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「教場」長岡 弘樹

2014年02月21日 14時27分27秒 | 読書
「教場」長岡 弘樹





うなりますね.
う~む
こんな小説読んだことがない.
ミステリーって全世界で何十万,何百万冊あるのかしらないけど,こんな物語はきっと,過去に例がないでしょう.
あっと驚くストーリーの連続.

1年ちょっと前に読んだ「傍聞き(かたえぎき)」に続いて,長岡弘樹さんの小説としては2冊目.
警察学校に入学した,警察官の卵たちの苦悩.
彼らを見守る担任教官の温かくも鋭い視線と,あっと言わせるカリキュラム.
同じ教壇に立つ身として,わが身の工夫のなさが恥ずかしくなる.
ただ,「金八先生」や「ごくせん」のようにみんな揃って卒業するぞ~,みたいなポリシーは全くない.むしろ適性の無いものはできるだけ早いうちに,退学する方が良いということも明言する.

私の「傍聞き」の書評で,
『ミステリー小説の評価ポイントを,
(1)トリックや意外性などのテクニカルなレベルの高さ,
(2)ヒューマニズムや愛情など心理面の表現レベルの高さ
の2つに分けるならば,
(中略)
そういう意味では,この「傍聞き」は(1)がやや強く,(2)も程よくバランスされているという評価だと思います.』
と書いたのですが,この「教場」も同じ傾向があると思いました.
ただ,(2)の中身がヒューマニズムというより,警察官になろうとした動機というか,それまでに背負ってきた人生を描ききっている点が違うかな.
いずれにしても,「人が職業を選ぶ」のではなくて,「職業がその人を選ぶ」のではないかという気にさせてくれる物語でした.

「このミス」2014年版の第1位.それも納得です.


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