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「まともな家の子供はいない」津村記久子

2017年06月10日 21時17分56秒 | 読書
「まともな家の子供はいない」津村記久子


親兄弟との折り合いが悪く、家に居場所がない女子中学生の屈折した日常を綴った小説。
若い頃の私なら、「このひねくれもの!!」と、叱りつけたくなるような独白が延々と続く。
確かに、働かない父親やそれを簡単に許してしまう母親に腹をたてる気持ちも分からなくないが、家族なら、ある程度は仕方ないなあ!と思える部分もあるはず。
しかし、この小説に出てくる女の子達は、潔癖であることが、自分のアイデンティティーであるかのように、心の交流より、正義を優先する。
読者は、心の広さ、寛容さは、他人のためでなく、自分を救うテクニックでもあることを、反面教師として、この小説から学ぶことになる。
さらに言うなら、女子中学生という、この世で最も不安定な生き物の生態を、いやらしいまでに再現して見せた作者の筆力にも脱帽するだろう。


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