永井紗耶子著"絡繰り心中 部屋住み遠山金四郎"を
読みました。
十九歳の金四郎は家を出て歌舞伎の森田座の笛方の
見習いをしています。
狂歌師であり戯作者である大田南畝について吉原に
行った金四郎は朝早く帰る途中で雛菊という
花魁が死んでいるのを見つけました。
金四郎は雛菊の死を調べることになります。
雛菊は武士の娘で父親が死に周りの者に吉原に
売られました。
幼いころから許婚だった男は去っていきました。
彼女は客の誰かれなく心中をしてくれと言いました。
糸物問屋の万屋吉三郎という男が雛菊の客だった
ことがわかります。
吉三郎は生きる気力を失くしています。
雛菊の心中の誘いを受け入れました。
ところが約束の場所にあらわれませんでした。
万屋で火事があり行けなかったのです。
雛菊は裏切られるかもしれないと思っていました。
その場合は吉三郎を殺すよう依頼していきました。
同心の息子の瀬川兵蔵はうつうつとした日々を
過ごしています。
金で人殺しを請け負うようになります。
登場する人々のほとんどが人生に絶望しています。
どうしようもないやりきれなさが発散しています。
金四郎も生きづらさを感じていますが、別の
場所で生きてみるという行動を起こしています。
江戸時代というのはがんじがらめの時代だった
のでしょうか。
彼らは別の場所で生きることはできなかったの
でしょうか。