宮部みゆき著"泣き童子 三島屋変調百物語参之続"を
読みました。
三島屋変調百物語の続編です。
神田三島町の袋物屋三島屋で店主の姪のおちかは
暮らしています。
白黒の間で訪ねてきた人の不思議な話を聞きます。
連作短編集です。
"魂取の池"
まもなく結婚するという若い娘がおちかに話を聞いて
欲しいと訪ねてきます。
お祖母さんが若い時に経験したことを聞きました。
魂取の池に仲の良い男女が訪れると神様が嫉妬して
二人を引き裂きます。
"くりから御殿"
子供の時、火事に会って家族や親せきを喪い一人
生き残りました。
一人生き延びたことを後ろめたく思ってきました。
夢の中に昔遊んだ親せきの子たちが現れます。
"泣き童子"
ある店の三つになっても口を聞かない末吉という子供が
何かの拍子に泣きわめきます。
末吉がどういう時に泣くのか姉が側についていて突き
止めました。
ある奉公人が側にいると泣くのです。
その店に盗賊が押し入り預けられていた末吉以外は全員
殺されました。
この子は悪人を見抜く力が備わっていたのです。
これで終わりではありません。
末吉を預かった語り手の娘のことに話は移ります。
彼女は罪を犯します。
その後結婚をし子供を授かります。
その子は末吉と同じような力を持っていました。
"小雪舞う日の怪談"
白黒の間で語られた話ではありません。
師走に札差が怪談語りの会を開きます。
おちかは岡っ引きの半吉に誘われて参加します。
いくつかの話が語られます。
家の普請が道楽の人が棟梁に逆さ柱を立ててしまった
かもしれないから普請を中断させて欲しいという願いを
無視して強行して家を建ててしまって起こった出来事。
橋で転んだら助けを借りずに自分で起き上がらなければ
いけないという言い伝えを身重の女性が忘れて差し出さ
れた手を借りてしまいました。
自分の寿命10年分か子供の寿命1年分か選べと
迫られます。
人が病気になる前に病気になることが見える力がある
女性がいました。
二人の奉行が争っていて下で働く人物の妻でした。
男は中立を保っていましたがどちらかに着こうと
しました。
妻に将来病気になるかどうか見させました。
半吉の昔出会った話が語られます。
親分に病人についているよう命じられました。
体が黒くなっていきます。
亡者が毎夜現れ体の黒さは進んでいきます。
病人に苦しめられた人々です。
"まぐる笛"
江戸に出てきた北国の山育ちの若者が語り手です。
村は山仕事を仕切る山頭の指示の元で暮らしています。
語り手の信左衛門は山頭の叔父の家に預けられました。
村にはまぐるという化け物が現れるという話が伝わって
います。
まぐるが現れ村人を襲います。
退治できるのは女性で信左衛門の母がその方法を受け
継いでいます。
"節気顔"
女性が父親の兄にあたる伯父の話をします。
放蕩の末勘当されていました。
帰ってきて末の弟の家の物置で暮らしていました。
行き詰ってしまっていたときに出会った人に善ことを
しませんかと持ち掛けられます。
顔を貸してもらうといいます。
節気日に他人の顔になります。
その顔を知っている人に出会えばその人は懐かしみ
他人とはわかっていても話をして心を落ち着かせます。
怪談めいた不思議な話なのですが怖さはありません。