも、ただ描きましたと言う感じで深みがまったくない。
しかも途中から、この愛犬がナレーターを務める」

-----うわあ、それまたすごい。
「井上大佑氏というのは『タイム誌』で
『今世紀もっとも影響のあったアジアの20人』に選ばれた人。
それだけでも題材としては十分にオモシロい。
もっと普通のアプローチで観たかったな」


      (byえいwithフォーン)

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
う~ん? (asa)
2005-03-09 20:01:01
うちにも試写状来てましたが、何となく惹かれなくて行ってません。「これヘン度」ですか…(笑)。ある意味、観る価値ありますか?

返信する
第2の『シベ超』!? (えい)
2005-03-09 23:01:58
>asaさん。



こんばんは。

この時間に書かれているということは、

クストリッツアには行かれなかったようですね。

この映画、ぼくも最初はお堅いまじめな映画かと思って

気乗り薄でしたが、いやいや。

これは、とんでもないカルトになりうる映画。

第2の『シベ超』です(笑)。
返信する
じゃあ行きます(笑)。 (asa)
2005-03-10 00:21:50
クストリッツァ好きなんで観たいのですが、上映時間が長いようなので、日中のマスコミ試写に行こうと思って今夜はやめました。帰宅後やることが多いので、あまり帰宅時間が遅くなるのは嫌でして…。



>これは、とんでもないカルトになりうる映画。

第2の『シベ超』です(笑)。





物珍しさで観てみようかな(笑)。

そういえば、数年前にあった漢方の映画…なんて言ったかな、あ、『王様の漢方』でしたっけ。あれもある意味カルトですね。
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見てしまいました。 (culty)
2005-05-23 20:50:25
えいさん、こんにちわ。

お世話になっております。

またお邪魔させていただきます。

確かにこの映画をほめるのは大変ですね。

せめて8ジュークの製作過程でも描いてくれたらな

と残念な思いを抱き劇場を後にしてきました。

しかし意外に観客は入っていました。

不思議です。

でも公開終了もすぐ?でしょうか。
返信する
Unknown (えい)
2005-05-23 22:23:07
>cultyさん



「見てしまいました」というのは

見事に本質を突いてますね(笑)。



なるほど8ジューク。

そうですよね。

あのエピソードも描きようによってはおもしろかったかも。

しかし「シベ超」と並ぶ珍作でした。
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