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「カエルの小指」道尾秀介

2021年03月02日 12時16分57秒 | 読書
「カエルの小指」道尾秀介


「いけない」に続き,道尾秀介さんの小説.
この小説の骨子を為すのは,「騙し」.
ただし,何のための騙しか,ということが重要で,もちろん,お金を稼ぐための犯罪という場合もあるが,それ以外にも,誰かを守るためとか,誰かの心に希望を与えるためというようなこともある.
ある意味,様々な種類の騙しのデパートみたいなストーリーになっている.
主人公の武沢竹夫は元詐欺師だが,ある事件が原因で足を洗い,今は出張販売員(ショッピングセンターの隅で卓を広げて口先一つでものを売る)で細々と暮らしている.
その武沢君は,十数年前にある女性の命を救ったことがあり,その子供(中学2年生)が彼を訪ねてくるところから物語が始まる.

物語的には,ここで簡単にあらすじを書くことは不可能なほど入り組んでいるので省略しますが,とにかくあちこちに無数と言っていいほど伏線が張り巡らされ,付いていくのが行くのが大変です.
ただ,道尾さんの他の小説,例えば「カラスの親指」なんかに比べると,伏線の糸の長さが短いというか,数ページ先にはその意図が解説されるので,「?」が蓄積して頭がパンクすることはないです.ある意味,謎と答えが10分ごとに繰り返されるような感じ.
時の経つのを忘れて,ストーリーと謎ときに集中できます.
それにしても,こんなややこしいお話をよく組み立てられるものだと,感心してしまいます.
お腹いっぱいです.


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