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「ダイイング・アイ」東野圭吾

2017年08月24日 14時55分10秒 | 読書
「ダイイング・アイ」東野圭吾



東野圭吾さんのハードボイルドミステリー&ホラー

主人公は夜の街でバーテンダーをしている慎介。
この主人公は倫理的にはかなり悪い奴だ。

まあ、しかし、夜の世界に住んでいればこれくらいは「普通」レベルかもという気もする。

その慎介が運転中、自転車に乗っている主婦を轢いてしまい、その主婦は即死してしまう。

事故後の裁判で、慎介は執行猶予となり、警察の保護下でバーテンダーとして仕事を続けるのだが、ある時、死なせた主婦の夫と思われる人物から襲われ、頭を強く殴られ、生死の境をさまよった後に、記憶喪失となってしまう。

読者は主に、襲われた後の、比較的、慎介の良い人の部分のセリフや日常をインプットされることになり、これが一種の自然なミスリードの役割を果たしている。
実は記憶を無くす前の慎介は、どんな悪党だかわからないわけで。
そんな不安定な現状認識の下で、亡くなった主婦の幽霊のような女性が現れたり、慎介が昔勤めていたバーのオーナーが不可解な言動をしたり、読者を混乱させる展開が続く。

私的には、慎介がもう少し痛い目か怖い目にあって、肝を十分に冷やしてから解決に至って欲しかったという気もするが、それはぜいたくな望みかもしれない。

それにしても、毎回毎回、過去に一度も使われていないプロットを考え出す東野圭吾さんの引き出しの豊富さには、毎度のことながら、恐れ入る。



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