雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

人生オークション

2012-09-07 19:00:55 | 

原田ひ香著"人生オークション"を読みました。
"人生オークション"と"あめよび"の2編から成ります。

"人生オークション"
瑞希は就職活動に疑問を感じて就職できなくてアルバイト
生活をしています。
両親と妹と暮らしています。
母の妹のりり子が不倫をして相手の妻と刃物沙汰になり
離婚しました。
りり子は瑞希の家の近所のアパートで一人暮らしを始めました。
トラック一杯分のダンボールが送られてきました。
瑞希は母に頼まれて叔母の荷物の整理にいくことになります。
処分に困っていましたがネットオークションを知って
出品することにしました。
バック類はびっくりする値で売れました。
服や着物類はなかなか売れません。
少しずつダンボール箱は消えていきました。
叔母が打ち明けるには自分が刺したのではなく相手が
包丁を持ってきて刺されたのだとか。
被害者と加害者が入れ替わってしまって警察に
捕まったというのです。
瑞希はどうして就職活動になじめなかったのか言葉に
していえるようになります。
叔母は働き始めました。

"あめよび"
美子は眼鏡屋さんで販売の仕事をしています。
この仕事が自分に向いていると思っています。
ラジオの深夜番組の集まりでサンシャイン・ゴリラという
投稿名の輝夫と出会います。
二人は付き合い始めます。
付き合いが5、6年になって美子は結婚したいと願っています。
しかし輝夫は自分は結婚する気はない、一生結婚しないと
どんなに説得しても受け入れません。
そしてこのまま楽しく過ごせればいいといいます。
「あなたの人生は、結局、あめよびなのよ。いつもずっと
あめよびなの。本当の人生はどこか別にあるんだと思って
いる。いつか雨が降れば、自分の本当の人生が始まるんじゃ
ないかと思ってる。・・・。」
こう美子がいうところがあります。

諱(いみな)というものがあるそうです。
両親と結婚相手だけが知っている自分の名前だそうです。
そういう名前を持つ地域があり輝夫も持っていることを
美子に話します。
では教えてといっても教えてくれません。

美子は輝夫と別れて豊かな生活をさせてくれる夫を
持ち妊娠しました。
夫の赴任地のオーストラリアに行く空港で輝夫と偶然
出会いました。
出発間際に輝夫は走りよってきて諱を告げます。


"人生オークション"はいっぱいある物を処分するという
作業をすることで立ち直っていく二人が描かれています。
しかしどうでもいい、で加害者であると認めていいもの
なんでしょうかねぇ。
とても大切なことなんじゃないかなと思います。
嘘をついているとはっきり認識していながらなんとも
思わずにいる相手の心理はどんなものなんでしょう。
これが復讐で当然のことと思っているのでしょうか。
ヒヨコと呼ばれる女の子が登場してくるのですが
二人とどう関わってくるのかなと思っていましたが
なんか中途半端な扱いでなんで登場してきたのかなと
感じます。

"あめよび"の二人、これは別れるしかしょうが
ありません。
輝夫に好感は持てません。ずるい人だと感じます。
一生輝夫は変わらないだろうと思います。
楽しいときだけいっしょにいようなんて深みのない
付き合いです。どこかで行き詰まります。
女性の方ものめり込める仕事等を持っていて空いた
時間に楽しくすごそうという関係でないと輝夫と
付き合っては不幸になるでしょう。
恋愛関係はだめ、友人、それも遊び友達にしかなれない
人だと思います。
美子は仕事に誇りを持って働いているのだと思って
いました。
眼鏡屋で働いていたことは忘れたと言います。
仕事をしていたことは何の意味もないというような
ニュアンスで何か悲しい気分にさせられます。
美子の結婚はなんだかもろそうでだいじょうぶなのかと
感じさせます。
二人でこれから堅固なものにしてゆくよりしかないですね。
輝夫が美子に諱を告げたことは美子が大切な人だったと
思っていたということでしょうが、いまさらそんなことを
伝えるのはずいぶん卑怯だと思います。

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