※映画の核に触れる部分もあります。鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも
----これって『ドッグヴィル』に続く
ラース・フォン・トリアー監督の
アメリカをテーマとした三部作の第2弾なんだよね。
あれ?ニコール・キッドマンがいないね。
「うん。彼女は降板したらしい。
代ってグレースを演じるのがブライス・ダース・ハワード。
ロン・ハワード監督の娘だね。
最初ドクターを演じていた
ジョン・C・ライリーも途中で降板したらしい」
----ラース・フォン・トリアーの現場は大変らしいものね。
前作のときにも話題になった<手法>は
今回も使われいるの?
「うん。
床に引かれた線でそれぞれの建物が区切られ壁はない……。
いわゆる舞台形式は今回も健在。
ただ、前回ほど効果的には見えなかったな」
----えっ?それってどうして?
「前作『ドッグヴィル』では
ヒロイン、グレースがレイプされている側で
日常生活が営まれているのを
ワンフレームに収めて見せるという、
この<壁なし>手法を生かした映像が随所に見受けられた。
ポール・ベタニー演じるトムが窮地に陥り、
グレースをどうするか逡巡する時も、
集会所で待つ村人たちやベッドに横たわったグレースを
緩やかなカメラ移動の中、切り返しなしで映し出し、
その成りゆきを見守る観客の胸をざわつかせる。
ところが今回はこのような
映像的に高揚するシーンがあまりない。
舞台となる農園の女主人(ママ)の邸宅は2階建てだし、
高さが加わったことによって
全体のイメージが変わってきているのかも」
-----でもお話は、奴隷制度がとっくに終わっているにも拘らず
いまだに白人が黒人を奴隷として支配している農園の話でしょ。
それだけでも衝撃的に見えるけど……。
「確かに物語の方はスゴいよ。
グレースと父親とギャングたちは、
新たな居住地を求めるうちに、
アメリカ南部の奥深く、荒野に広がるマンダレイ農園へ。
そこで白人が黒人を鞭打つという非人道的な行為を見たグレースは
マンダレイの黒人たちを独立させ、
彼らが自らの手で収穫を果たすまで、
ここに残り彼らを助けようとする」
----なぜ、彼女はそんなに使命感に燃えているの?
「奴隷を作りあげたのは自分たち白人。
だから責任を取らなくては…というわけだね。
そんな娘に父親は
彼女が子供の頃、自分の忠告を無視して
カゴの小鳥を空に放した結果、
鳥は、翌朝窓辺で凍死していたことを思い出させる」
----う~~ん。それってフォーンもいやだな。
今年は特に寒いし。いまさらこの家、出て行けないや。
「そう、そこなんだよ。この映画のポイントは。
彼ら黒人たちも奴隷という立場から解放されても
どうやって生きていったらいいか分からない。
なにせ彼らは差別的な『ママの法律』に沿って生きていて、
それを守ってさえいれば
食事にもお金にも
不自由はしなかったのだから…。
しかし、そんな彼らにグレースは自由を与えたばかりか
<民主主義>教育をしようとする」
----ちょっと待って。
それって今のアメリカとイラクの関係じゃ?
「そうなんだね。
この映画は、ブッシュ批判が強烈に織り込まれている」
----と言うことはグレースがブッシュ(爆)…。
「いやいや笑いごとじゃないんだね。
この『マンダレイ』を観ていると、
ブッシュは別に悪意があるんじゃなくて、
心底、自分がヤッていることを正しいと思っているのでは?
という気になってくる」
----でもアメリカ嫌いで知られるラース・フォン・トリアー。
グレースの試みは、おそらく失敗に終わりそうだ。
「そう言うこと。
しかもその結末、
最後に明かされる農園の<秘密>はかなり衝撃的。
ただ、さっきも話したように
その<秘密>がビジュアルとして立ち上がるのではなく、
ストーリーとして語られるだけだから
波状的に感情が揺さぶられるというところまではいかない。
前作からそんなに時間も経っていないし、
ラース・フォン・トリアー、少し疲れたのかな?
ただ次の『WASHINGTON』は脚本に時間をかけているみたいだし、
これはそれへの橋渡しと考えた方がいいかも」
----ニャるほど。でも次のグレースはだれだろう?
ブライス・ダース・ハワードが引き続きやるのかな?
「ローレン・バコールはケイト・ブランシェットを推したとか。
もしかしたらニコールとブライスのWキャストかもよ」
----それじゃ「おわらない物語・アビバの場合」だ(笑)。
(byえいwithフォーン)
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※画像はポーランド・オフィシャルのティーザー・ポスターより
----これって『ドッグヴィル』に続く
ラース・フォン・トリアー監督の
アメリカをテーマとした三部作の第2弾なんだよね。
あれ?ニコール・キッドマンがいないね。
「うん。彼女は降板したらしい。
代ってグレースを演じるのがブライス・ダース・ハワード。
ロン・ハワード監督の娘だね。
最初ドクターを演じていた
ジョン・C・ライリーも途中で降板したらしい」
----ラース・フォン・トリアーの現場は大変らしいものね。
前作のときにも話題になった<手法>は
今回も使われいるの?
「うん。
床に引かれた線でそれぞれの建物が区切られ壁はない……。
いわゆる舞台形式は今回も健在。
ただ、前回ほど効果的には見えなかったな」
----えっ?それってどうして?
「前作『ドッグヴィル』では
ヒロイン、グレースがレイプされている側で
日常生活が営まれているのを
ワンフレームに収めて見せるという、
この<壁なし>手法を生かした映像が随所に見受けられた。
ポール・ベタニー演じるトムが窮地に陥り、
グレースをどうするか逡巡する時も、
集会所で待つ村人たちやベッドに横たわったグレースを
緩やかなカメラ移動の中、切り返しなしで映し出し、
その成りゆきを見守る観客の胸をざわつかせる。
ところが今回はこのような
映像的に高揚するシーンがあまりない。
舞台となる農園の女主人(ママ)の邸宅は2階建てだし、
高さが加わったことによって
全体のイメージが変わってきているのかも」
-----でもお話は、奴隷制度がとっくに終わっているにも拘らず
いまだに白人が黒人を奴隷として支配している農園の話でしょ。
それだけでも衝撃的に見えるけど……。
「確かに物語の方はスゴいよ。
グレースと父親とギャングたちは、
新たな居住地を求めるうちに、
アメリカ南部の奥深く、荒野に広がるマンダレイ農園へ。
そこで白人が黒人を鞭打つという非人道的な行為を見たグレースは
マンダレイの黒人たちを独立させ、
彼らが自らの手で収穫を果たすまで、
ここに残り彼らを助けようとする」
----なぜ、彼女はそんなに使命感に燃えているの?
「奴隷を作りあげたのは自分たち白人。
だから責任を取らなくては…というわけだね。
そんな娘に父親は
彼女が子供の頃、自分の忠告を無視して
カゴの小鳥を空に放した結果、
鳥は、翌朝窓辺で凍死していたことを思い出させる」
----う~~ん。それってフォーンもいやだな。
今年は特に寒いし。いまさらこの家、出て行けないや。
「そう、そこなんだよ。この映画のポイントは。
彼ら黒人たちも奴隷という立場から解放されても
どうやって生きていったらいいか分からない。
なにせ彼らは差別的な『ママの法律』に沿って生きていて、
それを守ってさえいれば
食事にもお金にも
不自由はしなかったのだから…。
しかし、そんな彼らにグレースは自由を与えたばかりか
<民主主義>教育をしようとする」
----ちょっと待って。
それって今のアメリカとイラクの関係じゃ?
「そうなんだね。
この映画は、ブッシュ批判が強烈に織り込まれている」
----と言うことはグレースがブッシュ(爆)…。
「いやいや笑いごとじゃないんだね。
この『マンダレイ』を観ていると、
ブッシュは別に悪意があるんじゃなくて、
心底、自分がヤッていることを正しいと思っているのでは?
という気になってくる」
----でもアメリカ嫌いで知られるラース・フォン・トリアー。
グレースの試みは、おそらく失敗に終わりそうだ。
「そう言うこと。
しかもその結末、
最後に明かされる農園の<秘密>はかなり衝撃的。
ただ、さっきも話したように
その<秘密>がビジュアルとして立ち上がるのではなく、
ストーリーとして語られるだけだから
波状的に感情が揺さぶられるというところまではいかない。
前作からそんなに時間も経っていないし、
ラース・フォン・トリアー、少し疲れたのかな?
ただ次の『WASHINGTON』は脚本に時間をかけているみたいだし、
これはそれへの橋渡しと考えた方がいいかも」
----ニャるほど。でも次のグレースはだれだろう?
ブライス・ダース・ハワードが引き続きやるのかな?
「ローレン・バコールはケイト・ブランシェットを推したとか。
もしかしたらニコールとブライスのWキャストかもよ」
----それじゃ「おわらない物語・アビバの場合」だ(笑)。
(byえいwithフォーン)
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私もそう思います^^;
長い映画なのに、感情的にも映像的にも起伏がなく、後々印象が薄くなりそうです。
印象が薄くなると言うことはさすがにないです(笑)。
ラース・フォン・トリアー、
やはり怪物だなとは思います。
でも今回は「怪物くん」という感じかな。
うーんそうですか^^;
どうしても『ドッグヴィル』の方が強烈だったんで・・。でも、もともとフォントリアーはあまり好きじゃないんですよね^^;
自分もフォントリアー映画大嫌いですが、
「ドッグ・ヴィル」は観れました。
ある意味面白かったです。
なので続編とくると、結構観たいです。
続編は本編ほど強烈ではありませんが、
その分、さらりと観ることができました。
こちらが慣れてきたせいもあるのかな。
ご覧になったら、またご感想をお願いします。
ドッグヴィル知らないのに見ちゃいました。
どうもあの演劇舞台のようなスタイルが私には駄目だったようです。映画的な映画だったら結構はまったかもしれないなあと思いますが…笑
三作目は誰がやるのでしょうねぇ。
駄目だったといいながらも気になってる自分ですわ~
あわててDVDで観てから出かけました。
しかしあのコピーはないですね。
カンヌでも問題になったらしいですけど
完全にネタバレになっている。
観て参りました。「ドッグヴィル」と比較してしまうと物足りない気も少々しましたが、恐らく次回作も劇場に足を運ぶと思います。
>ブッシュは別に悪意があるんじゃなくて、
心底、自分がヤッていることを正しいと思っているのでは?という気になってくる
この辺を感じ取れれば、面白さ倍増ですね。さすがは、えいさん。
ところで、マンダレイも初日に観て来ました。TB貼らせていただきますね。
そうなんでよね、3作目のグレースにはまたニコールか、もしくはケイト・ブランシェットなんて話もあるって・・・どうなんでしょ?ケイトだったら個人的に嬉しいのですが(笑)
今回はやはりドッグヴィルに比べると見劣りしてしまった感があります。確かにフォン・トリアー監督、疲れちゃったのかなあ?3作目でドッカンときてくれれば申し分ありませんが。
またまた、お誉めにあずかっちゃった。(笑)
ま、冗談はともかくとして、
これがフォントリアーならではのアメリカ批判と思ったとき、
「う~ん。ブッシュはいいことやってると
心底信じているのでは?」と思ったのでした。