ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『東京家族』

2013-01-10 20:03:17 | 新作映画
----今日は『東京家族』。
この映画って2ヶ月くらい前に観ていなかった?
「うん。
実は、その頃、
ツイッターで集中的に呟いていたため、
もうすっかり、ここでも話していた気になっていたんだ」

----どういうことを喋っていたの?。
「観て最初に呟いたのがこれ。
『「東京家族」が、、かくも『東京物語』と同じプロットとは…。
これはリメイクと言ってもいいかも。
山田洋次監督が、いま、それをやる意味。
そこがこの映画をどう評価するかのポイントだろう。(11月14日)』

----つまり、『東京物語』と同じ話ってこと?
「そう。
老夫婦が子どもたちの住む東京へやってくる。
しかし、子どもたちは
自分らの生活を守ることに精いっぱいで、
親身になって親と接することができない。
そして…。
簡単に言うと、これだけのお話。
家に泊められない子どもたちが両親に用意するのが
熱海の旅館から横浜の高層ホテルになど、
小さな変更点はあるものの、
セリフまで同じだったりする。
しかも、それどころか、
『「東京家族」、さっきはプロットについて呟いたけど、
カメラのポジションはもちろんのこと、
その切り返しと俳優の演技の関係も小津映画そのもの。
ひとりが喋り終わるまで次の人は喋らない。
フレーム外の声はめったに入らない。
そこから生まれる独自のリズムと快感。
小津安二郎はやはり孤高の人だなあ。(11月15日)』

この呟きで分かるように、
この映画は『東京物語』のリメイクと言っていいほどそっくり」

----ふうん。それって意味あるの?
「そこを説明するために、
まずは、その時の呟きを連続して再掲。
『黒澤・小津・溝口という紹介に、
若いころは反感を感じていたが、今はなるほどと思う。
マルチキャメラ&レンズ選択の黒澤明、
バストショットで切りかえす小津安二郎、
俯瞰&パン・フォーカスの溝口健二。
それぞれが自分の映画文体を作っていった。
そしてほぼ同じ時代に彼らがいたというこの奇跡!(11月15日)』

『こんな、いつか本で読んだようなことを思い出すのも、
やはり『東京家族』の余韻か…。あれはあまりにも『東京物語』。
後半はさすがに山田洋次色が出ていたとはいえ、
いまにも蒼井優が「私、ずるいんです」と言い出すんじゃないかと、気が気でなかった。(11月15日)』

この後半の件は、昨日、モルモット吉田さんも呟いていた。
みんな思うことは同じなんだなあと…。
ただ、そこまでの酷似性をどう評するかで、
この映画への賛否は分かれると思う。
その日、ぼくは続けて、こう呟いたんだ。
『一晩考えて山田洋次の狙いがわかってきた。
『東京家族』は今年一番の野心作だ。
今まで小津映画を観たことがない映画クラスタは、
日本にここまで独創的な映画を作り続けた異能の作家がいたことに驚き、
人によっては映画を観る目が変わるかも知れない。
(山田洋次は)まずは小津を知らしめそこに目を向けさせたわけだ。(11月15日)』

----ニャるほど。
「もう、ここまできたから、
そのときのツイッターを全部載せちゃおう。
『小津映画のフレーム決めは、
人が社会から孤立した存在だとも、
その人が彼の人生の中では主人公であるとも、言っているように見える。
そんな個々人の声を小津は最後まで広い、耳を傾ける。
そこから浮かび上がるのは、強烈なエゴであったり、人と人の隔たりであったり。(11月15日)』

そして、ぼくの結論がコレ。
人生はつらく生きることは罪深い。
だが、陽はまた昇り明日はやってくる。
小津安二郎は、そんな人間たちに、それでもいいんだと静かに声かける。
思えば、語り口こそ違えども、あの山田洋次の寅さんもそうではなかったか。
映画を覆うペシミズムの影。
そこに『東京物語』と『東京家族』の繋がりを思う。(11月15日)』」

----ニャんだか、しんみり。



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「この映画、みんなどうとらえるのかニャ?」悲しい



※ただ、原案クレジットがないのは不思議だ度
※ふうさんという方からご指摘いただきました。
原作表記がない理由はこちらの記事に。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/130101/ent13010118000009-n1.htm


<関連ツイート>
「でも撮り方は小津さんの映画を繰り返し見ましたよ。
小津さんがどう撮ったか見ると、小津さんの方がいい。
ああ、そうした方がいいやと…。そこまでまねている。
世界一の映画だから、いくらまねても恥ずかしくない。」
(山田洋次監督/東京新聞・1月8日朝刊より)(1月8日)



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