雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

てふてふ荘へようこそ

2011-10-29 19:33:16 | 
乾 ルカ
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2011-05-31


乾ルカ著"てふてふ荘へようこそ"を読みました。
てふてふ荘はおんぼろアパートです。
部屋は一階に三部屋、二階に三部屋あります。
管理人さんが一階に住んで共用の風呂、トイレ、階段を
ぴかぴかに掃除してくれます。
家賃は一ヶ月1万3千円で、最初の一月はタダという
破格のアパートです。
このアパート、何が変っているというとそれぞれの
部屋に幽霊が付いているです。
住人は幽霊と同居することになります。
引越してきた翌朝に目が覚めると幽霊が足元に座って
いるのを目にして驚きます。

一号室 住人:高橋真一    幽霊:白崎さやか
         女性不信の日雇いフリータ
二号室 住人:井田美月    幽霊:遠藤完治
         スーパー勤務のアラサー女子
三号室 住人:長久保啓介    幽霊:石黒早智子
         刑務所帰りの元詐欺師
四号室 住人:平原明憲    幽霊:湊谷薫
         パイロット志願の男子大学生
五号室 住人:槇真由美    幽霊:槇裕太郎
         兄を事故で亡くした妹
六号室 住人:米倉道則    幽霊:山崎翔太
         画家を夢見る青年
集会室 ???

高橋は女性嫌い、部屋に付いている幽霊が女性で
最初は部屋を変えてくれと大騒ぎしますがいつしか
仲良くなっています。

遠藤は60過ぎの酒好きです。美月は2の付く特売日に
遠藤のため酒を買ってきてやります。

長久保は刑務所帰り、就職したくても全滅です。
ガソリンスタンドの面接でせめて危険物取扱資格でも
持っていればといわれます。
早智子にはげまされ資格勉強を始めます。

平原は病気になって一度アパートを出ています。
薫はまだ少年です。平原は薫が好きです。でも部屋を
出る時薫に冷たい目で見られました。

真由子はもうじき結婚します。兄が事故死した場所へ
お花を供えるよう親にいわれてアパートへ住むことに
なりました。部屋に兄が居ついています。
でも真由子には見えません。

米倉の部屋にいる翔太は小学生です。
米倉に敵意を持っています。米倉が最初に適切な距離を
保って生活しようと翔太にいいます。
翔太に殺してやるというほどに憎まれます。

幽霊と住人が心が通い合うと幽霊の体にさわることが
できるようになります。
そうすると幽霊は成仏してゆきます。
幽霊達はひとり、またひとりと成仏していきます。
翔太だけは温かな繋がりではなく怒りでもってさわれ
ました。ちょっとせつないです。

集会室の???は読んでのお楽しみ。

読んでいて思うのは幽霊は人が作り出したものです。
幽霊はいるという人がいますがどうでしょう。
ならどうして成仏させてやらなければいけないのだろう
と思ってしまうのです。
せっかく住人と幽霊の間に心の交流が出来て友人となった
のならもうしばらくいっしょにすごしても悪くはないと
思うのです。
幽霊にしてもこの世に未練があるのでしょうし、いま
しばらくこの世で過ごしてもいいじゃないですか。
高橋はさやかとの別れを引き伸ばすため体に触れない様
気をつけていました。
さやかが消えてしまった後は涙を流してさみしがっています。
幽霊とずっと過ごしていれば現実の世界での人間関係が
作り難くなるということはあるかもしれません。
そこはうまく両立させて人間関係と幽霊との関係の
バランスを取るのです。10/21

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