「探偵工女 富岡製糸場の密室」翔田寛
「誘拐児」に続いて2冊目の翔田寛作品.
時は明治6年,場所はあの富岡製糸場.
そこで女工として働く尾高勇がヒロイン.
日本政府が日本の富国経済策の目玉として建設した富岡製糸場.
その富岡製糸場で,ある女工が,密室状態の石炭小屋で,自殺と思われる状態で発見される.
しかし自殺にしては奇妙な状況証拠が発見されるが,他殺とするなら犯人はどうやって密室状態の石炭小屋から逃走したのか?
この事件を調べるうちに,反政府派の製糸場破壊計画が浮上し,にわかに政治的・内戦的様相を呈する.
勇の父親であり,富岡製糸場の工場長でもある,尾高惇忠や政府から派遣された桐野警部ら元武士で日本古来の美学を身に付けた「男」達の人間像が素晴らしい.
フィクションではあるが,製糸工場の操業を指導するフランス人たちの狭量さと対比して,明治にはこんな素晴らしい人物がいたのだろうな,と日本人として誇らしい気持ちにすらなる.
ヒロイン勇の切れ味鋭い推理も楽しめるが,この「男」達の生きざまが,読んでいてうれしい.
実に爽やかな読後感を頂戴した.ごちそうさま! と言いたくなる一品である.
「誘拐児」に続いて2冊目の翔田寛作品.
時は明治6年,場所はあの富岡製糸場.
そこで女工として働く尾高勇がヒロイン.
日本政府が日本の富国経済策の目玉として建設した富岡製糸場.
その富岡製糸場で,ある女工が,密室状態の石炭小屋で,自殺と思われる状態で発見される.
しかし自殺にしては奇妙な状況証拠が発見されるが,他殺とするなら犯人はどうやって密室状態の石炭小屋から逃走したのか?
この事件を調べるうちに,反政府派の製糸場破壊計画が浮上し,にわかに政治的・内戦的様相を呈する.
勇の父親であり,富岡製糸場の工場長でもある,尾高惇忠や政府から派遣された桐野警部ら元武士で日本古来の美学を身に付けた「男」達の人間像が素晴らしい.
フィクションではあるが,製糸工場の操業を指導するフランス人たちの狭量さと対比して,明治にはこんな素晴らしい人物がいたのだろうな,と日本人として誇らしい気持ちにすらなる.
ヒロイン勇の切れ味鋭い推理も楽しめるが,この「男」達の生きざまが,読んでいてうれしい.
実に爽やかな読後感を頂戴した.ごちそうさま! と言いたくなる一品である.