ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『バットマン ビギンズ』

2005-05-28 10:54:19 | 新作映画
-----久しぶりのバットマン・ムービーだね。
予告編を観る限りでは、これまでとだいぶ違うようだけど。
「これまでの作品は89年にティム・バートンが手掛けた
『バットマン』をベースに続いてきた。
あれは『ビートルジュース』でその映像センスを高く評価された
ティム・バートンがディレクター・オブ・ザ・イヤーに選ばれるまでにヒットした作品だけど、
この監督クリストファー・ノーランも
まだ『メメント』『インソムニア』という、
どちらかと言えば小ぶりの、
それでいて自分の世界観を強く打ち出した映画しか作っていない」

-----バートン版と比較してどうだった?
「どちらがいいとか悪いとかじゃなく、
結局はそれを受け止める観客の嗜好の問題だとは思うけど、
なるほどこういうアプローチもあるのかと思ったな。
タイトルが『バットマン ビギンズ』というだけあって、
いつどのようにしてバットマンが誕生したか、
映画はその謎に迫るものとなっていて、
監督はそれを主人公ブルース・ウェインの子供時代のトラウマに求めているんだ。
一つひとつのエピソードを詳しく言うと、
これから観る人の楽しみを奪うので避けるけど、
要約すれば、子供の頃、両親の死を目の前で見たブルースは、
それを自分のコウモリに対する恐怖が引き起こしたものだと、
強い強迫観念にとらわれる。
その負い目と犯人への怒り、孤独と心痛に苛まされた彼は旅に出て、
やがて復讐と正義が違うことを悟る。
長い旅を終えてゴッサムシティに帰還した彼は、
街に巣くう悪と戦うというお話さ」

-----もっと詳しく映画の特徴を聞かせてよ。
「一言で言えば映画の中でのリアリティだろうね。
たとえばなぜ、あのスーツを着るか...
それは戦うときに演出があった方が相手に与えるインパクトがより効果的だから。
さらには彼が空を飛べる理由、
ジャンプ力が人並み優れている理由、
変身するのがコウモリである理由など、
この映画ではすべての<理由>が説明される。
そう、映画に<説得力>を与えたいと言うわけだ。
もちろん、現実に実用化され作られてるかどうかは別問題。
この<バットマン世界>の中での話だけどね。
その集約されたものがバットマンの愛車バットモービル。
今までの流線型から一転、ゴツゴツしたデザインに。
そのリアリティは、キャラクター設定にも及んでくる。
登場人物、一人ひとりに、そのような行動を取る<理由>があるんだ」

-----なるほどね。主演のクリスチャン・ベールはどうだった?
どうも線が細い気がしてイメージ違うんだけど?
「確かに彼はアクション・スターと言うイメージじゃないよね。
古い言葉で言えばハンサム・ガイだ。
ところが意外だったのは、その<声>。
バットマンになった時が、なんともオッさん臭い。
これも、マスクをはずした時とは違う声と言うのを意識したのかも知れないけど、
なんだか日本のヤクザ映画みたいな感じで、生理的に受け付けなかった」

----SFXやスゴい顔ぶれの脇役についても聞きたいな。
「今回、SFXは抑えめにしたんだって。
たとえばバットマンの飛行シーンはワイヤーで吊り、
2km半も実際に飛んだのだとか。
バットモービルのチェイスシーンも
シカゴの未完成のフリーウェイで行なったらしい。
一方、ミニチュアもなかなかで、
ヒマラヤ山頂の僧院なんて、最初、目を疑ったほどよくできている。
そう言えば、ここへ向かうエピソードは『エクソシスト2』を思い出したね。
この僧院で、ハリウッド進出2作目が話題となってる渡辺謙が出てくる。
彼は忍者のような『影の同盟』を束ねるラーズ・アル・グール役。
その片腕的存在ヘンリー・デュカードにリーアム・ニーソン。
ふたりが剣を交えるシーンは役の設定もあって
『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』を思い起こす。
ほかにも、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、
さらにはケイティ・ホームズ、ルトガー・ハウアー、キリアン・マーフィーと、
大御所から若手までずらり勢揃い。
なかでも印象に残ったのは、ゲイリー・オールドマン。
バットマンの最初の協力者ゴードン部長と言う
いつもと違う“好人物役”で、心和ませてくれる。
ふう~。喋るの疲れた」

-----最後に一言。この映画、結局はエンターテイメントだとは思うけどテーマとかは?
確か『スパイダーマン』はヒーローの条件を強調した映画だったよね。
「うん。2回もこのセリフが印象的に使われるから
多分、間違いないと思う。それは『中身より行動』」

-----ニャるほどね。
(byえいwithフォーン)

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