書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「となり町戦争」三崎亜紀

2006年12月29日 11時03分04秒 | 読書
「亜紀」は八代亜紀さんの亜紀と同じですから、女性かもと思っていました。
しかし男性。
福岡生まれで福岡在住、大学は熊本大学ですので、熊本とも関わりがあるということで、なんとなく親近感を感じます。
さて、お話は、タイトルからすると、ユーモア小説っぽいんですが、実際はかなりシリアスです。
主人公の「僕」の住む舞坂町役所が公共事業のひとつとしてとなり町と戦争をするという皮肉めいた想定になっています。
「僕」は、役場からの召集令状ならぬ偵察業務任命書を受け取り、これに従い、一種のスパイですね、となり町の様子を見て報告する仕事を引き受けます。
また、町役場側のスタッフとして香西(こうさい)さんという若いけれど非常にしっかりした女性が重要な役回りで登場します。
日常生活の中に、目に見えぬように組み込まれた戦争という事業が、見えないながらも微妙に生活に落とす影を濃いくして行くありさまが、ファンタジーともミステリーとも言えぬ「宙ぶらりんな」感覚で描かれていきます。
「僕」と香西さんとの「ラブロマンス(?)」も物語の一方の柱にはなっていますが、それよりも香西さんが抱える別の苦しみがロマンスにのめり込ませないためのバリケードになっているのです。
残念ながら私には、彼女の真意は最後まで理解できなかった。
それは、物語の欠点ではなくて多分私の問題だと思います。
香西さんの気持ちは、わかる人にはわかるんだろうな、と思います。

とにかく、不思議な小説ですね。やはり、ファンタジーだと思います。
この本の後に出した「バスジャック」もすごい人気ですので、いずれ読んでみようと思っています。


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (chiekoa)
2006-12-29 15:48:26
なんか最近出た文庫のほうにはボーナストラック短編が書き下ろしで収録らしいですよ~。しまった、そっちも読まねば…。
返信する
Unknown (june)
2006-12-29 16:27:16
香西さんの気持は、わかりませんでした。
なんだかサイボーグみたいで苦手です。
返信する
>chiekoaさん (coollife)
2006-12-29 22:13:23
もう文庫本が出たんですね。
この本、ブログでの書評は全体的にあまり芳しくないようなんですが、なぜか売れていますね?
私には今ひとつグッと来るものがなかったので、不思議な気がします。
やはり何か訴えるものがあるのでしょうかね?
返信する
>juneさん (coollife)
2006-12-29 22:16:56
「天使のナイフ」という超シリアス、かつ心に痛い小説を読んだ直後だったので、「となり町戦争」の軽さというか浮遊感が妙に居ごごちが悪い気がしてしょうがなかったんですよね。

返信する

コメントを投稿