時代物はあまり読まないのですが,ジャケットの雰囲気に誘われて手にとってしまった一冊.
時は江戸時代.幼なじみの男女9人の恋物語+謎めいた殺人事件.
ミステリー要素もたっぷりなので,その面でも楽しめますが,物語の骨子は,やはり「ラブ」です.
いつの世でもそうなのでしょうが,恋とはうまくいかないもの.
好いた人には好いてもらえず,気にもかけていない人からは心ならずも好かれてしまう.
ほんに恋とはうまくいかぬものって,おいっ,お前には合わない話題だろ,って突っ込まれそうですが,そんな批判は無視してしまおう.
ただ,読んでいて,とても切ない雰囲気があるにも関わらず,決してじめじめした恋地獄にはなっていない.
それは,登場人物たちが,いずれも仕事や生き方の面でも岐路に立たされていて,恋をとるか人生目標を取るか?っていうジレンマに悩みつつも,自分なりの答えを見つけていくという展開が,好いたはれただけの恋物語とは一線を画してますね.
ところで,時代物のミステリーといえば,やはり宮部みゆきさんですね.
でも,宮部さんの時代物とはかなり違う.
宮部さんの方はもっと,ずっとエンターテイメントに徹していて,話自体がとてもうまくできているというか.
それに対して,畠中さんはもっと,登場人物一人一人の「想い」が物語りに占める割合が大きいですね.
もちろん,それぞれの個性ですのでどっちがどうという話にはなりません.
あえていえば,好き好きの問題ですね.
私は...う~ん.
どっちも好き.
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