雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

大奥づとめ

2018-12-19 14:42:51 | 

永井緋耶子著"大奥づとめ"を読みました。
大奥で生きた女性たちを描いたものです。
先日読んだ朝井まかて著"残り者"とどこか似ています。
表紙まで横向きの女性の姿で似通っています。
どちらも読みやすく後味いい本でした。

大奥って大勢の女性たちがいがみ合って生きる醜い
世界で、庶民を顧みず贅沢をしている人たちという
感覚がテレビドラマなどから植え付けられていました。
2冊の本を読んでもしかしたら女性たちが自分の
能力を精いっぱい発揮できる、数少ないのびのびした
世界だったのかもと思いを新たにしました。

"ひのえうまの女"
お利久は親に決められた出来の悪い男を蹴り倒しました。
大奥勤めをするようになりました。
御次となって舞、歌、琴といったものを見せることに
なります。
そこそこに出来てもどれも秀でているわけではありません。
楽しそうではありません。
祐筆になって大奥の出来事を書き残さないかと誘われます。

"いろなぐさの女"
松は呉服の間の女中となりました。
家ではずっと息を殺すようにして暮らしてきました。
着物も目立たないものを着てきました。
御台様らの衣装を整える役目となって、どのような
物を選ぶべきかまるでわかりません。
呉服商の女将、役者の女形に指南を求めます。

"くれなゐの女"
玉鬘は大柄な女性です。
御半下として掃除、洗濯、水仕事をしています。
大きいということにコンプレックスを持っていました。
大奥で大きな目的を持ってそれに向かって努力している
同輩を見て彼女の心持も変わっていきます。

"つはものの女"
お克は大奥での出世を目指しています。
お三の間、祐筆と出世してきました。
表使いをしている初瀬が出家のためその職があきます。
お克は表使いを目指します。
初瀬に見込まれ表使いとしての心構えを教えられます。

"ちょぼくれの女"
町人の女房である坂東三津江は舞いに精進しています。
大奥で舞いを指南する御狂言師として、お三の間の
お正とお美乃に教えることになりました。
二人の見た目と反対の役をやりたいといいます。
楽しく踊り見ている人々の笑いを得られるような
舞いを目指します。

"ねこめでる女"
お蛸は煮炊きを取り仕切る御仲居となりました。
御膳所で食事をしている時に猫があらわれます。
小萩さんと呼ばれる白に茶色の斑点のある猫です。
小萩は御中老のお倫の方が飼っている猫です。
お志賀は十歳で御年寄の小姓となるため大奥へ
きました。
お倫の方、お志賀、お蛸は小萩を介在して
繋がりができました。