雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

胡蝶殺し

2014-12-02 21:00:00 | 

近藤史恵著"胡蝶殺し"を読みました。
題名からはミステリーだと思われますがミステリー
ではありません。
歌舞伎界を描いたものです。
ではどろどろの争いを描いたものかと考えますが
それでもありません。
子供のころからいっしょうけんめい生きる人たちを
描いた話です。

市川萩太郎は歌舞伎役者です。
世話になった中村竜胆が若くして亡くなり七歳の
息子の秋司の後継人になるように頼まれます。
萩太郎にも同じ年の息子の俊介がいます。
秋司の踊りをみて萩太郎はその能力の高さに
びっくりします。
息子の俊介は踊りに興味を示さず気をもんでいます。
秋司の母は秋司のことになると常軌を逸します。
それで疎まれるようになっています。
萩太郎にも厳しい言葉をなげつけます。
秋司と俊介の二人が子役として舞台に立つことに
なりました。
秋司の方が台詞があり重要な役です。
二人で踊りを習うことになります。

舞台が始まる2日ほど前に秋司はおたふく風にかかり
出られなくなります。
急遽いっしょに習っていた俊介が代役に立つことに
なります。
俊介はすべての登場人物のせりふを聞いていただけで
覚えてしまう能力があります。
秋司は片耳が病気のあと難聴になってしまいます。
母親は無理して秋司を連れまわしていたので人々から
よく思われていません。
秋司は耳のため踊ることはできないと歌舞伎の世界で
生きることをあきらめそのうち住所もわからなく
なってしまいます。

十二年たち俊介は大学生と同時に歌舞伎に必要な
習い事をしています。
大人の役ができる年齢になっています。
秋司はどうしているだろうと萩太郎はしばしば思います。

生まれた時から将来は歌舞伎役者となることを運命
づけられている男の子たちです。
やる気のない子でもしだいしだいに歌舞伎の世界に
生きるようになっていきます。
さて秋司はどうしているでしょう。

気持ちのいい本でした。

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