書く仕事

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「ノックス・マシン」法月綸太郎

2014年04月13日 11時07分24秒 | 読書
「ノックス・マシン」法月綸太郎




この本は評価が分かれそう.

推理小説とSF小説の両方が好きという人は高く評価するだろうし,一方は好きだけど,他方はあまり...という人は詰まらないと思うだろうね.

互いに関係する4本の短編集になっている.

1.ノックス・マシン

2.引き立て役探偵倶楽部の陰謀

3.バベルの牢獄

4.論理蒸発(ノックスマシン2)

このうち,推理小説と言えるのは2.の「引き立て役探偵倶楽部」だけ.
ワトソンやヘイスティングス等,名探偵を補佐し,引き立てる役どころの面々が登場します.
アガサクリスティが,従来の探偵小説のいろいろなルールを破ったことは皆さんご存知だと思うけど,それを糾弾し,彼女をなき者にしょうとする倶楽部の面々のお話.
この小説だけ独立した短編として読めば,ミステリ好きの多くの読者は喝采を送るに違いない.
ヴァンダインがかなりの悪役で出てくるので,ヴァンダインファンの人は要注意!

1.と4.は密接に絡み合っている.
ノックスとは,「ノックスの十戒」を指す.
気になる人はWikiで検索してください.
要は,探偵が犯人であってはいけないとか,超能力を用いてはいけないとか,読者をだますようなトリックはダメよ,というルール集です.
これと,マシン,つまりコンピュータネットワークを融合させた,人工知能がノックスマシン,と,ここからがSFになっちゃうわけ.
でも,まあ,SFとはいえ,一応筋道の通ったお話ではある.
ハチャメチャではあるが,まあ,面白いと言えば面白いかな.

3.はもう,かなりシュールな「純」SF.
理系人間の私でも,マジに読み通すのはつらかった.
特に「鏡文字」の記述は「物理的に」読むのに苦労する.

てなわけで,その道の愛好家じゃないと,「なんじゃこりゃ!」と言われそうな小説集でした.

まあ,参考までにご紹介したということで.

あ,でも,これ2014年の「このミス大賞」1位受賞作なんだよね.
これには納得できないなあ.
第2位の「教場」は面白かったけどね.
どう見ても,「教場」の方が上でしょう.
というか,2位~10位はどれも面白そうなのに,1位だけが,ここにいるのがおかしい本です.って言いきっちゃっていいのかな?