雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

残り者

2018-09-23 15:14:12 | 

朝井まかて著"残り者"を読みました。
江戸幕府の終焉のころの話です。
江戸城の明渡しが命じられ大奥の大勢の女性
たちも退出することになりました。
十四代将軍家茂に朝廷から嫁いだ和宮で夫の
死後静寛院宮や、十三代将軍家定の妻だった
天璋院もそれぞれ城を出ました。
大奥に勤めていた多くの女性たちも大急ぎで
出ていきました。

翌日には官軍が江戸城に入ってくるというのに
大奥に残っていた者がいます。

年嵩で長年御膳所で働いていたお蛸は天璋院が
飼っていた猫のサト姫の姿を見て捕まえようと
後を追っています。

天璋院の着物を縫っていた呉服之間勤めのりつは
仕事場だった呉服之間へ戻ろうとしてお蛸と出会い
猫探しを手伝っていて城を出そこないました。

御三之間勤めのちかは城をでることに抵抗があり
官軍に手向いたいと残っていました。

静寛院宮付きの呉服之間勤めのもみじはりつやお蛸に
会ったばかりの時は京から来た者の方が偉いの
だと、たかぴしゃな態度でした。
でも本心は別の物がありました。

若いのですが御中老の地位にあるふきはどういう理由か
残っています。

一晩を城で過ごし、官軍が乗り込んでくるのを目に
してから城を抜け出します。

2日間ともに過ごした5人がそれぞれ味わいある人物で
この最後の時間がきっと一生忘れられない深い時間
だったことでしょう。
皆を率いる立場のふきがきりりとして魅力的です。
時として町の男のようなくだけた態度となる人です。

大奥は大勢の女性たちに働く場所を提供し、一人で
生きていくことができる所でした。

さらりと読めて読みやすかったです。