ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『映画 鈴木先生』

2013-01-08 23:58:41 | 新作映画
「さて、
今日は映画版『鈴木先生』について
簡単に見どころを喋ることにしよう」

----ニャに、それ?
映画版と言うからには、
テレビか何かあったわけ?
「フォーンが知らなくても仕方がないかも。
なにせ仮プレスには
『低視聴率ながらも熱い声に支えられ』とある。
しかも脚本の古沢良太氏は
『第一話放送の翌日、視聴率を知って、
ア映画化はなくなった、と僕は確信しました』

と自虐的ともとれるコメントを寄せている」

----よく、それで映画化に踏み切ったね。
「うん。
その裏側も気になるところだけど、
ひとつには主人公を演じている
長谷川博巳の人気も大きいんじゃないかな。
このテレビシリーズの後、
彼は『家政婦のミタ』に出演し、
数々の賞を受賞。
大河ドラマ『八重の桜』も放映開始。
園子温監督新作『地獄でなぜ悪い』にも出演。
まさに、いまが旬の人だ」

----でも、この手の“教師”ものって、
なんだか、パターン化している気がするんだけど…。
「ぼくもそう思って
初めて、この“鈴木先生”に臨んだんだけど、
これが意外や意外。
いままでの“教師”ドラマとまったく違う。
この先生、タバコは吸うし、
Hな妄想はするしで、
いわゆる“人格者”からはほど遠い。
金八先生のように、
ヒューマニズムで
人の道を説けるというタイプではない。
じゃあ、
『ごくせん』『ROOKIES』のように
熱く生徒を引っ張っていくかと言うと、
それもまた違う。
元ワルだった卒業生も
彼ではなく他の先生のところに
近況報告や相談に行くといった塩梅…」

----ふうん。普通の人ニャンだ…。
「そうだね。いま気づいたけど、
だからこれは“鈴木”先生。
鈴木という姓は佐藤と並んで
日本でも一二を争うほど多い名字だからね。
ただ、それでも
いやそれだけに、この映画には
いまの時代を生き抜く重要なヒントが隠れている気がした。
ここで強く語られるのは『演じる』こと。
鈴木先生は冷静にその距離を測りながら先生という役を演じている
そして、彼は同じく生徒にも
生徒を演じることを望む。

それは一見、簡単なように見えて
維持するには強い意思が必要となる。
しかし、それが次第に意味を持ってくるという。
これが鈴木先生の教育メソッドなんだ」

----分かったような、分からないような…。
「社会というのは
理想だけで語れるような甘いものではない。
鈴木先生は言う。
『会社というのは
社長は社長を演じ、部長は部長を演じ、
平社員は平社員を演じることで成り立っている』と。
この映画版では、
生徒会選挙、文化祭という学内行事、
そしてドロップアウトしてしまった卒業生の学校立て篭もりという
ふたつの大きな事件が語られるけど、
とりわけ、胸に痛かったのが後半のエピソード。
イジメを始め、いろんな問題はあるにせよ、
社会の厳しさに比べればユートピアなのかも…
そんな感じを受けたね」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「学生時代は人生のモラトリアムなのニャ」悲しい



※知らないで観たからこそ驚いた度
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