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「美しい家」 新野 剛志

2016年01月17日 23時41分05秒 | 読書
「美しい家」 新野 剛志



「八月のマルクス」を借りようと思って図書館に行ったのだけど、貸し出し中で借りることができなかった。
同じ新野 剛志さんの本があったので、これを借りてきました。

家族という絆を持たない人たちが、理想的な家族を求めて作った集団。
そこで起きた殺人事件を、誤った形で記憶する若者たちの迷走する物語。

ちゃんとした愛情に包まれて育った人(おそらく世の中の90%くらい)はそうだと思いますが、人の善意を信じるものだし、人に善意を示すことに喜びを感じるものです。

しかし、親からの愛情を受けずに育つと、善意というもの自体が理解できないし、無償の愛というものも想像すらできない。

この小説の登場人物の大半がそういう愛を知らない人たちで占められている。

小説全体が、クールな雰囲気に包まれているし、例え殺人が起きても、それがまるで大したことではないかのよう。

ある意味文学的と言えば言えるかもしれない。

一応ミステリーなので、最後に謎解きはあるのだけど、今、真実が解って一体何になるの?という感じで、カタルシスはほとんど感じない。

微妙といえば微妙な小説だが、凡庸か素晴らしいかと問われれば、間違いなく素晴らしいと言える小説だ。


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