ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『姑獲鳥の夏』

2005-05-09 19:39:31 | 新作映画
------この映画って原作を読んでいた時、すごく興奮していたけど、
どうだった?実際に映画になったのを観た感想は?
「ずばり言ってしまうと、
これは原作を読んでいない人には
かなりきつい上がりだと思う。
それは演出がどうのという問題でなく、
やはり原作が隅々まで計算された完璧な小説だから。
それこそテレビドラマのシリーズにでもしないと
映像化は難しい」

-----言ってること、分かるような分からないような。
「この京極堂シリーズと言うのは、
物語の中心に京極堂言うところの古書を基にした<科学>があって、
それを軸にいくつもの事件・自称が重層的に展開してゆく。
本で読む場合は、それらを一つひとつ確認できるけど、
映画はそうはいかない。
京極堂の喋っていることを頭で理解しようとしているうちに、
映画は先へ先へと進んで、追いつけなくなってしまう。
この映画では、堤真一扮する京極堂がのっけから、
永瀬正敏扮する小説家・関口巽相手に
『存在』と『認識』の関係を一方的に喋り続ける。
ここでついていけなかったら、まずアウトだね」

-----でもなぜ、そんな作り方したんだろう?
もっとだれにでも分かる、取っ付きやすい方法はなかったのかニャ?
「やはり原作の味をいかそうとしたのだと思うよ。
京極堂シリーズは、まがまがしい妖怪や憑物落としなど、
いかにも怪奇幻想の世界のように見えるけど、それだけではない。
『この世には不思議なことなど何もないのだよ、関口君。』に象徴される
京極堂の思想が事件解決にあたって証明されるところに、その醍醐味がある」

-----ふうん、ニャんだかついていけそうにないな。
「いやいや、しかしそれらを彩る物語はすこぶるオモシロいから大丈夫かも。
『姑獲鳥の夏』でも、20ヶ月の妊娠、密室からの失踪、
新生児連続誘拐、憑物筋の呪い.....など、全編が謎と怪奇に満ち満ちている。
京極堂はこれら怪奇な事象に名前と姿を与え、
それを祓うことによって、相手を救っていく。
これまでの推理による事件解決法とはまったく違う----。
これは知っておいた方がいいかもね」

-----話題になってたキャスティングはどうだった?
「それぞれ読んだ人のイメージというものがあるから、
ぼくが言うのは筋違いかもしれないけど、
みな信じられないくらいピタリとハマってたね。
なかでも永瀬正敏はさすがって感じ。
これまでのスタイリッシュなイメージをかなぐり捨てて、
ここまで、うじうじとした感じが出せるとは....。
京極堂を演じる堤真一は少しセリフが聞き取りにくかったのが残念。
長ゼリフの喋りっぱなしが多いから大変だとは思うけども...。
阿部寛の榎木津礼二郎はもう少しはじけてもよかったのでは?
ま、この『姑獲鳥の夏』は榎木津の出番が少ない作品だから、次に期待かな。
もうひとりの重要な役・木場修太郎の宮迫博之は、
なるほどこんなアプローチもありだなって感じだね」

----えっ、シリーズ化されるの?
「いや、それはぼくの期待を込めて(笑)。
美術も『目眩坂』を始め、なかなか楽しめたし。
次が観たいという気にはなったね」

(byえいwithフォーン)

もうひとつの『姑獲鳥の夏』

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