書く仕事

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「リアルワールド」 桐野 夏生

2009年03月16日 11時44分25秒 | 読書


トシ,テラウチ,ユウザン,キラリンの4人の女子高校生に加え,母親を殺してしまった男子高校生ミミズが主な登場人物.

ミミズはトシの隣家に住むが,ある日,積年の恨みをもつ母親を惨殺してしまう.

逃亡しようとするミミズに,怪しいと知りながら,かばうトシ.それを知り,さらにミミズに手を貸してしまうテラウチ,ユウザン,キラリンたち.

実は,彼女らもそれぞれ家族や人生に深い悩みを持っていて,それから逃避したいという想いからミミズを手助けするのだが...

心の闇は,なにも大人だけのものではない.
高校生ともなれば,子供の無邪気さとおとなの狡さの間で必死に自分を守りつつ,見えない将来を探っていかなければならないわけで.

ただ,正直言って,彼女らに対する共感はないですね.
当たり前だけど.あっちゃ大変だし.

そのせいかなあ?感情移入がない分,「楽に」読めたというメリットはありました.
心の痛みを感じることなく読み進められたという意味で.

あと,若者の描き方としてして,「うまいなあ」と思ったことをひとつ.
彼女らは,自分達の不幸や不運をものすごく悲惨に(実際悲惨なんだけど)感じる一方,他人の不遇については,そんなの大した不幸じゃないと,切り捨てるセリフがところどころに出てくるんですよ.
他人の境遇への思いやりを持てないところの描き方はさすが直木賞作家だと思い,感心しました.

ところで,桐野夏生さんって女だと思っていました.
なぜかなあ?
思い込みですね.

ちょっと,coollife的には微妙な評価だなあ,ということで.


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