「真夏の方程式」東野圭吾
久しぶりの東野ミステリー.
物理学者 湯川学が主人公を務めるガリレオシリーズの最新作.(かな?)
「容疑者Xの献身」と同じ匂いがすると言ってしまうと,未読の方にバイアスをかけてしまうかなあ?
「容疑者...」の方が献身をする方の心情を中心として物語を描いていたのに対し,「真夏...」の方が,献身される方の心情というか,背負ってきたものの重さが描かれる.
それは似て非なるものである.
例えば,「片思い」という状況において,片思い「する方」と「される方」では心情の描き方が全く違うよね.
まあ,変な表現だけと,言ってみればそれと同等以上の違いがある.
人は皆,自分の人生の両肩にいろいろなものを背負って生きている.
その荷物は,場合によっては一人で背負うには重すぎるものもある.
そんな時,人は誰かの役に立ちたい,誰かを,何かを救いたい,という気持ちになる.
その気持ちは,とても美しいけれど,そして感謝もされるけど,自分の背中の荷物が軽くなるわけではない.
その苦しさをどうやって乗り越えて行くのか?行くべきなのか?行くことができるのか?
それがこの小説のテーマです.
ずしりと重いテーマながら,一気に読ませる,あい変わらずの東野ワールド.
次は「マスカレードホテル」と行きたいけど,その前に石田衣良を借りちゃった.
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