「夜行観覧車」 湊かなえ

「夜行観覧車」　湊かなえ


人間の心の闇を書かせたら、この人の右に出る人は居ないかも知れません。
特に憎悪や独善を絡ませるのが上手い。
よくも、こんな、人を貶めるセリフを思い付くものだと感心します。

物語の舞台は、いわゆる高級住宅街。
そこに住む3組の家族。
遠藤家、小島家、高橋家
遠藤家は娘、彩香の家庭内暴力で崩壊寸前。
小島家は主婦さと子の選民意識むき出しのプライドのため、家族が出ていったまま戻らない。
最もまともに見えた高橋家では、何と主婦淳子が夫、弘幸を撲殺するという事件が起きる。
いったい、閑静な高級住宅街で、何が起きたのか？
人が「切れる」のは、どのようなスイッチが入った時か？
登場人物、一人一人の心の闇の中を、汚物にたかる蝿のように憎悪と独善が飛び回る。

事件の真相は、登場人物達には明らかにされず、しかし、読者には暗示されます。
じわっとね。

私は観てませんけど、テレビドラマ化されているようです。